【イベントレポート】これからのメディアを考える【note】
今日のレポートについて:本日、前置き長めです。前置き要らないよ!って人は目次機能で好きなとこに飛んじゃってください。何しろ書いてたら5,000字超えちゃったもんで・・・
ではスタート!(長いよ!)
イントロダクション
オウンドメディアってずいぶんと聞き慣れた言葉になってきたけど、
Owned→自分でオウンしちゃって?? media→メディアが自分で作れるの??
要するに「企業が自社で保有するメディア」なのはわかる。
ちょっとググっただけでも上位にこんな広告が出てくる
「オウンドメディア構築まかせて」「オウンドメディアが成功するコツ教えます」・・・どうやらオウンドメディアって作るのはいいけど、構築とか大変ぽいし、成功するにはコツがいるってことはなかなかむずかしいのでは・・・
今回参加したのはnoteで開催された「これからのメディアを考える」
わたし的にもとてもタイムリーだと思っていたらこのイベントあっという間に満席になってしまった。注目度の高さがよくわかる。
そういえばnote pro
それにしても、最近のnoteのイベント人気はめざましく、すぐにイベントが満席になる。そしてnoteはよいイベントが本当に多い。
コレまで有料無料にかかわらず「ハズレ」と思ったイベントがいまのところまだない。
そしてこの無料イベントがめちゃくちゃいい。
(無料イベントのクオリティが高いから必然的に有料イベントはさらにすごいのだが・・・人間無料に弱いものですね)
ここで勝手にお伝えしたくなった、
結構な頻度でnoteイベントに参加しているわたしによる
「よいnoteのイベントに参加するコツ」は
noteの巡回すること、
たったこれだけ。noteのイベントはnoteで告知されるから。
そしてイベントを味わうコツは
事前に告知noteを熟読しておくこと
登壇者の情報とか事前に調べられたらなかなか深い学びになるし、時間がなければ前インフォ無しでもそれはそれで楽しめる。自分がそのイベントで何を学びたいか、によりますね。
登壇者については知ってからさらに深掘りしたくなってその人のnoteとかTwitterとか後から調べても遅くはないと思うんですけどね。
というわけでイベント前に今回もnoteの告知を熟読していたら最後の方に・・・
こんなのが埋まってるではないか
そういえばnoteの法人向けプラン「note pro」が3月にリリースされてめっちゃくちゃ気になっていたところ(一応零細だけどうちも会社なんで)
noteが主催するnote pro勉強会は日程が合わず参加できていないが、ありがたいことに軽く紹介してくれた。せっかくなので軽くご紹介。
これまでC to CのサービスだったnoteでB to Cができるのがnote pro 月額5万円できること ・noteのプラットフォーム内で自社のドメインが付与される ・自社ロゴがnoteの中で使える ・メニューバーがカスタマイズできる ・メディアをはじめる初期費用がぐっと抑えられる ・月間1000万人が読んでいるnote、つまり1000万人のお客様の中に いきなり入っていけるということ ・元々備わっている記事を売る「課金システム」があり、メディアから収 益化がはかれる
ということらしい。もっと詳しく知りたい人はnoteの人に聞いてみてほしい。
note proの導入で今後こういった企業主催のありがたイベント(できれば無料で)が増えていくのではないか・・・という淡い期待を抱きながらさて、本題です。
本編!!これからのメディアを考える
さて、そのnote proを利用しているのが今回のキリンさん(キリンさんってカワイイ呼び名だ)
個人的にも長年勝手にお世話になっている会社でなじみ深い。本当にどれだけのキリンビールがわたしの体内を通り過ぎていっただろうか・・・
そして、さすがキリンビールなイベントだけあって会場入り口でビール(ノンアルコールもあったよ)が。
コレは最初からテンションが上がるイベントだ。
個人的にとても「声」が好きなnoteのディレクター志村さんがファシリテーター。ファシリテーターもビールを片手にってどんだけ自由なイベント。もう、サイコーです。
キリンビールって老舗超大手ビールメーカーなのだからきっとがちがちのおじさんが出てくるかと思ったら・・・意に反してめちゃくちゃオシャレな人達が出てきた。
平山高敏(ひらやま・たかとし)さん最初っからキリンビールにいた人ではないっぽい。もともと昭文社で「ことりっぷWeb」のプロデューサーをやっていた。2018年(わりと最近ですね)からキリンホールディングスのデジタルマーケティング部(やっぱし、そんなのがあるのね)でwebコンテンツを中心にしたコミュニケーション戦略を担っているという・・・字面にしたらマーケティングとか戦略とかめちゃくちゃ堅いけど、ご本人とても柔らかい感じ。すでにビール片手ですし。
徳谷柿次郎(とくたに・かきじろう)さんちょっぴり関西弁?をお使いの全国47都道府県のローカル領域を編集しているギルドチーム「Huuuu inc.」の代表取締役。代表取締役ってこれまた字面固めですけど、こちらもとっても柔らかい、いや、柔らかいっていうか野性味あふれるロングヘヤーがさすがローカル領域って感じでいいです。紹介文がすごい、どこでも地元メディア「ジモコロ」、小さな声を届けるウェブマガジン「BAMP」の編集長、海の豊かさを守ろう「Gyoppy!」の監修、TBS系列のニュース番組「Dooo」の司会、長野市善光寺近くでお店「やってこ!シンカイ」のオーナー、雑誌「ソトコト」でも毎月コラムを連載。趣味は「ヒップホップ」と「民俗学」。色々やってる・・・ヒップホップと民俗学ですからね。興味深い。
鳥井弘文(とりい・ひろふみ)さん(わたしの印象では)3人の中で一番まじめな印象。どうやら中国語を操れるのではないかとnoteの紹介文から推測そして尊敬(わたし中国語習得脱落者なので)これからの生き方を考えるブログ「隠居系男子」を運営開始。現在はBLOGOSとFashionsnap.comにも転載中。 2014年9月に起業し、株式会社Waseiを設立。これからの暮らしを考えるウェブメディア「灯台もと暮らし」のほか「SUSONO」や「Wasei Salon」といったオンラインコミュニティの運営や、企業やメーカーのオウンドメディア運営も手がけている。
企業が発信することの意義
プロダクト愛を伝えたい
企業が商品を売りたいときにこれまで使ってきた周知、宣伝の手法は「広告」だった。その商品のいいところをうたったり、かっこいいポスターにしてイメージ植え付けたり、頭に残っちゃうような音楽を作ってCMにしたり、時には恐怖心をあおって(ちょっと言い過ぎ)買うように「仕向けて」きた。
広告は相変わらずCMで流れ続け、街中では有名人のでっかい顔のポスターが相変わらずある。
でも、もうCMや広告だと「プロダクト愛」が伝わらない。と言う。
めちゃくちゃこだわって作っている商品、商品の作り手の熱い想い、手塩にかけて開発したカワイイ我が子のような商品に対する愛はすごい。
例えばこの日に提供されたビール、SVB SPRING VALLEY BREWERYもそうだ。世の中にあふれるビールの素晴らしさ、良さ、「ほんとこれ、おいしいから飲んでみてよ」を伝えるためにオウンドメディアで発信しているのだ。
公式オンラインショップなのだけど、読み物のコンテンツが熱い。
このサイト運営当初は「この飲み物と食べ物があう」なんていう一般的によく見かけるペアリングの話が多かったが平山さんは「作り手の話を聞いてみたい!」と(社内で言うとわがままになるのか?)わがままを言って作り手の話を掲載したという。
私たち読者的にはペアリングも知りたいけど、作り手の話を聞きたい。作ってる側のメッセージが知りたい。共感してから買いたい。
広告だけでは、CMだけでは伝わりきれない本音の部分のメッセージを伝える場所が必要なのだ。
正解がわからなくなって困っている
ただ、やみくもにオウンドメディアを作ればよいのではない。
現在あるオウンドメディアの7,8割はわからなくてやっているのではないか、と徳谷さん。
ほとんどがわかってなくてやってる、だから数字に頼る。消費者のことがわかってない、その間を埋めるために時間をかけてじっくりやるべきだし、それはそんなにお金がかかることではない。本来はじっくりやることが大事。
今流行っている理由、多くの人が集まる理由はそこにある。
明確な答えがあるわけではないのだ。
今って何を届けるかというより、どう届けるかが重要
商品の質が平均点を超えてきた時こそ、その商品をどう届けるかが重要になってくるのだという。
お客様が購入する理由はその商品を購入することで「価値観を共有」したいのだ。その「価値観」を伝えるのがメディアなのだ。彼ら3人が言うメディアは一方的ではない。
「いい感じに作っちゃってよ」ではなく、想いを共有するところに価値があると言うことが大前提なのだ。
メディアも変化している
一言でオウンドメディアと言っても時代の流れとともに変化していると言う。ちょっと前まではまとめメディアが主流だったが、今やインタビュー記事ばかりがあふれている。
今後は圧倒的に意味を作れているものしか残らない。
プラットフォーム依存でいるとメディアは追いつかない。
「みんなのごはん」も更新停止という話もある中、続けることは本当に難しいことなのだ。
残るメディアと残らないメディアとは?
残るメディアの条件は4つだという。
・らしさがある、世界観がある
・専門性がある
・背景がある
・主語がある
らしさがある、世界観がある
○○っぽい、○○らしいコンセプトが踏襲されて、可視化されていること。
世界観ありますと言っても可視化されてないとだめだし、デザインされていないとだめ。
専門性がある
このメディアにしかできない切り口が必要。
背景がある
ミッションがちゃんとあるからこのメディアやってます、ってきちんと言えないとだめだ。
主語がある
顔が見えてる、顔がわかるメディア。こういう人がいるところってわかるメディアにならないといけない。
そしてオウンドメディアは
会議室で考えてはいけない
と徳谷さんは言う。会議室で考えると当事者不在のメディアになっていく。
さすがハイパーローカルなコアなメッセージを届けてきた人だけある。
足を使って、飛行機に乗って車を長時間運転して、現地に足を運ぶからこそ作り手の熱い想いや現地ならではの情報が届けられるのだ。
当たり前なんだけど、意外と見落としがちだ。
育成みたいなことはやっているのか??
これだけオウンドメディアとか言われてきたら編集者、ライターなど人手不足なのでは?という疑問だ。特にオウンドメディアはそれぞれ個性がありひとくくりに編集やライターという名前だけでは終わらないような仕事だ。どうやって育成しているのだろうか。
徳谷さん「一癖あるメディアは再現性が難しく結構大変。そういう仕組みで人を育てるのは難しい。」と話し、「編集、ライターの専門性を身につけたいならぜったい大手!マガジンハウスとか入ってみたいですもん!」とぶっちゃけた。
確かに、人を育てる仕組みは大手の強みだ。
そこにミスター人育て(と言われてました)鳥井さん「相手に提供できることは対峙するときの姿勢、価値観。編集とかライティングはスキルではない。文脈や価値感をちゃんと共有できてるかが重要なんです」
さらに徳谷さんは
「ライターは不確かな職業だ、でも社会に深く関わる職業。
人の人生にずかずか入り込んで、知ったふりしてその人の人生を伝えなければならない。だから、メンタルやられる人が多いの。」と続けた。
どこの世界も人が重要だし、育てようと思って育てられるものでもないし、結局人間性見て一緒にやっていくしかないような・・・気がしてきました。
人の巻き込み方
人と人との関わりが重要な世界にいてどうやって人を巻き込んでいるのだろう。そんな疑問に鳥井さんは
「日々そういう言う人とつながれるような発信をしていくこと。自分たちはこういう価値観を大事にしていると言うことを発信しています。そういう人達に届くメッセージを届けられているかが大事なんです。」
さらに大企業キリンの中にいる平山さんは
大企業の中で個人が発信すると言う前提がないので、僕がやってることはみんな「へ〜そうなんだ〜そんなフォロワーいるんだ〜すご〜」でしかない。キリンはわかんないものをわかんないって言ってくれる企業風土なんです。
めっちゃくちゃいい会社だし、任されてるんだなって感じだし、相乗効果って感じがいいです。ますますキリンに好印象です。
今のメディアをどう育てていく?
どんなに世界観を持って熱い気持ちで立ち上げがオウンドメディアも、持続的に運営することで一杯一杯になってしまう。どうやって育てていけばよいのだろうか。
徳谷さんは「マスメディア的なものを狙う、そこにとって変わろうと言う人が多い」という。
本当に大切なものって、必要なものってなんだろうとみんなが考えはじめているこのタイミングで無駄なものを作らないようにちゃんと考えたい。権力、発信力を得ると無駄なものを売ってさらに権力や発信力を得てでかくなっていく、そうじゃない、せっかくみんなが考えはじめているタイミングだから徐々に進化していった方がいい。
確かにメディアも変化するのとともに受け手も変化している、いや、むしろ受け手の変化に応じてメディアが変化しているのかも知れない。
どちらにしろ相乗的に変わっていくならば、せっかくみんなが考えはじめているタイミングなのだからいい方向にいかないとね・・・
消費者が情報を選択できる時代になって偏った情報だけを得たり、無知な消費者にAIで選定された購入につながりそうな情報ばかりを受け取ったり・・・
オウンドメディアは正直でもうちょっと人間味のあるメディアってことなんじゃないかなと思う。
情報発信側と受け取る側がより近い時代がやってきたってことなんじゃないかなぁ。
このイベントの当日にTwitterで流れてきた「ナナピ」更新停止のニュース。超人気のオウンドメディアが更新停止・・・これからのメディアを真剣似考えたくなってきた。