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『The Greatest of All Time (The G.O.A.T)』
出演:Vijay , Prashanth , Prabhu Deva , Ajmal Ameer , Mohan など
監督: Venkat Prabhu
公開:2024/9/5
主演は、タミル映画界で圧倒的な人気を誇るVijay。
彼は今年の2月に、俳優の引退と政治家への転身、新党の立ち上げを表明しており、2026年に行われる州議会選挙へ立候補すると見られている。
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本作は彼が出演する68番目の作品だが、「Thalapathy 69th」の存在も明らかになっている。
そのため『The G.O.A.T』が彼にとっての最後の作品というわけではないが、引退作品の一つという位置づけになると思う。
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以下、例のごとくネタバレ込みで感想を。
ざっくりとしたあらすじ
インドの対テロ部隊(SATS)に所属するGandhi(Vijay)。バンコクでの任務の最中、何者かに5歳の息子Jeevanが誘拐される。直後に子どもの焼死体が発見され、それがJeevanのものだと判断される。
それから16年後。空港のイミグレ職員に転職していたGandhiだが、元ボスの要請でモスクワに新設されたインド大使館に行くことになる。そこで暴漢からの襲撃を受けるが、そのうちの一人がGandhiとそっくりの風貌をしている。なんとそれは、死亡していたはずのJeevanなのだった。GandhiはJeevanを説得して一緒にインドに帰り、久しぶりに家族が感動の再会を果たす。
さて、16年前のバンコク。Jeevanを誘拐したのは、Gandhiに家族を殺され、SATSへの復讐に燃えたテロリストのMenonだった。彼はJeevanを誘拐して洗脳し、立派なテロリストに育て上げていた。
よって、GandhiとJeevanの再会は決して感動的なものではなく、父vs子の命を懸けた壮絶なバトルの幕開けとなるのだった……‼
トレーラーを見れば一目瞭然なのだが、成人後のJeevanもVijayが演じている。
つまり、今のVijayと特殊メイクで若返ったVijayが闘うというVijayづくしの映画。
『The G.O.A.T』の制作にあたって、インド映画でも上位レベルの高額な制作費がかかったらしいが、最新の若返り技術が特に高額だったらしい。
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冒頭にも書いたが、本作はVijayの引退作品の一つ。
よって、彼の映画の総集編みたいなものだったのではないかと思う。
インターミッションに入る前に、スクリーンに「Thalapathy vs ilaya Thalapathy begins」という文字が大写しにされて面白かった。
※現在、Vijayはタミル語で「大将」を意味するThalapathyの愛称で呼ばれているが、若いころはilaya Thalapathy(若大将)と称されていた。
その他、有名俳優のカメオ出演やオマージュがふんだんに盛り込まれていたっぽい。
何気ないセリフでも、劇場内が大盛り上がりになる瞬間がたくさんあったので、詳しい人が見たら「あっ、あの時のセリフだ!」みたいなのがちりばめられていた様子。
Thalapathy Vijay’s The GOAT Pays Homage To Rajinikanth, SRK And Tom Cruise - News18
映画の最後は、クリケット会場でGandhi vs Jeevanのバトルが繰り広げられる。
国内プロリーグ、Chennai Super Kings 対 Mumbai Indians の白熱する試合が行われるスタジアムに、Jeevan率いるテロ組織が爆弾を仕掛け、Gandhiがそれを阻止しようとする。
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ところで、Chennai Super Kings と Mumbai Indians は、ともにプレミアリーグで最多優勝回数を誇る強豪チーム。
それゆえにチェンナイはクリケット熱が高く、映画内でクリケットの試合シーンが流れると観客は大いに盛り上がる。
そんな我らがSuper Kings には、Dhoniという超人気選手が在籍している。
そんなDhoniも本作に友情出演という形でスクリーンに姿を現しており、演技こそしなかったものの、劇場内はVijayの登場シーンと同じくらいの歓声が上がっていた。
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最後に、映画の内容とは関係ないが、映画館で起きた面白いハプニングについて。
上映開始20分ほどして、音声がでなくなるというトラブルが起きた。
当然、劇場はブーイングの嵐。
誰かがスタッフにトラブルを伝えに行き、いったん上映が中止になる。
音響設備は10分ほどで復活したのだが、裏でフィルムが回りっぱなしだったようで、スクリーンに再び投影された映像は少し進んだものだった。
再び、劇場内はブーイングに包まれる。
その後、フィルムを止めたり、巻き戻したり作業をしていたが、うまく調整できなかったようで、結局最初から上映されることになった。
つまり、冒頭20分ほどの映像を2回見ることになったのだった。