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死と生が二人いて、手つないでる

クリスマスくらい家で過ごそうよ、早くお国に戻ってくれという吾輩の願いも虚しく、外国人観光客は日本に居座ってる。正月もこちらで越す魂胆のようだ。どうする家康。彼ら、近いんだよね。京阪改札で手続きやってたら肩くっつけてくる。誰か知り合いがノリでやってるのかと笑って振り返ったら知らん外国のおばさんが笑いかけてきた。

「メトロ?」

話しかけてきて。

地下鉄と間違えてるようなので、全身で否定したら、スマホ画面見せて、連れて行けという。

ぼくはこれから仕事で京阪に乗るんです。やまやまですが、いけません・・・というのを彼女の言語でどう言えばいいのだ。どうもアジア圏・・・インドシナ半島エリアの人々にはぼくが同郷に見えるみたいで、なつかれて困る。「わたしたちフロム・ベトナム旅する女子4人組よ」から日本橋食べ歩きに誘われたこともある。

さて、人であふれかえる京都の仕事を終え、人であふれかえる京阪電車揺られ「北浜駅」下車、地上へ上がるとこれまた人の渦。中之島イルミネーションで公会堂がプロジェクトマッピング、エラい別人になって威張ってる。

一夜明け。

水鳥が泳いでて、そう、これが中之島の本来の姿ですよあなた。

映画『海街diary』。

好きが嵩じて写真集まで持ってる。

表紙

女の素足から始まる。長澤まさみ。潮騒。スマホへメッセージ。男の前でも平気でふわりと服着る。慣れた関係とわかる。性欲=生命。

で、何のメッセージだったかというと父が亡くなった。15年も会ってない。私を捨てた父。涙なし。

この映画、葬儀で始まり、葬儀で終わる。喪服三回。ラストシーン、全員喪服。
死の匂いが全編に満ちてる。
なのに、四姉妹が暮らす日常生活には生のパワーが満ちる。

裏表紙

葉山に十年暮らしたのでわかるが、湘南海のそばっていうのは、なぜか、死と生が二人いる。いつも手つないでる。
背の高いビルが並ぶ都心に暮らすと、生しか見えない。
ほんとうは生と死は二人セットなのに。これはなぜなんだろう。

海、きれい。
桜、きれい。
桜の花道、自転車二人乗りで走り抜ける。きれい。
花火、きれい。
生しらす、美味しい。

きれい。
美味しい。
すべて「いま・この瞬間」。
先のことはわからない。

生と死をセットに思い起こさせる。

つい浮かれてしまう自分を知ってるから、時々、観返す映画。
そんな作品です。

生を輝かせるために。

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