【日記】身体が変わるまで歩み寄る
今日は研究室でのアルバイトと講義。
大学でDTM(デスクトップミュージック)の講義にもぐっている。ノートパソコンにソフトをダウンロードして、音楽を作る教養科目だ。
途方に暮れている。音楽の基礎知識無し、楽器も歌もやってない。なのに周りは学生楽団や軽音、音楽教員養成課程の学生ばかりで、講師もサクサク進めていく。もちろん個別に質問に答えてもらえるが、質問する度に気が滅入る。
私には音のパーツのイメージが無い。四分音符とか何分音符などの、音の長さが再生できない。パーツ、パーツで聴いたことがないからだ。これは言葉で例えるならば、漢字を知らないから熟語の意味を想像できないような感じに思えた。
拍子とリズムも混同してる。手拍子ってあるじゃん、あれリズムじゃないのか?
パソコンがフリーズしたので、電源を長押して消した。これはパソコンにとって殴り倒され気絶するような衝撃らしいと聞いたことがある。もう一度、起動するが、続きは止めて考え事をした。
高校の時、伯父からギターを譲ってもらった。楽器屋で直してもらい、コードを押さえる練習をしてみたが、コード奏法が曲になる気がしなくなり、止めた。コードを押さえたまま、ストロークでどんな速さや調子で弾けば良かったのか。リズム通りかメロディ通りか、それとも違う音か。
一応、指がうっすらだが、膜のように固まるまではやってみた。溶かした蝋を指先につけたみたいになって、それがなんだか気持ち悪く、なんとなく面白く、しょっちゅう指と指を擦っていた。
考えてみれば、音楽をやると身体が変わるんだ。ギターの指も、ドラムを叩く腕も、管楽を吹く肺も、歌う喉も。DTMも楽器も、やる人がそれらを知りつくし、感覚をつかみ、技術を修める。やる人が楽器に歩み寄り、自分の身体を変える。音楽をやる人は、すごく大人なのだな。自分で相手のために変わるから。立派だな、と泣きそうになった。
講義が終わり学生たちが席を立つ。あとはバイトが残り一時間あるので研究室に戻った。