高価格でも必需品?高級のティッシュブランドが狙うターゲットとは
こんばんは。KnownsインターンのInokamiです。
みなさんは、
『少し高いけど、それ以上の魅力があるから買い続けている。』
そんな商品はありますか?
例えば美容品や調味料などの消耗品、推しのライブグッズや衣類といった趣味など、様々なものがあるかと思います。
今回はその中でも「鼻セレブ」についてご紹介しようと思います。
みなさんは鼻セレブを使ったことがありますか?
花粉や鼻炎で悩む方には最強の味方ですよね。肌触りや鼻をかんだ後のすっきり感やしっとり感など品質は文句ありません。しかしその反面で、他のティッシュペーパーブランドと比べると高価格というデメリットもあります。
私も鼻炎やアレルギーなどで鼻セレブにはとてもお世話になっているので、どれだけ利用しても鼻まわりが荒れないのは本当に魅力的なんです。
ですので今回はKnowns Bizを使って「鼻セレブ」の魅力や特徴、どんな人がリピート利用しているのかなどを詳しくご紹介できたらと思います。
こんなブランドもある?分析してみてほしいなど
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今後の参考にしたいので是非気軽にコメントくださいね♪
ティッシュペーパー市場と鼻セレブ
ティッシュペーパー市場
まずはティッシュペーパー市場全体のポジショニング分析です。
ティッシュペーパー市場での認知率・満足率はエリエールが頭一つ抜けていました。しかし鼻セレブやスコッティなど、他のブランドも平均を大きく上回る数値となっているので、市場の競争は激しそうです。
そして鼻セレブは認知率72.2%、満足率38.0%という結果でした。また好感率も50.9%となっており、どの数値をとっても上位であるため人気ブランドの1つと言えるでしょう。
今回はティッシュペーパーをよく利用する人をメインに分析したいので「ロイヤル層」に限定してみます。
イメージ分析では、「家庭的・安堵感」「必要・ないと困る」などから、生活に必要不可欠なアイテムであることが分かります。
また「安心・安全」「利便・合理性」から日常生活においてティッシュペーパーは便利なものだと認識している人が多いようです。
ほとんどの人にとって生活必需品である”ティッシュペーパー”ですが、「鼻セレブ」は他のティッシュペーパーブランドとは違った価値の提供をしています。
今回はそんな鼻セレブの”他にはない価値”をより探るべく、認知度・満足度ともに非常に数値の高かった「エリエール(ティッシュペーパー)」と比較していきます。
鼻セレブとは
鼻セレブはnepiaが販売するティッシュペーパーをメインに販売するブランドです。「鼻に使う、高級なティッシュ」をコンセプトに”鼻”という言葉に加えて、インパクトのある感じに高級感を出すため”セレブ”を用いたことがブランドネームとなっています。
鼻セレブのこだわりとして、nepia独自の「トリプル保湿」と「植物性スクワラン」によるしっとりやわらかな心地を演出しています。花粉や体調を崩した時でも、肌荒れを防げる魅力があります。
ブランドの始まりは1996年で、鼻セレブの前身である「ネピア モイスチャーティッシュ」の発売からスタートしました。当時は保湿ティッシュの認知度が低かったことから好印象を持つ消費者は多くありませんでした。
現在のブランドネーム「鼻セレブ」が誕生したのは2004年で、当時からウサギのデザインが使用されています。
鼻セレブは現在、6種類の商品を販売しています。
ラインナップを見るとティッシュペーパーの他に、トイレットペーパーやマスクなども販売しており、どれも肌触りの良さにこだわった商品となっています。
また特徴として、どの商品にも動物がデザインされています。過去にはヤギやアザラシなどが描かれたこともあり、今後新しく販売される商品にも同様の動物を基調としたデザインがあるのではないでしょうか。
実際にブランドイメージに対して「パッケージ」「可愛い」など、パッケージデザインに関するワードも多く、動物を用いたデザインはブランドに大きな影響を与えていると考えられます。
2023年にはFSC認証紙とよばれる地球に優しい素材がボックスティッシュに採用され、更にはエゾモモンガが新しい動物として仲間入りしました。
この工夫と新しい動物の背景には、樹がないところでは生きていけない動物に「木と森を守りたい」というメッセージが込められています。
またボックスタイプの他にもポケットティッシュや子供向けに作られたアンパンマンがデザインされたボックスも販売されており、幅広いターゲット層と使用用途が考慮されています。
エリエールとは
エリエールは大王製紙が販売するティッシュペーパーブランドです。
ブランドのこだわりとして、ティッシュの繊維1本1本をコーティングする自然由来の柔軟剤を使用していることで、やわらかく肌触りの良いティッシュペーパーを実現しています。
またボックスタイプの他にも、ソフトパックタイプやポケットタイプなど様々なシーンで便利に使える工夫が施されています。
大王製紙はエリエールの他にも「贅沢保湿」や「i:na」など多くのティッシュペーパーブランドを展開しており、ブランドごとにこだわりや値段が異なります。
その中でも贅沢保湿はブランドネームの通り、高級感あるティッシュペーパーを再現しているので鼻セレブともコンセプトが似ている部分が多いです。
しかし先程のポジショニング分析を見ても分かるように、数値は鼻セレブの方が高いため高級感や品質の満足度は、鼻セレブの方が良い印象を持っている人が多いのかもしれません。
鼻セレブ×エリエール
今回はそれぞれのブランドを好んで利用する人は、どんな特徴があるのかを探りたいので「ロイヤル層」に限定して分析を進めていきます。
分析を行う前に大きな注目ポイントの1つとなる”価格”をはじめに比較しておきたいと思います。
両ブランドを比較すると、商品の価格は倍以上の差がありました。
もちろん実店舗や他のECサイトで価格は変動すると思いますが、それでも大きな差があるのは間違いないと考えられます。
この価格の差を踏まえて比較を行っていこうと思います。
デモグラフィックとサイコグラフィック
まずはデモグラフィックです。
鼻セレブは女性の割合が高く、35〜49歳を中心に若者まで幅広く利用者がいました。
対してエリエールは男性の割合が高く、45〜49歳や65〜69歳を中心に鼻セレブよりも年齢層が高い結果となりました。
鼻セレブの女性の割合が高いのは40代以上が大きな要因となっており、20代や30代はどちらかといえば男性の方が割合は高い結果となっています。
また鼻セレブは学生のロイヤル層も多く、エリエールの2倍の数値となっています。高級品であるはずの商品が、学生に人気なのは非常に興味深いですよね。
次にサイコグラフィックです。
2つのブランドを比較すると様々な特徴が見つかったのですが、今回はその中から個人的に興味深いと感じた点をピックアップして紹介したいと思います。
まずは個人価値観です。
鼻セレブは自己愛強め、八方美人、物欲旺盛、都会派などが高い割合となりました。容姿を意識する人や自分磨きを頑張っている人が多いと考えられます。
また都会派に関しては、田舎や地方よりも都会の方が平均的に物価が高いため、鼻セレブを高いと感じる人が少ないことも考えられます。
エリエールは柔軟姿勢、田舎派が高い割合となりました。
ロイヤル層の年齢層が鼻セレブよりも平均的に高いことから、地方での利用者が多いと考えられます。
そして個人的に注目したのは「倹約家・浪費家」の割合です。
先程も紹介した商品の値段比較では、鼻セレブの方が値段は高い結果となっていました。しかし「倹約家」の割合は鼻セレブの方が高く、「浪費家」も大きな差はありません。
つまり鼻セレブには高価格でも納得できるほどの高品質であり、高コストでも必要な出費だと考えている人が多いのではないでしょうか。
実際に消費価値観を見てみると、ブランド消費は鼻セレブの方がかなり数値が高く、商品への期待や評価は非常に高いものとなっています。
また花粉の時期や体調を崩した時には重宝しているという声も多く、時期によっては必要不可欠なアイテムとなっている人も多いようです。
消費価値観では他にもいくつか特徴がありました。
鼻セレブはレビュー熟考消費、ネタ消費、ステータス消費、トレンド・限定重視消費、イノベーター消費が高い割合となっています。
若者から40代までのロイヤル層が多いことから、SNSによる宣伝効果が大きいことが1つ要因として考えられます。
またMr.Childrenとのコラボ商品が発売されたり、ヒカキンや浅田真央など多くのタレントやYouTuberが鼻セレブとコラボをしていたり、口コミなどで愛用・レビューをされていることも大きな影響を与えているように考えられます。
ティッシュペーパーが高価格・高品質でもおすすめだと言われると気になってしまいますよね。消耗品だからこそ安く済ませたいと考えている人なら尚更ではないでしょうか。
エリエールはエシカル消費、リピート消費が高い割合となりました。
ロイヤル層の声では「コスパが良い」「安いし品質も良い」など、価格面と品質面を考慮した意見が多く見受けられ、エリエールのリピート消費が高い要因に繋がっていると考えられます。
≪Knowns Bizについて簡単にご紹介≫
イメージ分析と7 Journey分析
イメージ分析でのそれぞれの1位は鼻セレブが「ラグジュアリー・贅沢」、エリエールが「家庭的・安堵感」となりました。
鼻セレブは「ラグジュアリー・贅沢」「上品・優雅」などが平均を大きく上回っていることから、ティッシュペーパーブランドの中では高級品・高品質と捉えている人が多いようです。
鼻セレブのコンセプトでもある「鼻に使う、高級なティッシュ」をしっかり実現できていると考えられます。
また「期待感・ワクワク」も平均を上回っており、消費者から期待された商品価値にしっかり応えることができているのではないでしょうか。
対してエリエールは「家庭的・安堵感」「安心・安全」「ベーシック・定番」などが上位となっており、ティッシュペーパーといえばエリエールという印象を持っている人が多いようです。
また「家庭的・安堵感」「必要・ないと困る」など、ティッシュペーパー全体のイメージ分析と上位の項目が似ており、基本的なティッシュペーパーに対するニーズに大きく応えた商品のようです。
こういった点もリピート消費が高い要因に繋がっていると考えられます。
実際にみなさんの中にもエリエールを愛用している人は多いのではないでしょうか。
次に7 Journey分析です。
両ブランドを比較してみると鼻セレブはチャンス、エリエールは消極ロイヤルの数値が非常に高くなっています。
鼻セレブはエリエールと比較しても商品の値段が高く、消耗品でもあるため、「買いたいけど高いから迷う」「買うきっかけがない」などが多いのかもしれません。
対してエリエールはティッシュペーパーの定番ブランドであり、日常生活に必要だから買っているという人が多いため、頻繁に購入する人が少ないと考えられます。
デモグラ軸で7 Journey分析を見てみると、それぞれに特徴があることがわかりました。
鼻セレブは男性や60歳以上の未認知の割合が高いのに対して、10代や20代前半の積極ロイヤルは高い結果となりました。
つまり学生に人気なのではなく、若者に人気があるようです。
エリエールは10代〜20代の消極ロイヤルが低く、未認知の割合が非常に高いことが分かりました。
また60代以上の消極ロイヤルが高く未認知が低いことから、鼻セレブとは正反対の存在にも感じられます。
若者の積極ロイヤルと60代の消極ロイヤル
7 Journey分析(デモグラ軸)から興味深い結果が出たので、さらに調べてみることにしました。
鼻セレブでは15〜19歳と20〜24歳の積極ロイヤルの割合が平均値を超えていたことから、サイコグラフィックを用いて全体の積極ロイヤルと比較してみました。
すると全体の積極ロイヤルで高かった自己愛強めや八方美人が、さらに大きな数値となりました。
さらに依存集中型は34.1%と驚異的な数値を叩きだしていました。
鼻セレブの魅力を知ってしまったり、悩みを完璧に解決してくれる存在になると辞められないのかもしれません。
またイメージ分析では全体の積極ロイヤルにはなかった「ハマる・依存する」が上位にランクインしています。
他にも「浄化発散・すっきり」が平均値を大きく上回っており、若者にとっての鼻セレブはやや価値が異なっているのかもしてません。
若者の積極ロイヤルが多い要因としては、花粉症や通年性アレルギー性鼻炎になりやすいことが考えられます。
上の画像を見ても分かるように、通年性アレルギー性鼻炎にかかる10〜19歳は49.5%と2人に1人が発症しています。
つまり自己愛強めや八方美人の割合が高い若者からすれば、花粉症やアレルギーによる肌荒れをより気にするのは当然であり、鼻セレブを使うのが当たり前・ないと困ると考えている人は少なくないのかもしれません。
対してエリエールでは60代の消極ロイヤルが平均値を超えていました。
先程の鼻セレブとは対照的に依存分散型が高い結果となっており、また「ベーシック・定番的」は平均を割っていることから、エリエールは”このブランドだから買っている”という人が鼻セレブよりは少ないと考えられます。
しかし「家庭的・安堵感」の割合は変わらず高く、ロイヤル層のイメージ分析では上位になかった「絆・親近感」が大きな数値となっています。
実店舗やECサイトでティッシュペーパーを買う際に「何を買おうかな」となった場合、こだわりというよりも無意識的にエリエールを手に取る人が多いとも考えられます。
つまりエリエールなら大丈夫、まず探すのはエリエールという信頼があるとも言えます。
今すぐ自社・競合の顧客構造を見てみたい方へ
まとめ
まずは両ブランドの分かったことをまとめてみます。
鼻セレブ
・ティッシュペーパーブランドの中では高級品
・ロイヤル層は女性の方が多く、35~49歳を中心に若者にも親しまれている
・自己愛強めや八方美人、都会派が多い
・高級品かつ高品質という印象が強い
エリエール
・コスパが非常に良いブランド
・ロイヤル層は男性の方が多く、45~49歳を中心にそれ以上の年齢層も多い
・柔軟姿勢や田舎派が多い
・ティッシュペーパーの定番で、家庭的な印象が強い
といった結果になりました。
今回の分析結果から私は、それぞれのブランドがティッシュペーパーとして満たしている需要が異なっていると考えています。
鼻セレブは花粉症や鼻炎、アレルギーなどティッシュを頻繁に利用する人のリピート利用が高いのに対して、エリエールは日常生活で必要だから購入している人のリピート利用が多いということです。
頻繁なティッシュペーパーの利用による肌荒れや乾燥は、ほとんどの人が気にすることです。
肌荒れによって容姿が悪くなるよりも、少し多めの金額を払って防ぐことができるのであれば大きな魅力ですよね。
ティッシュペーパーをあまり利用しない人から見れば、鼻セレブは”肌触りの良い高級なティッシュペーパー”ですが、頻繁に利用する人から見れば”ないと困る必需品”なのかもしれません。
また花粉症の患者数は年々増加しており、直近の20年間で患者数は約2倍に増加しているとも言われています。つまり鼻セレブの需要も更に高まっていくと考えられます。
いかがでしたでしょうか!
今回の記事で鼻セレブやエリエールの新しい発見があれば嬉しく思います。
鼻セレブでは2024年に20周年を迎え、その記念イベントとして原宿で「愛でたい鼻店」を期間限定でオープンしています。
「愛でたい鼻店」とはさまざまな体験コンテンツを通して鼻セレブの世界観や歴史を体感できるテーマパークであり、ブランド初の試みとなっています。
歴代パッケージの動物たちの実際の鼻の質感に触れる体験や、鼻セレブティッシュをイメージしたオリジナルドリンクが飲めるカフェなど、あらゆる体験を楽しむことができるようです。
詳細が気になる方は以下のURLから確認してみてください!
またそれぞれのブランドへの興味・関心が深まったという方は、ぜひ公式サイトをご覧ください。商品へのこだわりやブランドの歴史なども掲載されているので非常に魅力的なサイトとなっています。
≪本記事は新しいバージョンのダッシュボードを利用しております≫
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