【どうぶつほらばなし】続・喧嘩両生類1(全2話)
第1章 イーちゃんの場合
ここは超満員の沼の下コロシアム。
殺気だった怒号が渦を巻く、すり鉢の底に私は立っている。
飲まれてはいけない。
思い出せ。
なぜいま自分がこのリングに立っているのかを。
対角線上のコーナーに、ようやく出会えた彼がいる。
ついにこの日が来た。
以前の彼を取り戻す。ただそれだけのため私は今日まで月日を重ねてきたのだ。
しめやかに、ゴングの音が鳴り響いた。
第2章 タマちゃんの場合
記憶を失くし、大の字に伸びていた僕を拾ったのは空手の師匠だ