高校教員の仕事とは① ~授業は後回し?~
1.この記事を読んで欲しい人
この記事は
・高校教員になろうかどうか考えている人
・高校教員の仕事内容について詳しく知りたい人
・高校教員という仕事の良さと厳しさを知りたい人
に向けて書いています。
シリーズ最初の記事となる今回は、高校教員の仕事の全体像をさらっとお伝えします。
2.教員という仕事の良し悪し
私は、①事務職員→②大学院→③教員(講師)→④教員(教諭)という経歴をたどっています。一応は一般企業(というか団体)で働いていたワケです。
そんな私から見て、教職というのは実に変わった世界です。
労働者として考えたときに、良いところも悪いところもあります。
>2-1.教職の悪いところ
悪いところはズバリ、
①労働基準法完全無視な労働環境
②労使者たる管理職(教頭、校長、教育委員会)の労使意識の低さ です。
事務職員していた頃は、17時を過ぎて仕事の報告を上司にしようものなら「定時過ぎてるんだけど!」とこっぴどく叱られたものです。
人を働かせるには常にコストが掛かっている。だから、労働者は効率的な働き方を常に考え、労使者も無駄な仕事は削減する。
そのように思うように躾けられたものです。
ところが、学校の管理職ときたらそんなの一顧だにしません。
「放課後講習」「土曜日講習」という名の実質授業の増加施策を採り。定時後まで部活動でこき使い。昼休みに生徒指導を実施させる。
「労働者の権利」だとか「コスト意識」だとかとはとんと無縁の世界です。
>2-2.教職の良いところ
そんな教職の他の職ではまず考えられない良いところ。それは、
①クリエイティヴな授業を好き勝手にすることができる
②利益を追求しなくてよい
③成果を数字で証明しなくてよい ことです。
②③はとても楽です。
「教科の成績を向上させる」「大学に〇人進学させる」と言った数値目標が課させる学校もありますが、それにしたってチームで取り組んでいくものですし、そう無理な設定はされません。また、達成できなかったところでクビになったり減給されるワケではないのですごぶる気が楽です。
①は本当に楽しいです。
事務仕事は、法規と前例に倣って同じようにしていく仕事です。仕事の内容も、上司の思ったことを形にするように求められました(そういう気質の上司でした)。
ところが学校の授業は一人ひとりの教員の創意工夫が求められます。変なことは教えられませんが、教え方は自由です。
例えば英語の授業であれば、文章を和訳させても良いし、劇をさせても良いし、対話をさせても良いし、英語の歌を歌っても良いんです。
こんな自由でクリエイティヴな仕事はなかなかありません。
3.高校の業務の種類と優先度
皆さんは「高校教員の仕事」と聞いて何を思い浮かべますか?
まっさきに思い浮かぶのは「授業」だと思います。その次に「部活」でしょうか。
あとは、生徒がヤンチャしたときに生徒指導したりする「分掌業務」でしょうか。でも、大人しい生徒ばかりの学校だったら、この仕事無くなるから楽だよな。教員って結構楽そうだよなぁ。
そんなふうに、高校生の私は考えていました。
さて、それから十数年。
私がとある高校に赴任した時のことです。
応接室に居並んだ新任の講師・教諭を前にして、主幹教諭(教頭の一歩手前のポジション)はこう尋ねました。
「教員の仕事を、優先度順に挙げてみてくれる?」
若い先生がこう答えます。
「まず授業ですよね。それから担任業務、分掌業務、部活」
そうだそうだ、と多くの教員が頷きます。
皆さん若いです。大学卒業したてで、キラキラ瞳が輝いています。
すると、主幹教諭はベテラン講師(採用試験を落第し続けている)の私を見て、
「先生は?」
と尋ねます。
私は、死んだ魚のような瞳で一同を見渡して、答えます。
「分掌業務が最優先です。それも外部と関わりのあるものが。次が、校内の他教員と関わりのある仕事です。いちばん後回しにするのが自分でどうにでもなる仕事、つまり授業です」
あまりに夢のない答えに「えっ」と引いた表情をする若い先生方。
でもね、これが現実なんです。
「その通り!」
我が意を得たりと主幹教諭は頷きました。
4.終わりに
以上、高校教員の仕事の優先度でした。
いかがでしたでしょうか。
私はかつて先輩教員に
「高校教員は授業が命」
「授業がしっかりできない教員には生徒も付いてこない」
と言われました。
なるほど、その通りだと思いましたし、今もそう思っています。
どの仕事でもそうですが、理想通りの働き方はなかなか難しい。それでも、なんとかしたいものですよね。
さて、「これが聞きたい!」というものがあれば、ぜひお知らせください。
可能であれば、該当記事から優先的に書こくうと思います。