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第8話:『フィンテック革命—PayPay・LINE Pay・メルペイの戦略』金融業界編 全12話
こんにちは、ユキです。
前回の第7話では、クレジットカード業界を中心にキャッシュレス決済の進化と国際ブランドの覇権争いを見てきました。VISAとMasterCard、そしてJCBがどう世界をリードしているか、そこにQR決済やBNPLが絡んで競合・提携が同時進行する流れがとても興味深かったですよね。
そして今回の第8話は、より「スマホ時代のフィンテック革命」に焦点を当てます。PayPay、メルペイ、そしてかつて大きな存在感を持っていたLINE Payなど、日本国内で一気に普及したQR決済の舞台裏を探っていきたいと思います。とはいえ、LINEヤフーの経営統合に伴い、2025年4月30日をもってLINE Payは日本国内でのサービスを終了し、今後はPayPayに一本化されるとのこと。サービス終了を控えるLINE Payの過去・現在を振り返りながら、QR決済がいかに広まり、どんな未来に繋がっていくのか。
従来のカード決済や銀行振込を超えて、スマホだけで「あと払い」や「友だち送金」を実現するフィンテック企業の戦略とは? いつものように、うさぎ先生との夜ふかし対話で探ってみましょう。
7話はこちらから👇
⬛︎金融業界シリーズ
第1話:『金融業界の全体像—お金の流れを作る仕組み』
第2話:『メガバンクの覇権—三菱UFJ・三井住友・みずほの戦略』
第3話:『地方銀行の役割—地域経済を支える金融機関』
第4話:『ネット銀行の挑戦—SBI・楽天・住信SBIネット銀行の成長戦略』
第5話:『証券会社の進化—野村・大和・SMBC日興の成長戦略』
第6話:『保険業界の改革—日本生命・第一生命・明治安田の戦略』
第7話:『クレジットカード・決済の進化—JCB・VISA・MasterCardの覇権争い』
第8話:『フィンテック革命—PayPay・LINE Pay・メルペイの戦略』
第9話:『投資信託・資産運用—GPIF・楽天証券・SBI証券の動向』
第10話:『中央銀行の役割—日銀・FRB・ECBの金融政策』
第11話:『仮想通貨・ブロックチェーン—ビットコイン・イーサリアムの未来』
第12話:『未来の金融業界—テクノロジーが変えるお金の流れ』
全12話
サイトマップはこちらから👇
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QR決済の急速普及と主要プレイヤーの台頭
QR決済がこんなに浸透した背景
夜のリビング。私(ユキ)はコーヒーを飲みながら、うさぎ先生(闇の組織によってウサギ姿になった元大学教授)と向かい合う。
「先生、私、日常の支払いがほとんどスマホ決済になっちゃいました。カードすら使わないときが多くて……。PayPayやメルペイがすごく便利なので、ついポイント還元に釣られて使いまくりです」
うさぎ先生は笑いながら耳を揺らす。「そうだよね。スマホでQRやバーコードを読み取るだけで支払い完了するし、特に日本では2018~19年の大規模キャンペーンが一気に普及を後押しした。政府もキャッシュレス還元事業を推進したから、お店側も導入しやすかったんだ。
QR決済は加盟店にとっても導入コストが低く、レジ端末を新調せずにスマホやタブレットで対応できるメリットが大きい。これが爆発的拡大の要因だね」
「確かに、カードリーダーみたいな機械が不要だと、中小店舗も気軽に導入できますもんね。あと消費者としてもキャンペーンやポイント還元が魅力的だったし……」と私は付け足す。
PayPayの戦略と大規模還元キャンペーン
「先生、PayPayはソフトバンクとヤフーが合弁で作ったQR決済サービスですよね。100億円キャンペーンとかで一気に広まった印象がありますが、あれって実際どうだったんでしょうか?」
先生は「そう、PayPayは2018年リリース当初から大々的に ‘100億円あげちゃうキャンペーン’ を展開し、ユーザーと加盟店を急拡大させた。ソフトバンクとヤフー(現Zホールディングス)の資金力があったからこそ出来た荒技だね。
ユーザー数が爆増した結果、街中でPayPayが使える店舗が激増。しかもYahoo!ショッピングやLOHACOなどECとの連携も強いし、後払い機能を含む“スーパーアプリ” への進化を図っている。将来的には保険やローン、投資など金融全般をアプリ内で完結させようとしているよ」と先生。
「なるほど……確かにPayPayはもう ‘決済’ だけじゃなくて、ポイント運用とか保険とかいろいろ連携してますね。LINE Payが合流する話もニュースになってましたが、今後はそちらに一本化するんでしょうか?」
先生は「そう。LINE Payは2025年4月30日をもって日本国内でのサービスを終了する予定で、実質的にPayPayへ一本化される。これでさらにユーザー数と加盟店が拡大する可能性があるね。LINE Payは大規模サービス終了になるが、LINEのコミュニケーション基盤を活かした決済構想がPayPayの仕組みと統合されていく見込みだよ」と教えてくれる。
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LINE Payの足跡とメルペイの戦略を談義
LINE Payの足跡とサービス終了の行方
「実は私、LINE Payも使っていたんですけど、友だちに送金できるのが便利でした。終了しちゃうんだ……寂しいですね。どうして統合に至るんでしょう?」
先生はホワイトボードに簡単にまとめる。「LINE Payは、チャットアプリLINEを基盤に2014年頃から展開され、‘友だち送金’ や ‘LINEポイント’ との連動で若年層を中心に支持を集めた。だけどZホールディングス(ヤフー)とLINEの経営統合で、PayPayと機能が重複するため最終的に2025年4月末で国内サービス終了となる。
統合後はLINEユーザーもPayPayの機能を使えるようになり、‘LINE’ というコミュニケーション基盤と‘PayPay’ という決済基盤の融合が進む。国内に限って言えばLINE Payブランドは消える形だね」
「ふむ、LINEを使って送金できる仕組みもPayPayに集約されるんですかね。これは利用者としては移行手続きが面倒かもしれないけど、長期的にはポイントや加盟店が一本化されて便利かも……」と私は思案する。
メルペイの“フリマ売上金” 活用と後払い
「じゃあ先生、メルペイはどうなんですか? フリマアプリのメルカリと連動して便利って聞きますが、PayPayほど大々的なキャンペーンはやってないイメージ……」
先生は「メルペイは2019年に本格開始して、メルカリの売上金をコンビニや飲食店で使えるようにし、さらに ‘あと払い(スマート払い)’ 機能を提供している。メルカリ利用者が多い若年層には非常に好評で、フリマで得た資金をそのままリアル店舗で消費できるのが強みだ。
大規模な還元キャンペーンこそPayPayほど派手じゃないが、フリマ利用者を抱えている点が大きい。またメルペイは銀行口座の登録やID決済(iD)など多様な手法を導入していて、ユーザーの利便性が高いと言われる。‘メルカリ’ という強力な母体があるから独自の地位を保っているね」
「なるほど。PayPayがYahoo! やLINEと結び付くなら、メルカリというフリマプラットフォームと紐付いたメルペイも相当強そう。ユーザーの利用目的が違うから、共存しやすいのかな」と私は分析する。
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QR決済その後:加盟店手数料、スマホアプリ戦国時代
「でも先生、最近は加盟店手数料が有料化する動きもあるみたいで、QR決済が本当に儲かるのか疑問です。結局どうやってビジネスモデルを確立してるんでしょう?」
先生は「QR決済でマネタイズするのは難しい部分もある。最初は手数料無料や大幅減額で加盟店を増やしたけど、長期的には収益が必要。PayPayなどは今後 ‘一定の手数料を取る’ 方向に移行してる。
ただ、本質的には ‘決済自体で儲ける’ よりも、スーパーアプリ化で金融やEC、広告など他領域を巻き込み、利用データを活用して総合収益を稼ぐモデルが大きい。だから大企業の資本力がなければなかなか続かない。コンビニやスーパーが自社アプリ決済を導入してるのも、独自のデータや顧客囲い込みを狙うためだね」と先生は解説。
「やっぱり ‘フロントは決済で顧客を取り込んで、裏で金融・EC・広告を組み合わせて稼ぐ’ という流れか。純粋な決済手数料収入だけだと厳しいんだろうな……」と私は納得する。
私たちなりのまとめとメタ認知
LINE Payサービス終了と“PayPay一本化”が示すもの
「今回、LINE Payが2025年4月末で終了して、PayPayに統合されるって話、先生はどう見ていますか?」と私は核心を問いかける。
先生は「これはLINEヤフー統合によって、重複するQR決済サービスを一本化し、資源を集中させる狙いだろうね。LINE Payも一時期は独自のキャンペーンや友だち送金でユーザー数を伸ばしたけど、PayPayほどの大キャンペーンや加盟店拡大には及ばなかった。
ユーザーにとっては移行の手間があるけど、最終的には ‘LINEのコミュニケーション基盤 + PayPayの決済’ という強力なスーパーアプリ路線が生まれる可能性がある。国内QR決済がさらにPayPayに集約されれば、競合するのはメルペイや楽天ペイ、au PAYぐらいになるかもしれない」と先生は語る。
「確かに ‘QR決済が乱立しててわかりにくい’ という声もあったし、ユーザーとしてはある程度まとまったほうが楽かも。だけど独占になりすぎるのも困る……」と私は複雑な感情を吐露する。
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決済だけでなく、金融スーパーアプリへ
「先生、PayPayやLINEが一本化するとすれば、今度は投資や保険、ローン機能まで抱き合わせた ‘スーパーアプリ’ になりそうですよね。私たちが銀行や証券を意識せずに全部アプリで済ませるようになるとか……」
先生はウサギ耳を動かしながら頷く。「うん、それが狙いだね。既にPayPay証券やPayPay銀行、保険サービスなどがあるし、今後はLINEのユーザーベースを活かしてさらに拡張するだろう。メルペイも含め、決済を入り口に ‘あらゆる金融サービスへ誘導’ する体制が整いつつある。
国際的にもWeChatが成功したように、アプリ一つで決済・SNS・EC・投資など全部できるとユーザーは離れにくい。メガバンクやクレジットカード会社も巻き込んで、‘表にフィンテック、裏に従来の金融インフラ’ が協業する形が一層強まりそうだね」
「なるほど……確かに便利そうだけど、データが集中する問題もあるし、独占の懸念もあるかも。でも大勢にとっては ‘便利最優先’ になるのかな」と私は思わずつぶやく。
DXと金融包摂、地方再生への影響
「先生、DXが進んでキャッシュレスやオンライン融資が当たり前になると、地方銀行や中小の金融機関は大丈夫なんでしょうか?」と私は気をかける。
先生は「そこは地方銀行の改革と同じ話だね。フィンテック連携で地元企業や個人にオンライン融資や地域通貨を提供する例が増えつつある。リスク評価や与信をAIで行って、地銀は対面のきめ細かいサポートを組み合わせる。デジタル化は地方を救うチャンスでもある。
また、地域でQR決済を推進し、観光や特産品販売を盛り上げる事例もある。だから一概に ‘DXで地方が消える’ とはならない。むしろ協業次第で地域創生に繋がるかもしれないよ」
私は安堵。「それなら地銀もフィンテックで新しいモデルを作れるんですね。地方創生ファンドやイベント連動も期待できるし、前に学んだとおり ‘顔なじみ+DX’ が地銀の強みか……」と納得する。
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グローバル視点:新興国と先進国の逆転可能性
「先生、海外では中国やアフリカなど、新興国がQR決済やモバイル送金で一気に金融が普及した例があるって聞きますよね。先進国が逆に旧インフラに縛られてる面もあるとか……」と私は話題を広げる。
先生は「そう、新興国では従来の銀行支店やクレジットカードインフラが整備されていないからこそ、スマホ決済やモバイルバンキングが普及しやすい。中国のアリペイやWeChat Payが典型だし、ケニアのM-Pesaも有名な事例。アフリカや東南アジアで同様の例が続出してる。
日本や欧米は既存インフラが強固だった分、変化がゆっくりだったが、コロナ禍を経てキャッシュレス化が加速。新興国が先進国を追い抜く可能性もある。金融の中心がどこになるか、一層読めない時代だね」
「なるほど、‘レガシーインフラがないからこそ最新技術を一気に導入しやすい’ って話ですね。今後は海外の事例も見ながら日本の金融が変わるかもしれない」と私はメモを取る。
未来の金融は「見えなくなる」? そしてより包摂的に
最後に私は語り始める。「今回のシリーズを通じて、金融の多様な領域を学んだ結果、私は“金融が日常に溶け込む”未来を想像します。たとえばスーパーアプリで支払い・投資・保険・ローンをシームレスに行い、裏で銀行や証券がAPI連携。仮想通貨やブロックチェーンが従来の金融と融合し、中央銀行デジタル通貨も選択肢に入る。 ‘金融’ を意識せず、必要な時に自然と使える形になるんじゃないかな、と。
同時に、AIやビッグデータで個人の信用度やリスクを細かく可視化できる社会が来るなら、便利半面で監視や格差も懸念される。だからこそルール整備や教育が重要。 ‘金融包摂’ を進めて、誰もが公平にサービスを受けられるかどうかが問われる。そんな未来が見えてくるように思います」
うさぎ先生はウサギ耳をしなやかに動かしながら微笑む。「Exactly. 金融は根本的に ‘社会の血液’。技術が革新すれば血液の流れが変わり、新陳代謝が活発になる一方、制御や安全策が必要になる。ユキくんが言うように ‘見えないけど誰でも使える金融’、そして ‘包摂的でリスク管理が行き届いた金融’ が理想かもしれないね。
ただ現実は利害や規制が複雑だから、一気に変わることはない。既存プレイヤーと新興勢力が協業・競争しながら、徐々に形を変えていくと思うよ。だからこそ、私たちも学び続けて ‘お金の未来’ を見極めたいね」
私も深くうなずく。「はい、本当にそうですね。今回のシリーズで金融の断片を学んだおかげで、今後ニュースを見る目が変わりそう。何が起きても振り回されず、しっかりリテラシーを持ってサービスを選びたいと思います!」
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用語解説
フィンテック(FinTech)
金融(Finance)とテクノロジー(Technology)の融合。モバイル決済、オンライン融資、暗号資産など幅広いサービスが含まれる。今回のQRコード決済も代表的な一分野。QRコード決済
二次元バーコードを用いた決済方式。加盟店が提示したコードを利用者が読み取る(または利用者のコードを加盟店が読み取る)ことで取引が成立。導入コストが低く、スマホのみで完結できる。PayPay
ソフトバンクとYahoo!(Zホールディングス)が運営するQRコード決済サービス。大規模キャンペーンで一気に普及し、現在は金融スーパーアプリ化を推進中。LINE Pay
コミュニケーションアプリLINEの決済サービス。友だち間送金やQR決済などを提供し、ポイント連携や企業の請求書支払いも可能。メルペイ
フリマアプリ「メルカリ」の売上金を活用した決済サービス。後払い機能(スマート払い)も持ち、フリマ利用者を取り込みやすい。BNPL(Buy Now Pay Later)
クレジットカードを発行せずに“あと払い”できる仕組み。若年層に支持され、PayPalなども導入。国内でも急速に拡大中。スーパーアプリ
1つのアプリ内で、多様なサービス(決済・通販・SNS・予約など)を提供する形態。中国のAlipayやWeChatが先行事例。日本でもLINEや楽天、PayPayなどが目指している。
次回予告
次回の第9話は「投資信託・資産運用—GPIF・楽天証券・SBI証券の動向」をメインテーマに、個人投資家が増える中で投資信託や資産運用がどう進化しているのかを掘り下げます。NISAやiDeCoなどで投資が身近になる一方、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)のような巨大プレイヤーが日本市場に与える影響はどのくらい大きいのか? またロボアドバイザーやESG投資、AI運用がどう変革をもたらすのか?
「私、投資信託は気になってるんですけど、ESGとか言われると一気に難しそう……」と私(ユキ)は少し不安になりながらもワクワクしている。先生は「大丈夫。一緒に学べばだいぶ理解できるはずさ。資産運用は未来の自分に繋がる話だからね」とウサギ耳をふわりと揺らす。
それでは、フィンテック革命(スマホ決済編)はここまで。次回の投資信託・資産運用編でまたお会いしましょう。キャッシュレスやQR決済の活用がこれからどう拡がるか、私たちも注目しながら、賢い使い方を考えていきたいですね。お楽しみに!
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