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ドント
2019年10月16日 20:58
大学生の夏休みは長い。 Tさんは実家から大学に通う地元組だった。 ある年の夏休みのこと。 引っ越してきて通学している友達はあらかた実家に帰ってしまい、地元の学友はみんなよそへ遊びに行き、高校以前の同級生は大学のある地域から帰ってこない。 そんなことが重なって、Tさんはしばらくの間、一人ぼっちになってしまったそうである。 ヒマ潰しがてら短期のバイトでもしようか。そう思ったが、
2019年10月16日 20:55
戦後しばらくして、と言うから、今から五十年ほど前になるのだろうか。 Aさんは、「あなたにしかできないことをやってもらいたい」と、ある屋敷に呼び出された。 相手方はその町の、ひと昔前は庄屋とか名主とか言われていた大きな家である。「あなたにしかできないこと」とはいかにも大仰で、Aさんが特別な存在であるかのようだが、そうではない。 Aさんはここから離れた地域にひっそりと住んでいる、ただ
2019年10月15日 14:52
ある夜。 すげー簡単なバイトがあるんだけど、人手か足りないんだってさ、お前やんねぇか、と友達に誘われたという。 へぇ、どんなバイトなの、とNさんが聞くと、「山奥で家財道具を燃やすバイト」らしい。「まぁ無許可で焼くんだけどな。金払いはいいんだよコレが……」 オメーそれ犯罪じゃん、誰がンことやるかよ、と言ったが、バイト料を聞いて驚いた。けっこう、いやかなりイイ金額である。 ちょうど新しい
2019年10月15日 14:39
家庭教師をしていたことのある、Bさんの話。 Bさんは、高校受験を控えた中学生の女の子・A子さんを教えていた。 その家は、ご両親にお兄さん、A子さんの4人家族。平和を絵に描いたような家庭だったそうである。 A子さんは出来のよい娘さんで、礼儀も正しく、教えるのに苦労はなかったという。 ある日のこと。先生、勉強とは関係ないんですが、相談があるんです……とひそめた声で言われた。 オッ、恋
2019年10月15日 14:27
「僕が大学時代の話なんです」 Aさんはそう話し始めた。「このへんの話じゃないんです。実家を出て、大学のある地域に住んで、実家に戻ってきて就職したんで。 だからもうあの地域には行くことはないです。絶対に近づきもしません」 Aさんは学生生活の傍ら、短期でポスティングのバイトをやっていた。 家やマンションのポストに入っている、うざったいチラシやダイレクトメール。あれを投函していく仕事だ。「
2019年10月15日 14:17
大学で民俗学をやっていた、Gさんの体験。もう20年も前の話だという。 Gさんはその日、ある地方に出向いていた。資料館巡りや現地調査を終えて、帰ろうとした。帰って提出用のレポートをまとめるのだ。そう考えた。だがこの土地をこのまま離れるのも勿体なく感じた。 行き先もよくわからない電車にふらりと乗り込んだ。気まぐれに全然知らない駅で降りてみよう。大きくて立派な駅では面白くない。しばらく揺られて
余計なことは言わない方がいい。 俺が高校の頃の話だ。当時はよく友達の家に遊びに行った。日帰りの時もあれば、泊まりの時もある。 泊まりの夜となれば、まぁ馬鹿話をしたりゲームをやったり、お酒的なものが持ち出されたりして(未成年は真似しないように)、場が盛り上がる。さほど親しくない奴がいたりもするが、しばらくすれば打ち解けて仲良くなれる。十代とはそういうものだ。 それで、夜遅くなったら始まるの