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いなばのタイカレーに捧ぐ

朝型人間の私は、まだ家族が寝ているうちに朝ごはんを食べるという生活をしている。

朝から調理も面倒だし、ガチャガチャ音を立てるのも何なので、ひっそりトーストを焼くのが日課だ。

トーストとのお供はジャムやマーガリンが基本だが、それだけでは飽きてくるので、たまに変化球を織り交ぜる。その一つが「いなばのタイカレー」くんである。

この「いなばのタイカレー」くん、なかなか優秀な選手でランチでもディナーでも戦える能力があるのだが、私は長い間モーニングの準レギュラーとして起用している。

起用すると必ず期待に応えてくれる彼、中身はちゃんとしたグリーンのタイカレーで、缶にも書いてある通りタイで作っているらしい。ごろっとしたチキンが数個入っていて、レモングラスやナンプラーの香りもする本格派のにくいヤツ。レンチンして焼いたトーストに付けて食べると、もう気分は朝からパンガン島なのである。


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で、驚く事にこのお気に入りの「いなばのタイカレー」くん、なんと100円で売っているのだ!マイガッ〜!

この味でまさかの100円。自分の感覚では安く見積もっても200円は下らない価値があると思える。が、たったの100円。

別に売れ残っている値引き商品という訳ではない。何年も前から変わらずベテラン100円選手として、スーパーの片隅に陳列されているのである。

これは一般的には喜ばしい事なのかもしれないが、私はむしろ悲しむべき事だと思っている。

世の中には「いなばのタイカレー」に限らず、価値に見合わず安すぎるモノがあふれている。能力があるのに過小評価されているということだ。

原因の一つはモノの作り過ぎだろう。いっぱい作ればコストが低くなるからと大量生産。更に似たようなモノでもやたら種類があるのがザ・ジャパン。


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右肩上がりの時代はそれでも良かったのだろう。でも現状維持もままならないこれからの時代、もうくだらないモノ作りは止めて、消費の矛先をソフトウェアにシフトするべきだ。

安いものしか売れない世の中はみんなが不幸になる。

多過ぎるモノの種類を間引いて、質の高い製品を残し価格を上げる。環境問題どうこうの前に、まず無駄なモノ作り、無駄な資源消費を止めるべきだ。

ようは、安けりゃいいってもんじゃないぞと。価格競争の大量生産方式はもう止めましょうと。我々一般人レベルでそういう事を言い出す世の中になってるっつーこと。

「いなばのタイカレー」くん、くじけるな。

世の中変われば、君もいずれは300円選手になれる。

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