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どうぶつほらばなし〜ほかすこし長めの文など

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すこし長めの文章がついた新作や未発表作品はここにまとめています。内容的に文章=絵あるいは文章>絵な作品です。
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#猫

【どうぶつほらばなし】ある声優の話(『ねこにまつわる10のはなし』より)

ある声優のはなし 虹色の声を持つ声優がいた。 老若男女はては動物にいたるまで、彼に出せな…

【どうぶつほらばなし】縄文の猫(『ねこにまつわる10のはなし』より)

縄文の猫 まだひとが、稲も、村も、作らなかったころのはなし。 変わり者の男がいた。 足が…

【どうぶつほらばなし】人間ひっかく(『ねこにまつわる10のはなし』より)

人間ひっかく また同じような本を買ってきた。 クロは聞こえぬように舌打ちをする。 本の積…

【どうぶつほらばなし】長靴をかいだ猫(『ねこにまつわる10のはなし』より)

長靴をかいだ猫 ショコラは好奇心の強いタイプだった。 猫はだいたい好奇心が強いとおっしゃ…

【どうぶつほらばなし】ねこだまりの猫(『ねこにまつわる10のはなし』より)

ねこだまりの猫 ひげが根本からもぎとられそうな氷風の吹いた日、どん詰まりにある空き家の壁…

【どうぶつほらばなし】鼠小僧の猫(『ねこにまつわる10のはなし』より)

鼠小僧の猫 貧乏長屋の次郎吉の部屋に居ついた猫のタマ。 忍び込んだとき鉢合わせ、追い立て…

【どうぶつほらばなし】浦島(『ねこにまつわる10のはなし』より)

浦島 箱の中から吹き出す白煙に全身を包まれた太郎。 すっかり煙が去った後そこに立っていたのは、腰の曲がった白髪の老人だった。 太郎が亀を助けたあの日から、百年の月日がたっていた。 これは、なんの罰なのだろう。 この罰に見合う罪を、私が犯したということなのか__。 にわかに遠くなった目で呆然と海原を見つめていた太郎の手がふいに重くなる。視線を手元の箱に移せば猫。どこからか走ってきた猫が空箱の形に四角く収まり、だまってこちらを見上げていた。 何故猫が玉手箱に入ってきたか。