『一貫性のある対応をほぼない私が1人でする』とき大事なこと
発達障害、不登校、里子…
いろいろ学んでるけど、育児がむずかしいお母さんが少しでも心と体の力を抜いて生き続けられるように。
マインドフルネスをベースにした講座を実施しています。小林ふみこ(臨床心理士・マインドフルネス)です。
今日は、一貫した対応よりも大事なことをお伝えしたいんです。
なぜかというと、相談機関では「一貫した対応」を心がけるように言う専門家も多いです。若かりし私もその一人でした。
でも、母となり、『家庭の中で・自分の中で一貫した育児をしたい』と頑張るもうまくいかない状況が起こりまくる…と気づきました。
私のように、一貫した育児が軌道に乗らず困っているママさん。そんな方に向けて書きました。
一貫した対応はなぜイイの?
発達凹凸児は、なんとなく状況を見て、空気をよんで行動するのが苦手です。
だから、
●一貫して分かりやすい対応は大人の意図が伝わりやすい。
↓だから
●子どもの「分かった!」成功体験が重なる。
●理解できることが増えたり、人とのコミュニケーションを楽しめるようになったりする。
●子どもの安定につながる。
こんな風に一般的にイイことがあるから、やってねと言われます。まだ、やったことがないママさんは、やってみるのもおススメですよ。何か良い方にご家庭が変わるかもしれません。
こんなメリットがあるのに、なーぜ一貫した対応をお勧めしないんだ!!?と思うかと思いますので、その理由を以下に書いていきますね。
一貫した対応にのめり込んだ心理士ママ
先ほども書いたように、もともと療育ではたらいていたので、独身時代は「一貫したほうがよい」とお伝えしていました。長男が産まれ、3年くらい私もがんばりました。
一貫した対応って、生活リズム・声掛けなど多岐にわたります。当時のわたしは、すべてを頑張っていました。私が体感した一貫した対応のメリットとデメリットをお伝えしますね。
メリット:
感覚過敏、状況をコントロールされるのが苦手なため、風呂や歯磨きが大嫌いでした。一貫して風呂や歯磨きは10秒は入るとしてきたところ(金曜日とかお休みすることはある)…、泣き叫ぶ日もありましたが、根気よく10数えたら終わると見通しを伝えることで、10秒はがんばれるようになりました。
このように、苦手な活動をなんとか生活に組み入れられるようになりました。生活リズムを整えるためには、ある程度一貫した対応は功を奏するようです。
デメリット:
私が一貫した対応をいつでも心がけることで、息子に「いつもママはボクのために稼働する」パターンが入りました。もともとの母こだわりはどんどんエスカレート。母がダウンしても「父ではない!母がいい!」大癇癪が起きました。いつも休むことを許されない感覚。疲れ果てました。それで適応障害的になり休職しました。
『ペアトレ的な関わり方をママひとり一貫する』
↑
これの弊害がめちゃくちゃ大きかったと言えます。
ペアトレ的関わりを一貫してできる場所とは
もちろん療育施設は一貫した関わり方をする場所で、やる必要がある場所だと思います。
子どもにとっては刺激の統制されたやや非日常的な空間です。また研修を積んだスタッフ同士が支え合いチームで子ども達をサポートしていますから。
・子どもが大人に注目しやすい環境
・大人と子どもの関係が家庭よりも固定化されにくい。もし難しい場合はスタッフが一旦替わるなどの対応もとれる。
だから、ペアトレ的な関わりを一貫して十分に行えます。
ただ、ご家庭で発達特性に応じた一貫した対応をがんばりたい場合、以下の条件が必要です。(経験上)
ご家庭で一貫した対応をがんばりたいときはマンパワーが必要
ご実家が近く、頼れる大人の人数が多い。
パパも子どもの対応にセンスがあり理解がある。
また、ご家庭にベビーシッターさんなどのスタッフが入る。
発達特性に応じた一貫した対応をがんばるためには、ひとりではムリ。できるだけ大人の数は多い方がよいです。
「ぎょええええええ!!」となったときも、動じず揺るがずに待つ必要があります。大きな泣き声を聴き続けるのは非常に大変です。
他人の子の泣き声はなんとも思わなくても、我が子の泣き声は非常に心が揺るぎますからね。
一番身近なパパに対応のセンスがないと、かなりママはストレスフルになります。パパを育てようとすることに、パパは抵抗を示し、夫婦仲をこじらせることも…。
家庭は、多様な人間とのコミュニケーションの場とも言えます。社会には色々な人間がいるのがふつうです。
多様な人間がいて、それぞれに自分を愛してくれていると分かってくれたら、それがもうすばらしいこと!!
もし、マンパワーが少なく一貫した対応で弊害がでる場合には、一貫した対応以上に大事なことを意識されるとよいので、最後まで読んでいただけるとうれしいです。
目には見えない人間の波をコントロールできるのか
当たり前すぎて、鼻で笑われるかもしれませんが、あえて言いますね。私たちは波があります。例えば、生理前の体の変化とともに心も鬱々しくなり、周囲に当たってしまうとか。
人はロボではないので、女性であれば生理周期、体調不良、花粉症、寒さ、暑さ、仕事量、家族とのいざこざ。さまざまなストレスによって、心身のバランスに波があります。
それによって、子どもの理解と対応にも波がうまれます。
そういう人間の目に見えない波をペアトレ的な関わり方では、ないものとして一貫した対応を心がけます。
でも、どう頑張ってもペアトレ的な一貫性を保てないときは、目に見えない人間の波は、ないものと、できない状況と言えるかもしれません。
一貫した対応をがんばる優しいママ⇔ブチンとキレて激高するママの2極化は、お子さんの心にいいとは言えません。
だからこそ、自分のゆらぎを意識することが非常に大事です。
【一貫していない母】だと一貫して伝えよう
急に激高したり、急に無視したり、急にダウンする前にしたいこと・できることです。
「今、ママはつかれているから10分ひとりになりたい。(一人になりたいときもあります)」
「さいきん、HP5なのでもう寝ます。(早寝したいこともあります)」
「ちょっと今はつかれているので、じょうずにお話をきくことができません。しっかり聞けるようにしたいので、明日でおねがいします。」
「今は、ピトッとされるのがぞわっとするので、このくらい離れてください。(人との境界線はいつも変わります)」
何かがうまくできない状況は、子どものせいではないこと。子どもが大事であることは変わらないこと。でも、母にも事情があり、いつものように対応するのがむずかしい。
でも、またエネルギーがたまったら、いつものように対応するので、待っていてほしい。
母は強くない。もろいかもしれない。いろんな事情がありつつも、子どもを大事に思い生きている存在なんだと、何度も何度もつたえていくのはどうでしょうか。
それを子どもが受け止めてくれるかどうかも強要はできません。でも、母としての思いを正直につたえるのです。
こどもも【一貫していない】自分でいい
ママが一貫していないふつうの生き物であるのと子どもも同様です。
子どもも、自分のこころやからだをモニターして、その様子にあわせて過ごし方を調整できるようになったらいいですよね◎
そのモデルをママが示していると言えます。発達凹凸児は、自分自身の状態をモニターするのが得意ではありません。だからこそ、身近な人のモデルを見るのは有用だと思います。
まとめ
発達凹凸児に「一貫した対応」が家庭でも求められることがあります。でも、一貫した対応ができる家庭は限られていると私は経験上考えます。
ママだけががんばっていて、一貫した対応をがんばる優しいママ⇔ブチンとキレて激高するママの2極化は、お子さんの心にダメージを与えます。
それよりも大事なことは【一貫していない母】だと一貫して伝えること。ママの心身をモニターして休息が必要だと具体的に伝え、休むことです。
それは、お子さんが自分をモニターして調子に合わせて行動を変えるモデルにもなりますよ。
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