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第7話:『クレジットカード・決済の進化—JCB・VISA・MasterCardの覇権争い』金融業界編 全12話
こんにちは、ユキです。
これまでの金融業界編では、銀行・証券・保険などのテーマを中心に深掘りしてきました。メガバンクの戦略、ネット銀行の挑戦、証券会社の進化、そして保険業界の改革―金融ってこんなに多角的なんだ! と、私自身驚くことばかりです。
そして今回の第7話では、私たちの身近すぎて当たり前になっている「クレジットカードと決済」の世界を、うさぎ先生との夜ふかし対話で読み解いていきます。
なぜJCBは「日本発唯一の国際ブランド」と呼ばれているのか? VISAやMasterCardはどんな仕組みで覇権を握ったのか? そして今、スマホ決済やBNPL(Buy Now Pay Later)など新たなプレイヤーが乱立し、キャッシュレス化が加速する中で、クレジットカード業界はどう変わるのか。
私も、日々の買い物のほとんどをカードやスマホで済ませるキャッシュレス派ですが、その裏でどんな仕組みが動いているか改めて考えることはありませんでした。先生から話を聞いて、意外と奥深い世界があるとわかったので、ぜひ一緒に学んでいきましょう!
6話はこちらから👇
⬛︎金融業界シリーズ
第1話:『金融業界の全体像—お金の流れを作る仕組み』
第2話:『メガバンクの覇権—三菱UFJ・三井住友・みずほの戦略』
第3話:『地方銀行の役割—地域経済を支える金融機関』
第4話:『ネット銀行の挑戦—SBI・楽天・住信SBIネット銀行の成長戦略』
第5話:『証券会社の進化—野村・大和・SMBC日興の成長戦略』
第6話:『保険業界の改革—日本生命・第一生命・明治安田の戦略』
第7話:『クレジットカード・決済の進化—JCB・VISA・MasterCardの覇権争い』
第8話:『フィンテック革命—PayPay・LINE Pay・メルペイの戦略』
第9話:『投資信託・資産運用—GPIF・楽天証券・SBI証券の動向』
第10話:『中央銀行の役割—日銀・FRB・ECBの金融政策』
第11話:『仮想通貨・ブロックチェーン—ビットコイン・イーサリアムの未来』
第12話:『未来の金融業界—テクノロジーが変えるお金の流れ』
全12話
サイトマップはこちらから👇
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クレジットカードと決済の概要
「カード決済が当たり前」な時代と、その背景
夜のリビングで、いつものように私(ユキ)はコーヒーを飲みながら、うさぎ先生(闇の組織によりウサギの姿に変えられた元大学教授)と向かい合う。
「先生、カード決済がない生活なんてもう考えられないですよね。私なんか、コンビニやスーパーで現金をほとんど使わないんです。クレジットカードかスマホ決済ばっかりで……」
うさぎ先生はウサギ耳を軽く動かして、「ユキくんの世代ならそうかもね。昔は現金主義の人が多かったけど、今はクレジットカードやデビットカード、さらにスマホQRなど多様化してる。特にクレジットカードは ‘あと払い’ の仕組みが便利だし、ポイント還元もお得だから、国際ブランドが覇権を握っているわけさ」と語る。
「なるほど……でも、クレジットカードの仕組みって本質的には何なんでしょう? VISAやMasterCard、JCBとか、たくさんブランドがあって、加盟店とか発行会社とか、ややこしいですよね」と私は素朴な疑問を投げかける。
先生は「そこがまず理解すべきポイントだね。カード業界は『発行会社(イシュアー)』と『ブランドネットワーク(VISA/MasterCardなど)』、『加盟店の決済システム』が絡み合って成立してる。そして消費者はカードを使うと ‘後で請求される’。その信用を担保するのがイシュアーで、ブランドは国際的な決済ネットワークを提供するわけだ」とホワイトボードを取り出して絵を描き始める。
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VISA・MasterCardとJCBの立ち位置
私がじっとホワイトボードを見ると、先生が3つのブランド名を並べる。
VISA
MasterCard
JCB
「VISAとMasterCardは世界中で使われている巨大ネットワークブランドで、カフェやレストラン、ネット通販などあらゆる加盟店が対応してる。JCBは日本発の国際ブランドで、海外にも展開してるけどVISA/MCに比べるとシェアが低い。
つまり、VISAやMasterCardはあくまで ‘決済ネットワーク’ を提供する会社であって、カードを発行する会社(イシュアー)は別。たとえば三井住友カードはVISAやMasterCardのライセンスを使ってカードを発行する。JCBは自社ブランドのカードを自社で発行する形も多いが、他社発行のJCBカードもある」と先生は説明する。
「ふむふむ。だから ‘○○カード(発行会社)’ × ‘VISA or Master’ とかの組み合わせがいろいろあるんですね。JCBは日本発だから、海外の加盟店が少ないイメージがあるけど、最近は広がってるのかな……」
先生は「そうだね。JCBもアジアやハワイなどでは勢力が大きいし、欧米でも提携を拡大してる。ただVISA/MCは世界最強なので、発行枚数や加盟店のカバー率で優位。日本国内だとJCBは独自のポイント特典やキャンペーンでファンを獲得しているね」
クレジットカードの歴史とキャッシュレス社会
「でもクレジットカードって、どのくらい前からあるんでしょう? 私の親世代は ‘カードは危険’ って言ってあんまり使わなかった記憶があるんですよね」と私は疑問を呈する。
先生は資料を取り出し、「日本では1960~70年代にダイナースクラブやJCBがサービスを開始し、1980~90年代にVISAやMasterCardが広く普及したね。バブル期に ‘カードを出せばどこでも買い物OK’ がステータスのように扱われ、やがて当たり前の存在に。2000年代に入るとネット通販が爆発し、カード決済の必要性がさらに高まった。
そして近年は ‘キャッシュレス社会の推進’ が国の施策としても掲げられ、ポイント還元やスマホ決済の普及で現金利用率が下がっている。カード決済は今でも主要な柱だよ」と語る。
私はうなずく。「そういう流れなんですね。日本でもキャッシュレス比率が増えてるってニュース見ます。レジで現金を数えるのが煩わしいと感じるから、みんなカードやスマホに移行してるのかな」
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覇権争いと新潮流を談義
VISAとMasterCardの世界的支配力
「先生、VISAとMasterCardって、どっちが強いんでしょうか?」と私は素朴な質問を投げかける。
先生はホワイトボードにいくつかデータを書き始める。「VISAもMasterCardも、世界に数千万~億単位の加盟店を抱え、発行枚数も何十億枚というレベル。シェア的にはVISAが少し上で、MasterCardが追う形だけど、どちらも規模が巨大すぎて ‘二強’ と呼べる。クレジット・デビット・プリペイドなど多様なカードを提供していて、世界中の消費を支配するといっても過言ではない。
一方、JCBは海外の普及に苦戦しているけど、アジア圏や日本国内では根強い人気がある。特に ‘日本国内でJCBブランドが使えない店は少ない’ し、独自の優待特典もある。だが国際規模の決済ネットワークとしてはVISA/MCには敵わないのが現状だね」
「なるほど。海外旅行に行くと、VISAかMasterCardがないと不便だってみんな言いますよね。JCBもハワイとかでは強いみたいだけど、やっぱり二強には及ばないのかあ」と私は納得する。
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キャッシュレス施策と国際ブランドの役割
「でも日本では、政府がキャッシュレス推進をしてますよね。ポイント還元事業とか消費税増税時の施策とか。あれってカード会社にも追い風なんでしょうか?」と私は質問する。
先生は「そうだね。カード決済を増やそうとしてるから、カード会社にとっては加盟店を拡大するチャンスだし、利用者もポイント還元を受けられる。さらにQRコード決済(PayPayやLINE Payなど)でも、背後ではVISAやMasterCardのネットワークを使った ‘バーチャルカード’ 的な仕組みが動いてるケースもあるんだ。結局、国際ブランドが ‘決済インフラ’ を支配している構図は変わらない。
だから今後もクレジットカードが消えることは考えにくい。むしろQRや電子マネーと共存しつつ、後ろで『決済を承認する仕組み』を握り続けると思われる」
「えっ、じゃあQRコード決済ってカードと別物のように見えて、実は国際ブランドが絡んでるんですか?」と驚く私。
先生は首を縦に振る。「絡んでることが多い。QRでスマホをかざして決済するとき、最終的にVISAやMasterCardのトークン化技術を使っている場合もある。もちろん自前のバンク口座引き落としシステムだけで済ませるアプリもあるけど、国際ブランドが提携すれば ‘世界中でQRが使える’ なんて構想もあるかもね」
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BNPL(Buy Now Pay Later)と後払い決済の衝撃
「最近は ‘BNPL(Buy Now Pay Later)’ って言葉を聞きませんか? あれってクレジットカードとどう違うんですか?」と私は興味津々に問う。
先生は耳をピョンと動かす。「BNPLは、クレジットカードを発行しなくても‘あと払い’を可能にする仕組みだね。スマホアプリなどで ‘今すぐ買って、一定期間後に払う’ ができる。クレジットカードは銀行やカード発行会社が限度額を設定しカードを発行するが、BNPLはもっとライトに与信を行って、ユーザーに物やサービスを提供する。特に若い世代が ‘カードを持たずにBNPLを使う’ ケースが欧米やアジアで急増中。これがカード会社にとって脅威といわれてる」
「そっか……カード不要なら、国際ブランドが入らなくても完結しちゃうかも。そうなったらVISAやMasterCardが困るんじゃないですか?」と私は鋭く反応する。
先生は「まさに。だから国際ブランドやカード発行会社も ‘自分たちでBNPLサービスを提供しよう’ としたり、提携を模索している。アファームやクラーナなど海外BNPL企業が注目される中、既存カード会社がどう巻き返すかが見ものなんだ」
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生体認証やブロックチェーン決済は広がるのか?
さらに私は「カードの話題になると、今後生体認証決済が普及するって噂もありますよね。指紋や虹彩認証で決済するとか……」
先生は「可能性は大いにある。すでに一部の実験では ‘指紋や顔認証だけでクレジット決済が完了’ という仕組みを導入してる。カードすら要らない。国際ブランドもこの技術導入に積極的だ。
ブロックチェーン決済も興味深い。たとえばMasterCardは暗号資産決済の受け皿として提携を進め、VISAもステーブルコインとの連携を検討するなど、クリプトと従来の決済を融合しようとしている。将来、仮想通貨ウォレットでVISAやMasterのネットワークが使える日が来るかもしれないね」
「ええっ、それはすごい……。私の持ってるビットコインとかを、普通にお店で支払いに使えるようになるかも? 夢みたいですけど、規制や相場の変動リスクもあるから難しそう」
先生は「そう、規制やボラティリティが鍵だね。でも大手が動くなら、ユーザーへの普及が一気に進む可能性もある。カードの世界は ‘便利さ’ を最優先する市場だから、技術が整えば一気に浸透するかもしれないよ」
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私たちなりのまとめと視点
クレジットカードは「支配的ネットワーク」として残る?
ここで私は振り返る。「なるほど……クレジットカードがメイン決済として君臨してきた背景には、国際ブランドが世界的なネットワークを確立し、加盟店や発行会社と一体となって ‘決済の仕組み’ を握ってるからなんですね。そこにQRやBNPLが乱入してきても、結局バックにはブランドがいたり、国際ブランドが自前で対応したりする。
だから ‘カードそのものが消える’ わけではなく、 ‘カードというかブランドネットワーク’ が裏で生き続けるというイメージでしょうか?」
先生は嬉しそうに耳を動かす。「Exactly. 短期的には ‘プラスチックのカードがスマホアプリに移行’ する形になるだけかもしれないけど、本質的にVISAやMasterCardが世界決済を支配する構図は変わりにくい。一方でJCBは日本国内やアジアで存在感を強め、独自のキャンペーンや優待でユーザーを囲い込む戦略もある。
それに加えて新興勢力がBNPLやスマホ決済を拡げていて、決済業界全体が ‘競争と提携の複雑なステージ’ に入ってると言えるね」
消費者にとってのメリットと注意点
私はちょっと興奮しながら、「ユーザーとしてはポイントやキャッシュバックがお得だし、支払い手段が増えて便利になるんですね。でも何か気を付けるべき点はありますか?」と質問する。
先生はうなずく。「便利な分、使いすぎやセキュリティリスクに注意が必要。カード情報の漏えい、フィッシング詐欺も増えてる。さらにBNPLを無自覚に使うと支払いが膨らむ恐れがあるから、自己管理が大事。
また、QRやカードを通じて膨大な購買データが蓄積されるから、プライバシーや個人情報保護の問題もある。便利を享受する代わりにデータを差し出す形になりがちだから、自分が納得できる範囲で利用することが望ましいね」
「うーん、便利さとリスクは表裏一体ってことか。たしかに、カードを失くしたら悪用されるし、ネット決済なら情報漏洩に気を付けないと」と私は頷く。
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キャッシュレスと“あと払い”の未来
最後に私は「全体を通じて、クレジットカードやキャッシュレスは今後どうなりますか?」とまとめを促す。
先生はホワイトボードを閉じながら、「現金派が少しずつ減り、キャッシュレス比率はさらに上がるだろう。国際ブランドが裏で支配する構図は当面続くものの、BNPLやデジタルウォレットが台頭して ‘カード’ の形は変化していく。生体認証や仮想通貨決済が本格化すれば、プラスチックを見なくなる時代が来るかも。でも ‘あと払い’ というコンセプト自体は支持されるから、本質は同じかもしれないね。
消費者にとっては、便利だけど使いすぎやリボ払いには注意。店舗にとっては加盟店手数料が課題。だが、全体としてはキャッシュレス経済に向けて急速に進化していく流れは変わらないだろう」と結論づけた。
私は深くうなずく。「いやあ、すごく勉強になりました。カード会社や国際ブランドの仕組みは思ったより複雑で、でも ‘世界決済のインフラ’ を支えてるのが伝わりました。私もカードの使い方に気を付けつつ、新技術にはアンテナを張っていこうと思います!」
先生はもふもふの尻尾を揺らし、「そうだね。特に海外旅行に行くならVISAやMasterが必須という現状は、まだしばらく続きそうだ。でも日本独自のJCBも負けてないし、BNPLやデジタル通貨が登場してさらなる変化が期待される。次回はフィンテック革命編が控えているし、キャッシュレスとフィンテックの接点がもっと見えてくるかもよ」
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用語解説
国際ブランド(VISA・MasterCard・JCBなど)
クレジットカードやデビットカード決済を世界中で利用可能にする決済ネットワークを提供する会社。VISA/MCが二強、JCBは日本発のブランドとして独自の地位を築く。イシュアー(Issuer)
カードを実際に発行する会社。三井住友カードや楽天カードなど。国際ブランドのライセンスを取得し、利用者にカードを発行。BNPL(Buy Now Pay Later)
“あと払い” の仕組みをカードなしで提供するサービス。アプリ連動で簡単に利用でき、若年層を中心に普及中。欧米に大手事業者が多数存在。加盟店手数料
カード決済を受け入れる店舗が、カード会社(あるいは決済代行業者)に支払う手数料。日本では3~5%程度が一般的だが、業種や交渉次第で変動。キャッシュレス社会
現金を使わず、カードやQR、電子マネーなどで支払いを行う社会。政府が推進しており、カード決済比率が年々高まっている。バーチャルカード
プラスチックの実カードを発行せず、スマホ上にカード番号などを生成する仕組み。オンライン決済やQR決済の裏で国際ブランドを利用できる場合がある。生体認証決済
指紋や顔、虹彩など個人の生体情報を使って支払いを行う。パスワード不要で安全性が高いと期待されるが、普及にはインフラや規制が課題。
次回予告
次回の第8話は、「フィンテック革命—PayPay・LINE Pay・メルペイの戦略」をテーマに掘り下げます。今回のクレジットカード回と重なる部分もありますが、QRコード決済や電子マネーがどう金融サービスを民主化し、手数料ゼロ・スーパーアプリ化を目指すのか。暗号資産や中央銀行デジタル通貨との連携も含めて、ますます面白くなるはず。
「キャッシュレスの進化形として、フィンテック企業がどこまで進出するのか、私も興味津々です!」と私は胸を弾ませる。先生は「スマホだけあれば銀行もカードもいらない世界が来るかもね。そこに保険や証券まで絡めば……ふふ、考えるだけで夜ふかしが止まらない」と笑う。
というわけで、第7話(カード・決済編)はここで終了。クレジットカードの覇権争いとキャッシュレスの加速を踏まえつつ、次回は「QRやスーパーアプリの最前線」を覗いてみましょう。お楽しみに!
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