「AI依存症」が現実になる日
10/12追記:もう起きているAI依存症
キングコングの西野さんが面白い話をしていたので追記します!
3つ目のチャプター(白熱教室)で、「アートの分野では、すでに生成AI依存症が問題になってるよ」という話をされています。
アートの分野では、すでに生成AI依存症が問題になっているんですね。
この問題は教育の世界で、文章の分野でも確実に起こります。
どんなことが起こるのか、この記事を読めば分かります!
-ここからが本編です-
こんばんは!今日は前回の記事の続きです。
ちょっと怖いタイトルですみません!
前回の記事では、
という話をしました。
生成AIは使わないと学力格差が広がっていくけど、使い過ぎても弊害が大きいんですね。
具体的にどういうことなのか、中2で習う「春はあけぼの」を例に説明します。
宿題:「春はあけぼの」の感想を書きなさい
中学2年生に「『春はあけぼの』の感想を書きなさい」という宿題が出されたとします。
もしAIを使ってこの宿題をやったら、どうなるでしょうか?
実際にやってみます。
中学生: 「春はあけぼの」のあらすじを説明してください。
中学生:清少納言は宮中の政治争いに巻き込まれていましたよね。彼女の状況が、この随筆に影響を与えた可能性はありますか?
(↑授業で習った情報ををそのまま入力したとする)
中学生:清少納言の立場と「春はあけぼの」の関係について、200字以内でまとめてください。
10分で宿題が完了しました。
標準的な中学校なら、最高レベルの評価がつきそうです。
どこまでが自分の力で、どこからがAIの力か?
提出物としては上の文章ができあがったわけですが…これって、どこまでが本人の力で、どこからがAIの力で作ったものなんでしょうか?
よく分からないですよね。
これ、やってる自分としては、とても気持ちがいいんです。
「俺こんなに鋭い視点から文章が書けるんだ!すごい!」
みたいな感覚になるんですね。
でも…文章を書く時に一番頭を使うのは↓の「思考」の部分なんです。
今回の使い方だと、この「どう関連付けたらいいんだろう?」の部分をほとんどAIに任せちゃってるんですね。
子どもはAIに情報を与えただけです。
そのため、このようにAIを使っても、子どもの思考力はほぼ向上しません。
頭が良くなったと錯覚してしまう
でも、アウトプット(=出来上がる文章のレベル)という面で見ると、AIの使い方が上達するほどいい文章が書けるようになります。
AIスキルの上達とアウトプットの向上が結びつくので、子どもはどんどんAIを使いたくなります。
でも、これが進んでいくと…AIの「使い方」だけがうまくなっていきます。
つまり…
思考力は育ってなくて、AIの使い方が上達してるだけなのに
完成物の質は上がっていくので
本人は思考力がついてると錯覚する
という状態なります。
大人ならここをいくらか自覚できますが、メタ認知の育っていない子どもがここを自覚するのは無理です。
結果的に、AIのサポートが無いとうまく思考できない状態…つまりAI依存症になってしまいます。
教育業界はAI化が進んでいます
私は一時期、ベネッセや学研、ナガセ(←四谷大塚や東進ハイスクールの運営会社)など教育大手の株主向け資料を読み漁っていたんですが、どこの会社も「これからはAI活用に全力を注ぐ!」と宣言しています。
つまり、塾や予備校はこれからAIサービスをどんどんリリースし始めます。
そのため、お子さんがどのようにAIを使っているのか、保護者の方は細心の注意を払うべきだと思います。
おそらく5年後くらいには、子どものAI依存症が社会問題になっていると思います。
AIの使い方を教えても、依存症は解決しない
私は、小中学校の授業で生成AIを活用すべきだと思っています。
AIリテラシーの教育を各家庭に任せてしまうと、YouTubeやネットの「こうやって使うと成績が上がる!」のようなヤバい使い方をしてしまう子どもが、数十万人単位で出てきてしまうのが目に見えているからです。
これは、これまでの性教育やネットリテラシー教育の歴史を見ても明らかですよね…。
このことを友人の教員に話すと
という返事がよく返ってきます。
違います。
AIの「使い方」を教えても、この記事で書いたような依存症を生むだけです。
では、学校でAIの「何」を教えればいいのか?
次の記事では東京学芸大学附属小金井小学校 ※ の授業を紹介しながら、その答えを説明します!
※…文科省の「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン(2023年7月)」を改訂(2024年内の予定)するための委員会に、小中学校の教員としてただ一人(≒現場の先生たちの代表として)参加されている先生がいらっしゃる学校です。