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3つの病

元旦そうそう届いたLINE。

新春恒例! 1月中はすべてのメニューが50%OFF!

エステサロン。ということは1月、ふだんの2倍身体使って働いて、財布の中身は半分ということになる。

年末年始は毎日梅田に行ってた。徒歩圏内なので。

2日、JR大阪駅にくっついてる商業施設ルクア&ルクアイーレは新春バーゲン始めてた。
福袋も出てる。

50%OFFで来る客は常連さんにはならない。
バーゲンで来る客は常連さんにはならない。

たとえばエステサロンの場合、こうしたらどうか。

新春来店感謝! 新年を寿ぐあなたのボディ診断します。通常5,000円のところを50%OFFの2,500円!

であれば、通常メニューに「足す」ことになる。

「すべてのメニューが50%OFF」だと何も足さないばかりではなく、半分の売上、利益をわざわざ自分で作ることになる。そして、来た客はリピートしない。

なぜこうなるんだろう。

3つの病が原因だ。

#1: 手持ちカードが少ない病

家とサロンの往復で忙しく、外の世界を見ていない。
映画やアートに触れることで、「視点・視座の移動」がない。視角の広がりがない。

だから手持ちカードが「値引き」だけになる。

この値引きが、現在の日本経済を貧しくした、なんていう抽象思考もできない。

#2: 具体思考シンドローム

そう、いまの日本人に多いのは、この、「抽象思考ができない」「具体思考のみ」シンドロームだ。なぜそうなったかというと、国語が弱くなってる。SNSのおかげで、「意味がわかればいい」「うちらで通じれば文法は関係ない」のが広がった。だからじっくり考え、丁寧に言葉を選ぶ、なんてことはしない。本読まないしね。

のん企画・脚本・監督・編集・主演映画『Ribbon』のレビューに、こんなのがあった。

「部屋(笑) 家具どうしたんだ」

のんが自室全体をアートにしたことを理解できていない。

コロナで外出できない、美大も閉鎖、作品が制作できない、「そもそもコロナの社会でアートは人間に必要なのか?」という問いをぶつけられ、凹みまくった美大生主人公(のん)がReBorn(再生)する物語であり、タイトルのRibbon(リボン)はそれに引っ掛けている。具体世界の住民はそれがわからない。

のんで思い出したが、ぼくが大好きで、今日これから二回目映画館へ行く『私にふさわしいホテル』が12/27公開開始し、一ヶ月もしない今週金曜日1月10日に終演という。

あの世界観・・・文豪の愛した山の上ホテル、創作の喜び、文壇あるある、賞取りレースあるある、たった一人で立ち向かうサクセス・ストーリー

は、背景に文化的なものがないと理解できないのだろう。

翻訳家・通訳(日仏伊)/主に舞台芸術の翻訳、通訳を生業とされている平野暁人さんのnote

やたら長い(笑)。日本人の文化的貧困に触れておられ、共感する。

#3:「大きいことはいいことだ」病

1967年、森永エールチョコレートのコマーシャルのコピー
「大きいことはいいことだ」
日本が高度経済成長の時代であり、量が大きいことがとにかく良い、という価値観。
マス・マーケティング。

驚くことに、いまもビジネスの背骨にあるのがこれ。

SNSになっても「いいね」「チャンネル登録者数」「再生回数」「シェア」「バズる」ひたすら数の大きいことはいいことだ

これが新自由主義、弱肉強食の考えにも親和性が良く、「コスパ」「タイパ」を気にする若者の思想にも反映されている。ホリエモン、ひろゆき、あと、なんていったっけヘンテコなメガネのおっさん。彼らの考えがまさに新自由主義、うまくいかないのは本人の自己責任、アタマ悪いやつは捨ててしまえばいい。置いていけ。

「大きいことはいいことだ」と思ってるから、採算無視でバーゲンする。

商いの原点は顧客獲得と顧客維持なんだけど、まるで考えてない。

#1: 手持ちカードを増やす
#2: 抽象思考を鍛える
#3:「大きいことはいいことだ」病から脱する

この3点、今年の課題とします。

勉強会やらコンサルティングで特に留意することにします。

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