マガジンのカバー画像

きりえやいろはがるた【きりえと文】

19
どこかがちがう、おかしなかるた。 パロディ系作品の原点です。 もじりすぎてる札もあるので、元ネタの説明を最後に加え(※引用元:集英社『会話で使えることわざ辞典』ほか)、うっかり…
運営しているクリエイター

記事一覧

きりえやいろはがるた⑲「ねこにかばん」

「きりえやいろはがるた」(2007)より ね「ねこに かばん」
(猫に鞄) 〈解説〉 猫だって大事なものをしまう鞄が欲しいに違いない。
 たとえば……やっつけたねずみとか。 画・解説/高木亮(きりえや) 〈追記〉 むかし住んでた団地の入り口、階段下の踊り場にしばらく野良が棲みついていた。ある日覗けばひとりで跳ね回り、動かぬネズミをおもちゃに遊んでる。僕に気付くと動きをやめて、得意そうに「どう?」とわざわざ見せてくれる。いや、どうと聞かれても…。 しばらくすると飽きた

きりえやいろはがるた⑱「つるのうらごえ」

「きりえやいろはがるた」(2007)より つ「つるの うらごえ」
(鶴の裏声) 〈解説〉 周りの気まずさなどよりも遥かにいたたまれないのは、何より本人自身であろう。 こういうときの対応は、聞こえぬふりをするがよい。 画・解説/高木亮(きりえや) 〈追記〉 あと、独り言を聞かれてしまった時などもとても気まずい。 けれども電車内で周り気にせず深刻な別れ話などされると、聞かされる我々のほうがかえっていたたまれない気分になるのはいったいどうしたことだろう。 鶴の一声 つるの

きりえやいろはがるた⑰「そなえあればうれしい」

「きりえやいろはがるた」(2007)より そ「そなえあれば うれしい」
(供えあれば嬉しい) 〈解説〉
 神様だって生きている限り食べ物が必要だ。 歯形がつかないだけでお供え物だってちゃんと食べている。 食べているのはお供え物に込められた敬う気持ちだ。 小さな神様ほど自分がどれだけ敬われてるのか気にかかる。 毎日あれば、やっぱりうれしい。
 画・解説/高木亮(きりえや) 備え有れば憂い無し そなえあればうれいなし 平生からいざというときの準備を怠らなければ、万一の事

きりえやいろはがるた⑯「れっさーばんば」

「きりえやいろはがるた」(2007)より れ「れっさーばんば」
(レッサー蛮場) 〈解説〉 レッサー蛮場こと蛮場正吉はタイミングを逃す男である。 はじめこのリングネームを授けられたときも、流行りものに手を出すのは危険だと思ったが、断るタイミングを逃してしまった。 案の定流行が去ったあとも、マスクを脱ぐタイミングをはずしてしまい今に至る。 今ではダウン後両手を上げて立ち上がる彼の姿に、会場の二、三人が忍び笑いを漏らすのみである。 画・解説/高木亮(きりえや) 〈追記1〉

きりえやいろはがるた⑮「たーざんの きち」

「きりえやいろはがるた」(2007)より た「たーざんの きち」(ターザンの基地) 〈解説〉
 男には秘密基地が必要だ。
 「そんなもの何に使うの」と、現実的な妻はいうだろう。
 言い直そう。男には秘密基地があるという事実こそが大事なのだ。 使い道だって一応いくつかはある。
 ただし拾った絵入りの本をしまっておく部屋があることは、ジェーンには内緒だ。 画・解説/高木亮(きりえや) 〈追記〉 高校のころ、文通相手に送る手紙で「ジャングルの王者TAOさん」というゆるい4コ

きりえやいろはがるた⑭「よいしゅーと」

「きりえやいろはがるた」(2007)より よ「よいシュート」
(よいしゅーと) 〈解説〉
 キーパー達の立場としては、
 「ありゃ取れないよ。しかたない」 そういわれるのが良いシュート。
 画・解説/高木亮(きりえや) 〈追記〉 ひとごとのように絵も字も書いたけど、そういや僕はサッカー部だった。 祖父の教えだかなんだかで、中学ではなぜか運動部に入らねばならぬ掟が我が家にはあり、「兄どもが引いてないカードで、突き指しなさそうなもの(当時から絵は好きだった)」というどえら

きりえやいろはがるた⑬「かいいぬに てをふまれる」

「きりえやいろはがるた」(2007)より か「かいいぬに てを ふまれる」
(飼い犬に手を踏まれる) 〈解説〉
  犬が飼い主のことをちょっとだけふんだりするのは親愛の情のあらわれです。
  眼鏡を探す手をふまれたぐらいで怒っちゃいけません。
  お尻をくっつけてくるよりはましです。
 画・解説/高木亮(きりえや) 〈追記〉 うさぎが手を踏むのは、行きたい方向にたまたま手があったから。 飼い犬に手を噛まれる (かいいぬにてをかまれる) 日ごろ目をかけていた人や

きりえやいろはがるた⑫「わりににあう」

「きりえやいろはがるた」(2007)より ※注:「を」の札はありませんので「わ」に飛びます。 わ「わりににあう」
(割に似合う) 〈解説〉
  そのようですね。
 画・解説/高木亮(きりえや) 〈追記〉   男には、ときに冒険が必要だ。そして、「店員にそそのかされた」とあとから悔やまぬよう、冒険には確固たるビジョンが必要だ。 特に普段出会わない類のものを一度に沢山目にした場合、脳内シュミレーションが追いつかず思考停止に陥りやすい。 有機栽培農家を志していた作者の友人(

きりえやいろはがるた⑪「ルイはトムをよぶ」

「きりえやいろはがるた」(2007)より る「ルイはトムをよぶ」(ルイはトムを呼ぶ) 〈解説〉 だれやねん。 ネタ/ちーちー(きりえや) 
画・解説/高木亮(きりえや) 妻考案のネタを、まんま絵にしたのが絵札、聞いた直後に思った感想をそのまま解説にするという、今思うと後の偽本シリーズの作り方のもととなった作品。 ルイトムペア、妙に人気がでたため「続きりえやいろはかるた」でも多数登場。トムはさらに偽本シリーズでもいくつかの作品に顔を出しています。 類は友を呼ぶ(るい

きりえやいろはがるた⑩「ぬかにくじ」

「きりえやいろはがるた」(2007)より ぬ「ぬかにくじ」
(糠に籤) 〈解説〉
 「ああっ! オイラのカッパ巻き百本分が!」 
ネタ/ちーちー(きりえや) 
画・解説/高木亮(きりえや) 〈追記〉 このカッパ、「カッパ巻きのヒチ」といって、岡っ引き五郎親分の使いっ走りです。頭についてるのは親分の立派なちょんまげにあこがれて自分で載せたカッパ巻きで、いざという時の非常食にもなります。 見ての通り、うっかりものの、あわてものです。  くじ、当たってるとは限らないのにね

きりえやいろはがるた⑨「りちぎもののにだくさん」

「きりえやいろはがるた」(2007)より り「律義者の荷沢山」
(りちぎものの にだくさん) 〈解説〉 
「仕事の途中で熟睡しやがって。あと何件残ってると思ってんだ」
 ネタ/ちーちー(きりえや) 
画・解説/高木亮(きりえや) 〈追記〉 「俺の名はビリー。世界で一番忙しいトナカイだ。年に一度の大仕事を始めるにあたり俺は言ったはずだ『家に帰るまでが仕事だ』と。なのにこいつは何にも聞いちゃいなかった上に……毛皮によだれを垂らすなぁ!」 ※世話焼きトナカイ・ビリ

きりえやいろはがるた⑧「ちわわあらそえず」

「きりえやいろはがるた」(2007)より ち「チワワ争えず」
(ちわわあらそえず) 〈解説〉
 これを人間に直して考えれば、巨大ロボット大の同類と対峙していることになる。 
よほどの蛮勇でもないかぎり、争えずとも無理はない。
 ネタ・画・解説/高木亮(きりえや) 〈追記〉 ちなみに始終ふるふるしているのは彼がチワワだからで、ビビっているわけではない。 ちっちゃい犬種のほうが武闘派の子が多い気がします。気の長さと体長の長さとの相関関係を、イギリスの研究機関あたりが調べ

きりえやいろはがるた⑦「とんできにいるなつのむし」

「きりえやいろはがるた」(2007)より と「飛んで気に入る夏の虫」
(とんで きにいる なつのむし) 〈解説〉 
しだいに消えゆく朝靄の中、初めての地上を飛びながら羽化したての夏虫は思う。
 「いいぞ。今度のこのからだ。さなぎの前とは全然ちがう」 ネタ・画・解説/高木亮(きりえや) 〈追記〉 この絵では颯爽と飛翔してるかのごとく描いたけど、実際はこの手の甲虫は飛ぶのが下手です。 お尻が重そうにひょろひょろ飛んで、そのまま壁にぶつかりそうだったので思わず手を貸そうとし

きりえやいろはがるた⑥「へびににらまれたらかえる」

「きりえやいろはがるた」(2007)より へ「へびに にらまれたら かえる」
(蛇に睨まれたら帰る) 〈解説〉 
先人はいった。
男には負けると分かっていても、戦わねばならないときがあると。
そのときを迎えるまでは意地を張らず退却を決めるのもまた一つの勇気である。 ネタ・画・解説/高木亮(きりえや) 〈追記〉 「だがそれは今日じゃない」構文。アメリカ映画でたまにありますよね。 使われるシチュエーションは、たいてい決戦前の演説とかで、これとは反対なんだけど。 ちなみに