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そしてそのクオンタムリープは、「つながり」で創造された

「こんにちはー」

誰も出てこない。

しばらく待ってみたが、そのままなので、あきらめて、店出た。

玄関を飾るお花、ほんの二輪(りん)、欲しかった。

小さなお花屋さん。毎日前を通ってる。

狭い店内見渡すと、壁一面ドライフラワー。

真ん中の棚に花束がある。こぶりで、いい感じのもあるけど、人がいないんじゃしょうがない。

思った。

経営、しんどいんだろうなあ。

店内いっぱい生きたお花で埋める

ということは、それだけ運転資金を眠らせることになる。

お金は腐らないが、お花の命は短い。

わざと、お金の寿命を短くするのがお花ビジネスといえる。

やはり大きな資本のあるチェーン店でなければ、相当きついんだろうね。

運転資金の何パーセントかを、毎日確実に失うのが前提のビジネスモデルだから。

壁面いっぱいがドライフラワーというのは理解できる。

お客さんの便宜をはかってだろう、各種決済手段のシールがレジにペタペタ貼ってあるが、これらも利益を奪う。

売れたとしても、決済手数料が差し引かれ、純利益を減らす。

日本人が本家本元パリでフレンチレストランを起業し、ミシュラン三つ星を獲る。

ミシュラン三つ星は;

(ミシュランのタイヤ搭載)車に乗ってわざわざ店まで旅に出て食べに行くにふさわしい価値を提供するレストランに与えられる。

もともとタイヤメーカー「ミシュラン」のマーケティングから始まった。

初代ミシュランマン、コワい(笑)

日本人が本家本元パリでフレンチレストランを起業し、ミシュラン三つ星を獲る。

ことの難しさは何よりもまず仕入れ。

鮮度良い野菜、魚、欲しいスペックの肉・・・

どれ一つとっても、すでに他の店が仕入先とがっちり握ってる。

そこへ新興の、しかも外国人シェフが「よろしくお願いします」と行ったところで相手にされない。

1が欲しくても2や3をつかまされるのは当然といえる。

映画『グランメゾン・パリ』はそこをしっかり描いてる。

最高級のキャビアを仕入れるのに苦労する。

キムタクシェフが「一度食べてみてください」と、キッチン借りて、キャビア料理を作って、食べてもらう。

「君の腕はわかった。美味しい。でも、うちも(他の店と)取引があるんでね。悪いね」

三つ星レストランはどこも、「ここにしかない」売りのキャビア料理がある。

ネタバレになるから経緯は省くが、苦労の末、野菜、肉、キャビア・・・すべて「1」の食材を仕入れることができるようになった。

「つながり」をつくることができたのだ。

そう、宇宙と同じく、すべては「つながり」でできている。

ここで経営的に心配なのが「運転資金は大丈夫か?」(笑)

キャビアだけでも一回の仕入れで日本円にして100万は用意しなきゃならないだろう。いや、100万じゃきかないかも。

そして

三つ星獲る

ためには「とんがったメニュー」が必要だ。

「とんがり」とは「remarkable」つまり、「re-mark=口コミ」したくなるような独創性、ほかにはない輝きのあるメニュー。

キムタクシェフ・レストランはずっと二つ星で止まってた。理由は料理にあると考えてた。

違った。

「つながり」があるか、ないか。

キムタクシェフは「オレ」だった。一人称単数。

そうではなく、店の仲間・・・さまざまな背景をもった仲間・・・たちと「つながり」をもって、みんなの背景を活かす。

皿を温めておくとして、テーブルまで運ぶあいだに冷める。配膳係が何度もストップウォッチを使って秒数を測定し、ベストな皿の温度、ベストな歩速を決める。

一皿(ひとさら)がキッチンからお客さんのテーブルに届くまでも「つながり」で決まる。

「オレたち=We」になったとき、店は三つ星にふさわしい力を備えた。

二つ星の延長に三つ星はない。

クオンタムリープ(量子跳躍)を果たさねば生まれなかった。

そしてそのクオンタムリープは、「つながり」で創造された。

とんがりを生み出すのも、「つながり」だとわかった。

いい映画でした。

マーケティングやる人に、おすすめです。

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この記事書いたあとでThe Economist読んだら、こんなのがあった(笑)

「ミシュランガイド、最近どうよ?」的な記事(笑)
2025年1月28日現在の世界の三つ星レストランの数

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