「自選短歌月まとめ」(2023年8月分)
(2023-08)
『カクヨム』
[車窓よりしろがねの月仰ぎ見る 彼れは旅路の友ならぬとも]
[スマートフォンの電源落ちても 画面の外に広い世界はひろがっている]
(2023-08-01)
[この世界で二度と貴方に逢えずとも 夜空に月は出で 涼しい風も吹く]
(2023-08-01)
[喪失の尻尾を抱え 今日もまた歩む 泣くも笑うも生きて在るうち]
(2023-08-13)
[ 驟雨過ぎて 虫の音すだく日が暮れ小前 風すずしき父の新盆の入り ]
(2023-08-13)
[ 驟雨過ぎにし束の間の夜空 切れ切れの雲の彼方に赭き火(か)の星 ]
(2023-08-13)
[ 幼子の如く こひしと哭かば困り給ふや 今宵は少しく泣きたしと思ゆ ]
(2023-08-13)
朝の風しづかに吹きて 我が魂(たま)の光に晒され 今日も目覚むる
(2023-08-18)
[ 「歌ごころ」は寄生木(やどりぎ)の如く宿主たる吾をば喰らひて芽吹き枝伸す ]
(2023-08-21)
[ 海面はおそらく既に成層圏 外気に替わる温い水の粒子(つぶ) ]
(2023-08-24)
[ 青き檸檬 熟れゆくまでの夢に見る シチリア島の柑橘の園 ]
(2023-08-24)
この世界に千年生きる言葉を探し 今日も僕らは一人彷徨う
(2023-07-28)
なほ我ら荒野を行かむ 安住の地は在らずとも脚をば頼みに
(2023-08-26)
安住の地は在らずとも何時の日にか香しき花咲く野に到らむ
(2023-08-26)