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山をただ歩く、贅沢な時間_奥高尾縦走コース

森の中をただ歩く。
そのことそのものが、とても贅沢なこと。

両膝の痛みが出て顔をしかめながらの下山、であったとしても。

今年の山納め⛰️を歩き終えて残った気持ち。


いきなり余談。
丹沢山のときに行動食をもりもり食べて、粗食に慣れたはずの食生活が再び大食いになりかけていたところ…
肉体改造計画が順調に進んでいる、という、森を通して出会った方のFacebookの投稿を見た。
影響を受けやすい私は、思いたって、もはや何年使ったかわからないくらいお世話になった、タニタの体組成計を買い換えることに決めた。

新しいもの

朝、出発前に乗ってみたら、体内年齢?が実年齢−7歳と出てすっかり気を良くした私。
体重と体脂肪率(どうも皮下脂肪が多いらしい)は上がってしまったので、夏までに-3kg,-3%達成して維持できたら理想。
筋肉量とかも表示されるのでしばらく楽しめそう。


山納めとして、ロングコースを歩きたかった。新しい道を歩くようなエネルギーはないので慣れた道がいい。大倉尾根からの塔ノ岳と奥高尾縦走で迷ったが、丹沢表尾根縦走の時から膝周囲の違和感が残り、時々足首にも違和感が出る状態で、大倉尾根は痛みとの闘いになるかもと思った。
また、チャレンジ山行は前回やったので、楽しみながらただ歩くのもいいなぁ…ということで、久しぶりの奥高尾縦走(陣馬山→高尾山)に決定。
晴れていれば陣馬山からの眺望も最高だし、茶屋にも寄りたい。

陣馬高原下バス停で下りて陣馬山へ登り、その後景信山、小仏城山、そして高尾山へ。
高尾ハイカーにとってはメジャーな道である。

最後の下りをどうするかで変わるが
距離17km、累積標高は登り1100m下り1200mくらい。

高尾駅発陣馬高原下行きの始発バス🚌は、いつもの週末より人はやや少なめか。
7時過ぎにバスを降りた時、体感としては2週間前よりかなり寒く感じた。
今回は機能より見た目重視のウエアリング(あ、もちろんアウトドアブランドなので機能もあります)。陣馬山までの登りがちょっとしんどいので、汗をかかないようにかなり薄着になった。
いつも湿っている印象があった登り道は、雨が少ないためカラカラに乾いていた。こんなにザレ気味だったっけ?と思いながら登る。
しばらく階段状の根っこだらけの道を登った後、視界が開けてくる。

朝日が横から入ってくる

このトラバースを過ぎたあとの左側斜面に、よく"シモバシラ""氷の華"を見かけるのだが、見つけることができなかった。
シモバシラという植物は、枯れているように見えても土の水分を吸い上げていて、それが冷気で氷になっているものを氷華と呼んでいる。
裏高尾〜陣馬では、この季節の名物?と言っていいのかもしれない。

山頂直下の分岐でいつも迷うのだが…明るい道を選んで登っていく。
都心方面の眺望もひらけてきた。

日当たりがよいので期待していなかったこの場所で、シモバシラの氷華を発見❣️

3,4cmというところかな。
毎年のようにシモバシラの氷華を探しに裏高尾を歩いていたけど、昨年丹沢にデビューしてから冬の裏高尾を歩く機会も減っていたので久しぶり。
実は今回の山行の目的のひとつでもあったので嬉しい。誰もいないこの道で、1人で楽しませてもらった。

9時少し前に、陣馬山へ到着した。

富士山方面には雲が

週末は賑やかなこの山頂も、まだ比較的静かだ。
茶屋も開店前だったのか、旗は出ていたものの声をかけても反応がなかったので、冷たい風の吹く見晴らしの良い場所に座ってどら焼きを食べる。

右奥に大岳山、そこにつながる縦走路が見える。いつか歩こうと思いながらまだ歩けていない。

アップで。

さて、ここからはしばらく林の中の平坦な縦走路を歩く。
木漏れ日の中を黙々と歩く。
時々巻き道も使う。膝の様子を見て堂所山は巻くことにした。

大岳山はずっと見えていた

奈良子峠、明王峠と順調に進む。休憩するには早過ぎるので先へ。
景信山が近づく頃にいつもバテ気味になるので、底沢峠の分岐で補給する。
ペース早いかなと思いながらも、深く考えずにどんどん歩いてしまう。

キラキラと朝日が光る、景信山の手前の登り道で…ふと…
自然の中をただひたすら歩く。歩くこと自体が目的。これってめちゃくちゃ贅沢な時間じゃないか?と思った。

ここを登り切って
眺望が開けて
景信山山頂
富士山は雲で隠れそう
カロリーばくだん

小仏城山でトイレ休憩のつもりなので、あまり長く休んで冷えないように小休憩とする。
景信山周辺からの、好きな眺望がもう一つ。

丹沢方面
アップで

大山から丹沢三山、蛭ヶ岳。大室山まで全見えだ。
この一年で、丹沢の山々もだいぶわかるようになった。


実はこの辺りから左膝の曲げ伸ばし時に痛みを伴うようになってきていた。
左脚を先行して下ろしながら、騙し騙し歩く。
痛いのは下りだけで、上りは大丈夫。スピードは少し落とす。
小仏峠まで来て、しばし考える。ここで下山する?

小仏たぬき

…茶屋で何か食べたい、という気持ちが勝り、小仏城山まで登り返すことにした。その後は実質エスケープはできなくなる(高尾山から乗り物で下りるくらい)けれど。

小仏城山に着く直前。
いつもここで写真を撮りたくなる

小仏城山に着く直前に、小さい白いものが落ちてきた。アラレかな。日は出ているので、今だけかな。
茶屋は2軒とも開店していた。いつものように賑わっている。餅つきしている方々も。

さて、陣馬高尾の茶屋の定番、なめこ汁を頂こう。
今日は青天狗の味噌仕立てにした(城山茶屋はすまし仕立て)。

持ってきたおにぎり🍙は冷気で硬くなっていた。やはり今日は気温が低いのだろう。
それなのに少し汗ばんでしまったので、やはりハイペースだったな。膝には良くないのだが…つい。

大きななめこ

おにぎりとなめこ汁で、けっこうお腹がふくれた。
おしるこもお目当てだけれど、もみじ台の細田屋さんでいただくことにしよう。

一丁平に向かう

膝の痛みはじわりじわりと強くなっている。左だけだったが、ついに右も。でも歩き続けることはできた。
泊まりがけの縦走登山では、日を重ねるごとにこのような痛みとともに歩くことになるのかな…と思いながら。

もみじ台の裏手には巻道があるのだが、細田屋さんに行くために巻道ではなく長い階段を登る。登りでは膝の痛みは感じないが、大腿前面に負荷をかけることが膝痛を悪化させるので、丁寧に登る。

途中、アジア系の外国の方々がはしゃぎながら、生えている木に向かって足を振り上げて、木の幹にシューズの底をグイグイ押し当てているのを目にした。(木を蹴り付けているような感じで)

なんでそんなことするんだろう。。。。
木に対する敬意なんて全くない。

自然の中でどのように過ごすのかは個々で違っていいとは思うけど、自然に対する敬意や愛情がないのであれば来ないでもらいたい。と思った。


脚の回復のために細田屋さんで長めに休もう。と思ったけれど…

なんと、おやすみ💔
週末だから大丈夫だと思っていた

いったん休めばいいものの、"おしるこ"が頭から離れなくなった私は、高尾山頂までそのまま進んだ。でも山頂の茶屋では甘味はなさそうだった。

山頂も混雑しているので、結局高尾山薬王院まで歩き続けた。薬王院の下り階段は膝に堪える💦
でもそれぞれのお社にお参りして、今年も高尾山に登ることができた感謝を伝えた。

ケーブルカー高尾山駅手前の茶屋には確か甘味が…
しかし

こちらもお休み💔

流石に脚を休めないといけない。城山から1時間半が経過していた。
持参した粉末のチャイラテをお湯で溶かし、行動食の残りと共にいただく。
大好きな天狗焼きを買いに行くという選択もあったが、きっと並ばないといけないし、並ぶのは嫌だなと感じた。(実際にどれだけ混んでいるかもわからないが)

そのくらいの状態ならケーブルカーで降りればいいのに、なぜか「予定通り歩いて降りる」という気持ちが強かった。
休憩時にロキソニンを飲もうと思っていたのに、それも忘れて。。。

何度ここからの景色を眺めただろう

最近はもっぱら琵琶滝へ降りる道を下りで使っている。高尾山の中では山らしい道の一つ。観光で来た方にとっては「悪路」。
立山雄山に登頂する前、ザレ道の下りの練習のために何度もここを歩いた。結構慣れて、リズミカルに下れるようになっていたけれど、今回の膝にとってはなかなかキツイ。
そろりそろり足を下ろして、コースタイムジャストくらいまでスピードが落ちる。痛い、痛いと脳内で繰り返したのでおそらく“眉間にシワ“状態だっただろう。

何人もの人に道を譲りながら…無事に、転倒せずに下山できた。
ふう。

今年も登らせていただきありがとうございました。

14時過ぎだったが、甘味処は閉店していた。結局おしるこには縁がなかった。
もう、ここまで来たら…

TAKAO COFFEEへ。
キャロットケーキ800円

いつもは外で我慢?していたけど、お手洗いも借りたいので久しぶりに入店することにした。
キャロットケーキは、スパイスやナッツもたくさん、上にはバタークリームかな。
大変美味しゅうございました💕

(駅の階段を乗り切るために、思い出してここでロキソニンを内服した)


以前はこんなふうに、茶屋を楽しみにしたり、気分の高揚のまま、または周囲と張り合うように歩いていたような気がする。(で、膝が痛くなったりも多かった)
ここ2、3年は、アルプスの目標を立てて、そこに向かってどうトレーニングをするか、脚が痛くならずに長時間歩くには。補給のタイミングは。
…そんなことを考えることが増えていた。

久しぶりに、そのようなことをあまり考えずに歩いたかもしれない。
何かを燃焼させるかのように、前半はひたすらグイグイと歩いたような気もする。
で、膝が痛くなった💦

痛くなってしまうと、それだけに意識を向けざるを得ないので、目の前にある自然と対峙することはできなくなってしまう。
同じコースを歩いたとしても、脚の痛みを最小限に抑えるには…その要素の一つは歩行ペース。
ペースが早すぎるというのは、気持ちが身体よりも先行しているのかもしれない。何も考えていないようで、実は外へ意識は開いていなくて、内にこもっているだけかもしれない。
前回より少しでも早く歩きたい、かっこいい山行記録にしたい、そんなエゴみたいなものも見え隠れする。
エゴ自体は悪いことではない、だって趣味なんだし、それがあることでステップアップできるのだから。
でもそれは…もしかしたら、私にとって“身体を大切にしていない歩き方“につながっているのかもしれない。

山をただ歩く。
それはとても贅沢な時間。

それをどう過ごすのか。。
時にはエゴを優先したい時があってもいい。(自分だけで完結するのであれば)
ただ、ほんとうは、山でどう過ごしたいのだろう?

・・・

やはり、自然と対峙しながら、調和しながら歩くこと、かもしれない。
身体と心を一致させながら、自分を大切にしながら歩く。
トレーニングとして歩く日は、それはそれで(痛みという代償込みで)割り切って行こう。

ついでに、「かっこよく、美しく歩きたい」というエゴもあることを自覚している。丹沢の写真を見て、「なんだかもさっとしている」と改めて思ったから…

新しい年も、また山を歩きたい。歩き続けることができますように。
それには自分にとっての優先順位というのも考えながら、がよさそうだな。