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1と2

Dogs have four legs. 

直訳すると「犬は4本の足を持つ」

「持つ」have動詞ですね。

日本語で同じ意味を言うとすれば

犬には4本の足があります。

「持つ」とは言わない。

自然と、足が備わっているというか、生まれつきある。

It rains. 雨が降る。

日本語では

雨が降る

そのままです。

haveは「犬」が「持つ」

持つということは、「持ち主」と「持たれるもの」があって、前者は「犬」、後者は「足」。

つまり、同じことを言うのに、英語は二元論、2つに分ける。

日本語では、「犬は自然に生まれつき4本の足がある」

持つももたないも、ない。1つ。

雨が降る

と日本語で言う場合は自然の営みとして

自然に降る。1つ。

It rains.

だと「It」と「rains」と二元に分けてる。2ですね。

ここでいう「It」って何やねん?

おそらく「自然を創り給うた神」でしょう。

世界は神が創造した

というのが西洋的発想。

誰が作るとかいうより、最初っからあるやん

というのが東洋的発想。

小さいころから英語話している人は、やはり2元論、「2に分ける」思考に慣れきっている。

小さいころから日本語話している人は1元論、「自然に」「自ずから」思考に慣れきっている。

鈴木大拙先生『最も東洋的なるもの』講演(1963年)を聴いた。

上の話は、鈴木大拙先生のお話からインスパイアされたもの。

聴き終わり、急いで映画館へ向かう。

『シビル・ウォー アメリカ最後の日』

まったく観る気なかったのだが、来月結果が出るアメリカ大統領選の結果いかんでは内戦が起きるかもしれない、という危機感から。

いやー。

不愉快極まりない作品だった。

これは監督の意図通り。

彼はわざと観客に不快感を与えたかった。

リベラルでハトのイメージあるカリフォルニア州と
タカで好戦的なイメージあるテキサス州

組んでホワイトハウス(大統領府)を攻める

そもそも誰が敵で、なぜ敵なのか

戦争の現場ではわからなくなっている

一発の銃弾が、人生を終わらせる

内戦の理由は複雑過ぎて、当のアメリカ人すら、わからない。

アメリカではかつて南北戦争をやった。これも「シビル・ウォー」と呼ばれているが、この場合は「奴隷制度に賛成か反対か」というわかりやすい論点だった。

しかし、SNSが発達し、価値観が交錯し、レイシズムがはびこる今のアメリカでは、「ケンカの発火点」はいくらでもある。複雑すぎて、わからない。

「同じアメリカ人じゃないか」
「どの種類のアメリカ人だ」

映画のセリフ。

「どの種類のアメリカ人だ」(What kind of American?)

「どの種類の」

これがいまのアメリカを的確に表現している。

そして、やはりここでも「分けて」考える思考法が出ている。

have動詞を言葉覚え始めて以来ずっと使い続けた人の思考が出ている。

分断って、思考法から生まれるんだ。

途中、いったいオレは何を観させられているんだろう

早くこの映画、終わらないかな

隣の人も、その隣の人も、劇場全体のみんな、早く出たいよね? ここ

という気分だった。げんに、途中で出ていく人もいた。

本編終わって、エンドロールになって、たまらず出た。

映画は最後のさいごまで観る

のがぼくの流儀なのだが、今回はたまらず、出た。

体が冷えきり、呼吸が浅くなり、めちゃくちゃ不健康な気分になった。

お金と時間とエネルギー使って、不愉快になった。

映画館出たら、土曜日の午後、梅田はまっすぐ歩けないほどの人・人・人・・・

この平和が愛おしい。

ただ、モラルのかけらもない金持ちがメディア(X)を所有し、そこでフェイク動画を流し、トランプに大口献金し、トランプを勝たせようとしているのは映画ではない。

現実だ。

この現実からは、映画館を出るように、出るわけにはいかない。

いかないが、

取り急ぎ、予定どおり、書店へ行き、

『ムーミン谷の十一月』を買った。

ムーミン谷、どこにも分断がないから。

安心する。

同じ戦いでも、『侍タイムスリッパー』ではやはり日本人のメンタルが出ている。

敵も味方も、一つ。

2ではなく、1。

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