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第6話:「非営利法人の基本と種類」法人シリーズ全12話
NPO法人や一般社団法人、医療法人、学校法人など、「利益を配分しない組織ってどう成立するの?」と不思議に思っていたユキが、その仕組みと魅力に気づく一話。共感マーケティングや寄付の重要性を知って、「あ、ここもマーケティングの出番なんだ!」と目からウロコです。
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●法人紹介シリーズ
第1話:「法人とは何か? 基本概念と重要性」
第2話:「営利法人の基本 – 会社とは?」
第3話:「株式会社の仕組みと特徴」
第4話:「合同会社(LLC)とは? 特徴と活用法」
第5話:「合名会社・合資会社・持株会社」
第6話:「非営利法人の基本と種類」
第7話:「NPO法人の仕組みと運営」
第8話:「学校法人・医療法人・社会福祉法人の役割」
第9話:「公益法人と一般法人の違い」
第10話:「公法人(国・地方自治体・独立行政法人)」
第11話:「法人の税金と資金調達」
第12話:「法人設立の実務——会社を作る方法」
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非営利法人ってなんだろう? ユキの新たな戸惑いと興味
朝のオフィスビル。エレベーターのドアが開き、ユキはいつものようにデスクに向かった。ここ数週間、彼女は「法人編」の学習を続けており、これまでに「法人の基本」「営利法人としての会社」「株式会社や合同会社の違い」「合名・合資会社、持株会社」といったさまざまな形態を学んできた。だが、上司からの新しい課題は「非営利法人の基本と種類」。その言葉にユキは少し戸惑いを覚えていた。
「NPO法人とか一般社団法人、公益財団法人……名前は聞くけど、何がどう違うんだろう? ‘営利じゃなくても法人’ってどう運営されてるの?」
昼休み、社内のカフェスペースで同僚に尋ねても、「NPOは寄付で動くイメージ」「社団とか財団はピンと来ないな」と返ってくる程度。ユキは「そうだよね、私も実はあまり詳しくない……」とため息交じりに返した。仕事上は企業(営利法人)とのやり取りが中心なので、非営利法人は少し遠い世界に思える。
夜、アパートのドアを開けると、リビングのソファにはいつも通り羊羹を頬張るうさぎ先生の姿。靴を脱いで「先生、ただいま! 今日は非営利法人について教わりたいです。会社は利益を株主に配る営利組織だけど、NPOとか社団法人は利益を分配しないって聞きますよね。どう成り立ってるんですか?」と声をかける。
先生はテレビを消し、耳をぴんと立てて振り向く。「おかえり、ユキくん。そうだね、営利法人ばかり見てきたけど、社会には‘利益を出しても分配しない’非営利の世界が広がっている。しかもマーケティングとも無縁じゃない。むしろ寄付集めや社会的アピールには独特の手法があるんだよ。今日は非営利法人の基本と種類をしっかり見ていこうか」
ユキは微笑んで、「はい、お願いします! ‘NPO法人’くらいは知ってますけど、一般社団法人とか公益法人もあるんですよね。なんだか覚えることがいっぱい……。でも、マーケターとしては寄付とか社会貢献の広報も学びたいんです」とソファの前に腰を下ろす。
こうして「法人編 第6話:非営利法人の基本と種類」がスタートした。ユキが当たり前に思っていた「会社=営利法人」という枠を超え、社会にはどんな非営利組織があるのか、その仕組みとマーケティング上の特徴を探りにいくことになる。
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非営利法人の世界を紐解く——形態とマーケティング上の要点
深夜のアパート、リビングの照明は落とされ、ユキは床に座ってノートPCを開く。ソファにはうさぎ先生が腰掛け、柔和な目つきで話し始める。今回のテーマは「非営利法人」。前回までで営利法人について学んできたが、非営利法人にはNPO法人、一般社団法人、公益法人、学校法人、医療法人など多様な形が存在する。ユキはワクワクしながらペンを握った。
1. 非営利法人とは? 燃え上がる“公益”への視点
先生は静かな声で切り出す。「非営利法人とは、利益を出しても出資者などに分配しないことを原則とする組織さ。会社と違って、そもそも利益配当を目的としていない。社会貢献や公共性を重視する形態が多いね」
ユキは「なるほど……‘利益を分配しない’って本当に成り立つんですか? 運営費や人件費はどうするんだろう」と首をかしげる。先生は「そう、収支が黒字になることはあっても、それを出資者に配当できないんだ。余剰分は活動資金として再投資したり、組織を拡大するために使ったりする。だから寄付金や助成金が重要になる場合もあるし、収益事業を行う非営利法人もある。ただ‘利益分配しない’のが大前提だよ」と耳を立てる。
ユキはメモを走らせながら「そうか、NPO法人がバザーやイベントをして資金を集めても、構成員に分配せず活動を継続するってわけですね。マーケティングでいうところの資金調達や社会へのアピールが独特そう。営利法人と違って‘売上’だけじゃなく、‘寄付’とか‘ボランティア’が絡んできますもんね」と感心する。
1-1. 燃える社会貢献:“利益”と“分配”の違い
先生は「非営利法人でも事業を行って利益(剰余金)が生じることはあるが、それを内部で分け合わない。あくまで社会的使命や公共性を追求するための資金に回す。ここが営利法人とは決定的に違うポイントだね。マーケターとしては、その使命や物語をどうアピールして支援者を増やすかが鍵になる」と指を折る。
ユキは「うん、‘私たちは社会課題を解決するために活動してます’ってストーリーが強力な訴求力を持つ可能性がありますよね。企業のCMとは違った共感マーケティングが必要なのか……面白い!」と目を輝かせる。
1-2. 税制優遇と行政の監督
先生は続ける。「非営利法人は税制優遇を受けられる場合が多く、行政の監督を受ける形態もある。例えばNPO法人は所轄庁に設立認証を受け、定期的に活動報告を行う。一般社団法人や一般財団法人なら許可ではなく設立が簡易だが、公益社団法人や公益財団法人になると公益認定を得て税制優遇を受ける代わりに厳しい監督を受ける。マーケティング視点では、行政や寄付者の信頼を得るための広報が不可欠だよ」と耳を揺らす。
ユキは「なるほど……非営利法人は売り上げから利益を出して配当するわけじゃないけど、活動費を確保しなきゃいけない。だから社会的信用があるかどうかが死活問題なんですね。税制優遇や助成金を得るには、ステークホルダーへの情報公開やアピールも重要で……なるほど、そこがマーケティングと繋がるのか!」と納得する。
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2. 主な非営利法人の種類
先生は「非営利法人とひと口にいっても様々だ。大きく見ればNPO法人、一般社団法人、公益法人(公益社団・公益財団)、学校法人、医療法人、社会福祉法人などがある。あと企業とのハイブリッド形もありえるよ」と説明する。
2-1. NPO法人(特定非営利活動法人)
「NPO法人は比較的よく耳にする形態だね。特定非営利活動促進法に基づいて設立し、自治体や内閣府の所轄で認証を受ける。環境保護や福祉、教育、地域活性などさまざまな分野で活動する。資金源は寄付や助成金、会費が中心で、マーケティングとしては‘自分たちの活動の意義’を社会にアピールし、共感を得ることが肝要だ」と先生は解説する。
ユキは「へぇ……じゃあ‘収益事業’をやってもいいんですよね? ただ利益をメンバーに分配しないだけで、活動の継続が目的だから寄付を集めるマーケティングが重要になると。これは企業のPRとはだいぶ違いそう……」と感心する。
2-2. 一般社団法人・一般財団法人
先生は耳を動かし、「一般社団法人や一般財団法人は、NPO法人と違って設立が容易。公証人の定款認証も不要。法人設立後に行政庁の許可を受ける必要もない。活動内容も広く、利益を配当できない点は共通。‘会社にするほどでもないが法人格が欲しい’ときに使われる。さまざまな業界団体や協会が一般社団法人で運営されてるよ」と続ける。
ユキは「そういえば‘〇〇協会’みたいな団体がよく一般社団法人ですね。企業や個人が会費を出して加盟し、セミナーやイベントを開いたり……マーケティング視点では‘業界のルールメイキング’や‘ブランド統一キャンペーン’が多いイメージです。ここでも利益配分がないわけですね」とメモする。
2-3. 公益社団法人・公益財団法人
「公益社団法人や公益財団法人は‘一般社団・一般財団法人’の中でも特に公益性が高いと認定を受けた形だ。税制優遇が大きい代わりに行政の監督が厳しく、定期的に公益認定の更新をする必要がある。公共性の高い活動をするなら、こういう法人格を得て寄付を集めたり、信頼度を上げたりできるよ」と先生。
ユキは「ああ、寄付金控除を受けられるとかですね。公益認定を取るには厳しい基準をクリアしなきゃいけない……マーケティング的には‘私たちは公に認められた公益法人です’という信頼性を打ち出せるのが強そう。ただ組織運営が面倒かもしれないですね」と首をかしげる。
2-4. 学校法人・医療法人・社会福祉法人
先生は「学校法人は大学や専門学校の運営に不可欠だ。国立大学法人とは別枠だが、私立大学や私立高校は学校法人として教育事業を行う。医療法人は病院や診療所を法人化し、医療サービスを安定して提供する形。社会福祉法人は老人ホームや障害者施設を運営し、介護保険など公的支援と連携しながら活動を続けている。いずれも利益を配当せず、公共性を重視するんだ」と耳を揺らす。
ユキは「なるほど……だから私立学校や病院には経営者はいるけど、利益を分け合ってないんですね。こういう法人でもマーケティング要素はありますよね。学校なら生徒募集、病院なら診療科のPR、社会福祉法人なら寄付金や施設利用者の獲得……。いろんな形で‘公共性’を伝える必要があるかも」と考え込む。
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3. 非営利法人とマーケティングのつながり
先生は「ここまで非営利法人の種類を見たけど、マーケティング視点だと何がポイントか整理しようか」と提案する。ユキは頷き、ペンを構える。
3-1. 寄付・助成金を集める“共感マーケティング”
「非営利法人では利益を配らない代わりに、寄付や会費、助成金で活動資金を確保するケースが多い。つまり‘この活動は社会にとって価値があるから支援したい’と思ってもらう必要がある。だからこそ共感マーケティングが鍵だね」と先生は言う。
ユキは「なるほど……NPO法人なんかは、自分たちのミッションをしっかり発信して、寄付者が‘寄付したい!’と思うようにストーリーを組み立てるのか。営利企業の‘買ってください’とは違うアプローチですね。社会問題を解決する姿を見せて共感を誘う感じ」とメモする。
3-2. 社会的信用の確保
先生は続ける。「非営利法人は社会的信用が命といえる。活動の透明性や成果報告をきちんと行い、支援者や行政からの信頼を得ることが大事。マーケティングにおいても、成果を見える化して ‘こんな成果が出ました、こんな人が助かりました’ と伝えることが資金や支持を集めるカギだ。営利企業が‘利益や株主へのリターン’で評価されるなら、非営利法人は‘社会貢献度’や‘公共の役に立つ度合い’を示すわけだね」と耳を動かす。
ユキは「そうか、だからSNSや広報誌で具体的なエピソードを伝えるんですね。たとえばNPOなら ‘この募金で子どもたちに本を届けました’ と写真付きで報告するとか。数字よりも物語が刺さる感じかな……。これはすごくマーケターとしてクリエイティブな作業にもなりそう!」と声を弾ませる。
3-3. 活動の収益化と寄付の狭間
先生は「一方、非営利法人が収益事業をやることもある。例えばNPOが雑貨を売ったり、一般社団法人が研修事業をしたり。そこから得た利益は配分せず活動資金に回す。ただ、営利企業との差別化や不当競争にならないよう注意が必要だ。マーケティングでいえば ‘非営利なのに商品を売るの? どう違うの?’という疑問に答える必要があるね」と耳を立てる。
ユキは「なるほど……‘収益事業もやってるのに配当しない’という仕組みを周囲に納得してもらうためには、やっぱり組織の理念や‘この売上はすべて社会に還元します’ってアピールが必須。消費者は‘NPOが売ってるなら寄付と同じ感覚で買える’と感じるかもしれませんよね」と笑う。
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4. どう営利企業と協力する? 非営利×企業コラボのマーケティング
ユキはここである疑問を投げかける。「企業とNPO法人がコラボする事例も最近多いですよね。募金キャンペーンとか、社会貢献プロジェクト……マーケティングにどう関わるんでしょう?」
先生は「そう、CSV(共通価値の創造)なんて言葉もあるけど、企業が自社イメージアップや顧客支持を狙いつつ、NPOなどと協力し社会課題を解決する事例が増えてる。企業はお金やノウハウを提供し、NPOは現場で成果を上げる。こうしたコラボ企画は両者のマーケティングにメリットがあるわけだね」と応じる。
ユキは「確かに、企業がNPO支援すると ‘社会貢献企業’として好感度が上がるし、NPO側も資金や人材を得られて活動拡大できる。‘大企業×NPOの共同キャンペーン’とかよく見るけど、互いにウィンウィンなんだ……。これはマーケターとしても、コラボ企画を提案できそう!」と意欲をみなぎらせる。
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学びを胸に日常へ戻るユキ、次なるステップへ
数日後、ユキは会社の打ち合わせで「今回、地元のNPO法人と協力してイベントをする案があるらしいですよ。うちは企業として会場や広告を支援して、NPOは社会課題の解決をアピールしつつ来場者を募る……企業とNPOがコラボしたら面白いかもしれません」と提案した。上司は「なるほど、社会貢献イメージも得られるし、NPOも支援を受けられる。ウチのマーケティングにもうまく活用できそうだ」と好反応。ユキは「これこそ学びが生きる!」と心の中で微笑んだ。
夜、アパートのリビングでうさぎ先生に「先生、NPOや非営利法人が企業とコラボする事例って実際多いんですね。マーケティング担当として、‘非営利の強み=共感や社会課題の解決’を活かせるんだなと実感しました。利益重視の営利法人とは違う手法が求められるところが面白いです」と報告。
先生は「うん、まさにメタ認知で考えると、非営利法人のゴールは利益配分ではなく、公共性や社会的価値。だからマーケティングも寄付やボランティア募集、行政との連携など多方面に及ぶ。その視点を知っておけば、企業と非営利法人を結ぶ企画が作れるし、自分の会社が非営利法人と協力する際もスムーズに動けるだろうね」と耳をぴんと立てる。
ユキは「はい、もう‘マーケティング=営利企業のもの’って考えは捨てました。非営利法人でも共感と信用がすごく重要で、むしろマーケティングの本質に近いかもしれませんね。今日は本当に勉強になりました」と感謝する。先生は「まだまだ先には具体例がたくさんあるけど、まずは各形態の違いを押さえるだけでも大きな進歩さ。次回はNPO法人や社会福祉法人をさらに深堀りしようか?」と柔らかく笑う。
こうして「法人編 第6話:非営利法人の基本と種類」はひとまず幕を下ろす。ユキは今まで「企業=営利組織」という固定観念を持っていたが、今日の学びで「社会には営利を超えた多様な法人が存在し、そこにもマーケティングが深く関わる」と実感した。次回は具体的な非営利法人の運営や成功事例、さらには寄付や助成金を集める仕組みも掘り下げるかもしれない。ユキの視野は広がり続ける。
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用語解説
非営利法人
利益を構成員に分配しない法人。NPO法人、一般社団法人、公益社団法人など、社会的・公共的目的を重視する形態が多い。
NPO法人(特定非営利活動法人)
特定非営利活動促進法に基づいて設立される法人。公益的な活動を行い、利益を分配しない。寄付金や助成金で資金を得るケースが多い。
一般社団法人・一般財団法人
許可制ではなく準則主義で設立が容易な非営利法人。定款に利益不分配の規定があり、業界団体や協会、研究組織で活用されることが多い。
公益社団法人・公益財団法人
一般社団法人・一般財団法人のうち、公益認定を受けたもの。より公共性の高い活動を行い、税制上の優遇がある代わりに行政監督が厳しい。
学校法人・医療法人・社会福祉法人
教育、医療、福祉など公共性の強い事業を担う非営利法人。利益が出ても分配せず、事業や施設運営に再投資する。
共感マーケティング
非営利法人が寄付や会費を得る際に用いる手法。社会課題の解決ストーリーを発信し、寄付者・支援者の共感を集めることが重要。
税制優遇と監督
非営利法人の多くは税制優遇を受けるが、行政や所轄庁の監督下にあり、定期的な報告義務が課されることが多い。
次回予告
次回は「法人編 第7話:NPO法人の仕組みと運営」。すでに非営利法人の全体像を見渡しましたが、特にNPO法人は市民活動や地域貢献の要として存在感を増しています。具体的にどんな手続きで設立し、どう資金を集め、どんな事業を行うのか? 有名な例として赤十字や国際環境保護団体などが挙げられますが、それらがマーケティングや広報戦略でどのように人々を巻き込み、共感を得ているのか——さらに深く探っていきましょう。お楽しみに!
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