狐影八紀@こかげ やひろ

ダークファンタジーばかり書いてる一次創作主です。 メインはイラスト、目指すは漫画家です…

狐影八紀@こかげ やひろ

ダークファンタジーばかり書いてる一次創作主です。 メインはイラスト、目指すは漫画家ですが、小説も書いてます。 基本はX、エブリスタにいますが少しでも見やすいように、そして他の方にも見て貰えたら嬉しいなと思い始めてみました。 まだまだ拙い文章ですが、読んでいただけたら嬉しいです。

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【LOT・修羅組編】第四章 八つの苦悩

 爽やかな風が入る生徒会室。 最初に来た誰かが必ず開けてくれているおかげで、朝は生徒会室が気持ちいい。 とはいえもう七月。昼になるにつれあっという間に暑くなるのでさっさと窓を閉め、躊躇なくクーラーをつけた。 無理だ。あの七月とは思えない暑さに襲われてしまうので対策は大事だろう。……と言いつつ暑さに耐えたくないだけだったりもする。  シエはいつも通り書類に目を通しながら、しかし頭では別の事を考えてしまっていた。そのせいで全く集中が出来ない。 これではいけない、とシエが顔を上げ

    • 【LOT・修羅組編】第三章 香偲

      「話……?」  青年を見ても、やはりなにも感じ取れない。何を考えているのか、どんな感情なのか。何も分からない。 ひとつ分かるのは殺意はないということ。 それが幸いだが、殺す気はなくとも傷付ける気があれば話は別だ。  それに、ここはどこだ。いつの間に俺たちはこんな所に居た? 考えられるのは、結界のようなものを作れるか、テレポートすることが出来る、幻覚を使える、時を止める、あたりだろうか? それらの答えがたどり着くのは、少なくとも青年は一般人では無いということ。 つまり。

      • 【LOT・修羅組編】第二章 親友

         修羅と理恵の異変から三日。 連絡先も交換していないので状況が分からないが、シエ曰く組織から事件が起きたと連絡も入っていないので大丈夫、との事だ。  竜也はふと立ち止まって、手でパタパタと自身を扇いだ。 空を見上げると雲ひとつない綺麗な青空。そこだけ見れば爽やかだが、暑い。とにかく暑い。 照りつける太陽が俺を殺すつもりだ、と竜也は太陽を睨み付けた。お前、七月でもないのに気合入れすぎだろ。 だがそんな事をしていても当たり前に涼しくはならないので歩き始める。  狭い路地を進んで

        • 【LOT・修羅組編】第一章 異変

           学校の最上階、最奥の生徒会室。 窓を開けているおかげで心地よい風が入ってきていた。 その風が、ソファで寝ている香偲の髪を揺らす。 と、同時にソファの横のテーブルに広がっていた何枚もの紙が、風に吹かれて舞い上がった。  パラパラ、とゆっくり紙が落ちていくその様子を、生徒会室に入ってきた珠喇が見つめる。 そしてハッと我に返ると急いでその紙を拾い集めていく。 「あーあ、バラバラになっちゃった」 次に生徒会室に入ってきた竜也もその場でしゃがむとそれを手伝った。 何十枚あるのだ

        【LOT・修羅組編】第四章 八つの苦悩

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        • LOT小説まとめ
          7本

        記事

          【LOT・開幕編】第三章 生徒会

           体が重い。頭が痛い。でも、起きなきゃ。 竜也は薄らと目を開け天井を見つめる。よく見ると見慣れない天井だ。それに疑問を抱きつつも、まだ回らない頭じゃ考えるところまでは出来なかった。  しかし、殺気もない。妙な音もしない。という耳からの情報を信じるなら、ここはおそらく安全な場所だ。その事にほっと胸を撫で下ろして天井へと手を伸ばした。  何をしてたんだっけ。頭が痛くて思い出せない。でもなにか、忘れてはいけないことがある気がする。 しかしそれが、どうしても思い出せない。 「俺……

          【LOT・開幕編】第三章 生徒会

          【LOT・開幕編】第二章 竜也と罪

           酷く静かな夜だった。 少し向こうにぽつりと灯りがあるだけでほとんどが暗闇に包まれ、そして耳を劈く静寂が辺りを支配していた。 その中で竜也はただ、一人端に蹲っている。  良くないことばかりが頭をよぎる。今はとにかくこの現実から逃げたかった。早く過ぎて欲しかった。 それなのに止まったように時間は進まない。もうどれだけ経ったのだろうか。チクタクと秒針の音がただただ響いている。  遠くで物音がして、顔を上げた。隅で蹲っている自分からはよく見えないが、どうやら終わったらしい。 今すぐ

          【LOT・開幕編】第二章 竜也と罪

          【LOT・開幕編】第一章 開幕

           この物語は、ある独りの少年が引き起こした哀れな『舞台』のお話。 「待て!!!」  午前二時。闇に支配されたこの時間に、閑静な街に響き渡る男の叫び声。 背後から聞こえるそんな男たちの声から逃げるように、青年は裸足のまま無我夢中で走っていた。 冷たいアスファルトは青年の足から熱を奪い、落ちていたガラス片は傷をつけた。 それすら気にしない……いや、気にならない様子で青年は走り続ける。 捕まりたくない。もうあんな所居たくない。嫌だ!なんで俺がこんな目に……!  悲しみや怒りを

          【LOT・開幕編】第一章 開幕