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第4話:『ネット銀行の挑戦—SBI・楽天・住信SBIネット銀行の成長戦略』

こんにちは、ユキです。
前回の第3話では、地域密着で地元経済を支えてきた地方銀行の奮闘にフォーカスしました。人口減少や産業空洞化など逆風が吹く中で、地銀がフィンテック企業と連携したり地方創生ファンドを立ち上げたりと、新しいビジネスモデルを模索しているというお話でしたね。

さて今回は、まったく正反対と言ってもいい存在、「ネット銀行」を取り上げます。SBIや楽天、住信SBIネット銀行などに代表されるように、最初から“店舗を持たない”ことを前提とし、インターネットやスマホで完結するサービスをウリに成長してきた新しい形態の銀行。

メガバンクや地銀が「支店の維持が大変……」と苦戦している一方、ネット銀行は次々に新しい仕掛けを打ち出して私たちの日常を変えつつあります。高金利、手数料無料、金融スーパーアプリ化、仮想通貨との連携など、聞くほどワクワクするけれど、本当に大丈夫? 倒産リスクやセキュリティは? などなど、疑問は尽きません。

というわけで、この第4話では“ネット銀行がいかに生まれ、いかに急成長しているか”を中心に深掘りします。うさぎ先生との夜ふかしトークで浮かび上がる「フィンテック×銀行」の面白い世界、ぜひ最後までお読みください。

3話はこちらから👇

⬛︎金融業界シリーズ

第1話:『金融業界の全体像—お金の流れを作る仕組み』
第2話:『メガバンクの覇権—三菱UFJ・三井住友・みずほの戦略』
第3話:『地方銀行の役割—地域経済を支える金融機関』
第4話:『ネット銀行の挑戦—SBI・楽天・住信SBIネット銀行の成長戦略』
第5話:『証券会社の進化—野村・大和・SMBC日興の成長戦略』
第6話:『保険業界の改革—日本生命・第一生命・明治安田の戦略』
第7話:『クレジットカード・決済の進化—JCB・VISA・MasterCardの覇権争い』
第8話:『フィンテック革命—PayPay・LINE Pay・メルペイの戦略』
第9話:『投資信託・資産運用—GPIF・楽天証券・SBI証券の動向』
第10話:『中央銀行の役割—日銀・FRB・ECBの金融政策』
第11話:『仮想通貨・ブロックチェーン—ビットコイン・イーサリアムの未来』
第12話:『未来の金融業界—テクノロジーが変えるお金の流れ』
全12話
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テクノロジーの力を発揮しました

ネット銀行の登場と背景

「ネット銀行って、そもそも何者?」

夜。私の部屋のテーブルにはコーヒーとポテトチップスが置かれ、うさぎ先生(闇の組織によりウサギ姿に変えられた元教授)と私(ユキ)が向き合っている。

「先生、ネット銀行って当たり前のようにみんな使ってますけど、いつから登場したんでしたっけ? 私が学生の頃はまだメガバンクか地銀の口座しかなかった気がします」と私は素朴な疑問をぶつける。

うさぎ先生はウサギ耳をぴょんと揺らし、「ネット銀行は、日本では2000年代前半から本格的に登場したよ。住信SBIネット銀行やジャパンネット銀行(現PayPay銀行)、楽天銀行(旧イーバンク銀行)あたりが先駆けだね。インターネットの普及に乗って、‘支店を持たずにネットで完結する’モデルが徐々に浸透していったんだ」と言う。

「そうなんですね。もともとは ‘店舗不要で低コスト’ が強みなのかな?」

先生は「まさに。店舗の維持費や人件費が少なくて済む分、金利を高めに設定したり、振込手数料を無料にしたりできる。しかもネットバンキング専門だからUI/UXに注力しやすい。結果、若いユーザーやITリテラシーのある層が飛びついて、大きく伸びたんだよ」と教えてくれた。

いや、そんな話じゃなくてキャッシュカードの話……

インターネットが変えた金融の常識

私は納得する。「確かに、スマホやパソコンで簡単に残高確認や振込ができるって革命的ですよね。私もネット銀行の口座を持ってるけど、ATMでの入出金手数料が無料になる回数も多くて助かります。メガバンクより金利も高かったりするし…」

先生は「ネット銀行は低コスト構造だから、その分をユーザー還元できるわけだ。さらにポイント還元やキャッシュレス決済との連携を強化して、『銀行口座を持つことがもっとお得』というイメージを植え付ける戦略がうまくいった。メガバンクや地銀と明確に差別化できたんだね」

「なるほど……。じゃあメガバンク側からすると脅威ですよね。こっちは店舗コストがあるから、ネット銀行のように無料化や高金利をポンポンできないし」と私は思わず同情の声。

先生はうなずく。「だからメガバンクもオンラインバンキングを強化したり、振込手数料を下げたりして対抗してるけど、ネット銀行の機動力には苦労している。今後はブロックチェーンやフィンテックとの連携をめぐる戦いも激しくなるだろうね」

ネットバンクを纏めてみますね!

SBI、楽天、住信SBIネット銀行の例

「先生、ネット銀行にもいろいろあると思いますが、例えばSBIとか楽天とか…それぞれの特徴ってどんな感じなんでしょう?」
うさぎ先生はホワイトボードに三つの銀行名を書く。

  1. SBI銀行(旧ソフトバンク・インターネット系)

  2. 楽天銀行(旧イーバンク銀行)

  3. 住信SBIネット銀行(住友信託×SBIの合弁)

「正確には、ジャパンネット銀行(現・PayPay銀行)もあるし、auじぶん銀行(KDDI×三菱UFJ)もあるけど、代表格としてこの三つを挙げよう。SBI銀行は金融グループSBIホールディングスが親会社で、投資や証券とも連携してる。楽天銀行は言わずと知れた楽天経済圏の中核で、ポイントやECと結びつきが強い。住信SBIネット銀行は住友信託銀行とSBIの合弁で、融資などでも強みがあるってわけ」

私は目を輝かせる。「なるほど、どれも大手IT企業や証券との連携が強いんですね。楽天なら楽天ポイントとか、SBIならSBI証券と連携して手数料が安くなるとか、うまく囲い込んでるイメージがあります」


人の手がかからない分コストが削減されている?

高金利・手数料ゼロ、その裏にあるビジネスモデルは?

「実際、ネット銀行が打ち出す ‘高金利’ や ‘無料振込’ はどうやって成り立っているんですか? きっとそこには何かカラクリがあるんでしょう?」私は疑問を投げかける。

先生は「いいところに気づいたね。銀行の収益源は貸し出しで得る利息と手数料だけじゃない。ネット銀行の場合、グループ内で相互送客して収益を得る仕組みがある。たとえば楽天銀行なら楽天証券と連携し、投資信託や株式取引で手数料を稼ぐ。楽天市場の利用促進にも繋がる。 SBIならSBI証券やSBI生命、SBI損保などと連動して、全体的に金融サービスをクロスセルする。そうやって高金利や無料振込の原資を確保しているわけさ」
「なるほど……ただ単に慈善事業で金利を高くしてるわけじゃなく、グループとしての総合収益を狙ってるんですね」


UIって難しいですよね……

UI/UXとデジタル技術でユーザーを獲得

私はさらにこう問う。「メガバンクのアプリより、ネット銀行のほうが使いやすいと感じるんですけど、それはやっぱり ‘デジタルネイティブ’ な文化だからですかね?」

先生は「うん、最初からネット特化で作られた銀行だから、UI/UXを重視する風土がある。紙の通帳を使わないし、支店での対面業務も基本無い。だからアプリのデザインにリソースを振り向けやすい。大企業病に陥りにくいっていう面もあるだろうね。さらにAIやチャットボットなどを導入し、問い合わせ対応を効率化してコストダウンを図っている」と説明する。

私が「確かに、チャットで自動回答してくれる機能を見ますね。人員削減できるし、24時間対応だし、ユーザーにとってもありがたい」と相槌を打つ。

さてはテクノロジーの話ですね!?

仮想通貨やブロックチェーンとの連携は?

最近気になっているテーマを出してみる。「ネット銀行って、ブロックチェーンや仮想通貨に積極的ですか? たとえばSBIはRipple(リップル)と提携して送金を高速化したってニュースがあったような……」

先生は耳をぴょこんとさせる。「そう、SBIは仮想通貨取引所を運営してたり、Rippleなどブロックチェーン技術を使った海外送金実験にも関わっている。ネット銀行はIT企業文化が強いから、こういう先進技術にも手を出しやすい。楽天も独自のポイント経済圏をさらに拡張しようと、暗号資産に興味を示していると言われてるね。実際にどこまで普及するかはまだわからないけど、メガバンクより動きが機敏だといえる」

「これは楽しみですね。従来の送金システムより早くて安いなら、海外送金や国内送金が一気に変わるかも」と私。

「その可能性は十分ある。でも規制やセキュリティの問題もあるから、慎重に進めてる段階だね」と先生は補足する。


倒産リスクや銀行としての信頼性はどうなの?

「ネット銀行って、資金がショートしたらどうなるんでしょう。実際、信頼性ってメガバンクより劣らないんですか?」と私は不安を口にする。

先生は「銀行という業態である以上、預金保険制度(ペイオフ)で預金1,000万円までは保護されるし、金融庁の監督下にあるから、そう簡単に倒産はしないよ。しかも多くは大きな企業グループのバックアップを得てる。SBIはSBIホールディングス、楽天銀行は楽天グループ、住信SBIは住友信託が絡んでるから、資本基盤はしっかりしている」

私は「なるほど、じゃあ普通の銀行として扱えばいいわけですね。カタチが違うだけで本質は同じ……」と胸を撫でおろす。

実店舗も必要な場面はありますよね

全体の動きと私のまとめ

ネット銀行VSメガバンク・地銀——共存か淘汰か?

ここで私は頭を整理する。「前回までメガバンクや地銀を見てきましたが、ネット銀行はまた異質ですね。 ‘店舗不要’ という強みでシェアを伸ばしているし、グループのクロスセルで稼ぐモデルが確立している。一方で、メガバンクや地銀は支店コストが重荷になりやすい……」

先生は「そうだね。しかし、メガバンクや地銀もオンラインサービスを強化して巻き返そうとしてるし、何より法人融資や地域密着の分野ではネット銀行が弱い面もある。だから ‘完全に淘汰される’ わけじゃなく、それぞれが得意分野を活かしつつ共存していくシナリオが現実的だろう。ネット銀行は個人とITの分野で強み、メガバンクは法人と国際業務、地銀は地域を支える、という住み分けが起きるんじゃないかな」

「確かに。個人の給与振込みや貯蓄にはネット銀行を使いつつ、ローンは地銀で組む人もいるかも。企業が海外進出するときはメガバンクを使うとか、そんな感じですね」と頷く私。

先生は「まさにそういう複数口座持ちが当たり前になっているし、金融サービスを組み合わせて使う時代だよ。ユーザーの最適解は ‘何か一つに絞る’ ではなく ‘必要なサービスを取捨選択する’ になってきてる」


ネット銀行が狙う「金融スーパーアプリ」の未来

「ネット銀行はスーパーアプリ化をよく言うじゃないですか。すべての金融サービスを一つのアプリで提供するようなイメージ。私が使ってる銀行アプリも、投資とか保険とか連携するメニューがありますね」

先生はにこやかに答える。「そう。SBIならSBI証券やSBI損保とアプリ連動、楽天なら楽天証券や楽天カードと連携、住信SBIネット銀行もSBIグループの各種サービスを一括で扱えるよう拡充中。要するに ‘銀行口座さえあれば投資も保険も決済も完結できる’ 状態を目指してるわけだ。大手IT企業が ‘スーパーアプリ’ を作る戦略と似ているよね」

私は「ああ、LINEやPayPayもスーパーアプリを目指してるけど、ネット銀行なら口座がベースにあるからお金の管理がしやすいって強みがある、と。何だかずいぶん便利になってきそうだけど、一方で ‘囲い込み’ 感も強まりそう……」

「そこはユーザーが ‘どこまで許容するか’ だね。便利を取るか、分散管理を好むか。いずれにせよ、ネット銀行がリードするフィンテック連携は加速度的に進むと思うよ」

それぞれの立ち位置が見えましたね

私たちなりのまとめ:ネット銀行の“本質”と広がり

私はここでまとめに入る。「要するに、ネット銀行は ‘店舗コストゼロ’ という強力な武器があり、IT企業文化を背景にUI/UXやフィンテックとの連携を突き進んでいる。グループ企業とのクロスセルで収益を確保し、個人ユーザーにメリットを還元することで人気を得ているってことですね。大丈夫そうに見える倒産リスクも、実は大手グループのバックアップがあるから安心……と」

先生は「正確だね。金利の高さや手数料の安さでユーザーを取り込み、ITとの親和性を活かしてスーパーアプリ化を目指す。そこにブロックチェーンや暗号資産と絡む可能性も高い。まさに ‘新時代の銀行’ と言える。

同時に、メガバンクや地銀とは違う分野での補完関係も考えられる。法人融資や地域密着は苦手だけど、個人向けキャッシュレスサービスや証券連携は得意。今後、日本の金融業界は ‘複数口座・複数サービス’ が当たり前になっていくかもしれないね」

「なるほど……。私もネット銀行を普段使いしてるけど、こんなにビジネスモデルが綿密だとは知らなかったなあ。 ‘その場しのぎで金利を高くしてるだけ’ かと思ってたけど、しっかり儲けの仕組みがあるんですね。あと今後ブロックチェーン送金が広まればさらに便利かも、とか……夢が膨らみます」

先生は笑みを浮かべて、もふもふの耳をやさしく揺らす。「うん、これからさらに面白くなると思うよ。メガバンクと手を結ぶネット銀行もあれば、独自路線を突っ走るところもある。次回は証券会社の進化を扱う予定だから、そこでも ‘ネット証券’ との連携がどう進んでるかが見えてくるんじゃないかな」

今回もまとめていきますよ!

用語解説

  1. ネット銀行
    店舗を持たず、オンライン上で口座開設や振込などを完結させる形態の銀行。SBI銀行、楽天銀行、住信SBIネット銀行などが代表格。低コストを活かし高金利や振込無料などのサービスを提供。

  2. クロスセル
    同一グループ内の関連サービスをセットで利用促進する戦略。例えば、ネット銀行口座を開設してもらい、同時にグループ証券や保険の契約を勧める形など。

  3. スーパーアプリ
    1つのアプリ内で多数の機能(決済、投資、保険、ECなど)を提供する構想。LINEやPayPayが目指すモデルで、ネット銀行も自社アプリを軸に展開中。

  4. ブロックチェーン送金
    暗号資産の基盤技術であるブロックチェーンを活用し、高速・低手数料で国際送金などを行う仕組み。SBIやRippleとの提携事例が有名。

  5. 預金保険制度(ペイオフ)
    銀行が破綻した場合、預金者1人当たり1,000万円までとその利息を保証する制度(決済用預金は全額保護)。ネット銀行も対象となる。

  6. AIスコアリング
    AIを使って顧客の信用度や返済能力を数値化する手法。オンライン融資で書類審査を効率化できると注目されており、地銀やネット銀行でも導入が進む。

  7. フィンテック(FinTech)
    金融(Finance)とテクノロジー(Technology)を組み合わせた造語。ネット銀行やスマホ決済など、新しい金融サービスを指す総称。


次回予告

次回の第5話では、また別の視点から金融を切り取ります。テーマは「証券会社の進化—野村・大和・SMBC日興の成長戦略」。株式や債券、投資信託などを扱う証券会社が、海外進出やデリバティブ、ロボアドバイザー導入などでどう変わっているのか。ネット証券の台頭や、仮想通貨市場への参入は進むのか。

「証券会社って ‘株を売買するだけ’ かと思いきや、実はデリバティブやM&A、海外ファンド投資など多角的ビジネスがあるよ」と先生は語る。

私(ユキ)も「実は私、投資信託を少しだけやってるから、ロボアドバイザーには興味津々です。次回も夜ふかししながら学びたいな」とワクワクが止まらない。
というわけで、第4話(ネット銀行編)はここまで。もしあなたが「なんとなくネット銀行を使っている」なら、今回の話で仕組みや戦略をより深く理解していただけたかもしれません。次回も一緒に金融業界を冒険しましょう。ではまた!


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