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第6話:『保険業界の改革—日本生命・第一生命・明治安田の戦略』金融業界編 全12話

こんにちは、ユキです。
これまでの金融業界編では、メガバンク(第2話)や地方銀行(第3話)、ネット銀行(第4話)、そして証券会社(第5話)について、うさぎ先生との夜ふかしトークを通じて深掘りしてきました。銀行や証券は「お金を貸す・集める」というイメージが強いですが、一方で「リスクをカバーする」というビジネスを展開するのが保険会社。今回は、そんな保険業界にスポットを当てたいと思います。

保険といえば、「何となく加入しているけど本質はよく知らない」「お堅いイメージがある」なんて声もよく聞きます。特に、日本生命第一生命明治安田生命といった国内大手は、長きにわたり“安定”の象徴のように思われてきました。でも実は、いま保険業界にもテクノロジーの波が押し寄せていて、AIやヘルステックとの連携、“インシュアテック”と呼ばれる新たな動きなど、変革が起きているのです。

今回の第6話では、「保険業界の改革」と題して、日本が誇る大手生保(三社)を中心に、その歴史や理念、具体的な取り組み、そして今後の展望をうさぎ先生と語り合います。私たちの生活にも直結する“保険”という仕組みが、どう進化しているのか? デジタル技術や健康データの活用で、保険サービスがどこまで変わるのか? 一緒に読み解いていきましょう。

5話はこちらから👇

⬛︎金融業界シリーズ

第1話:『金融業界の全体像—お金の流れを作る仕組み』
第2話:『メガバンクの覇権—三菱UFJ・三井住友・みずほの戦略』
第3話:『地方銀行の役割—地域経済を支える金融機関』
第4話:『ネット銀行の挑戦—SBI・楽天・住信SBIネット銀行の成長戦略』
第5話:『証券会社の進化—野村・大和・SMBC日興の成長戦略』
第6話:『保険業界の改革—日本生命・第一生命・明治安田の戦略』
第7話:『クレジットカード・決済の進化—JCB・VISA・MasterCardの覇権争い』
第8話:『フィンテック革命—PayPay・LINE Pay・メルペイの戦略』
第9話:『投資信託・資産運用—GPIF・楽天証券・SBI証券の動向』
第10話:『中央銀行の役割—日銀・FRB・ECBの金融政策』
第11話:『仮想通貨・ブロックチェーン—ビットコイン・イーサリアムの未来』
第12話:『未来の金融業界—テクノロジーが変えるお金の流れ』
全12話

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今回は保険会社について考えて行きます

保険業界の概要と歴史—二人で話すきっかけづくり

「保険って正直、よくわからない…」私の素直な気持ち

平日の夜、私は自宅のリビングでコーヒーを飲みながら、うさぎ先生(闇の組織によりウサギの姿に変えられた元大学教授)と座っている。

「先生、保険について教えてください!」と私は急に声を弾ませる。

先生はウサギ耳をやさしく揺らしながら笑う。「ユキくん、保険って意外と身近なようでいて、仕組みを深く考える機会は少ないんだよね。たとえば生命保険なんて ‘いざというとき家族を守る’ という観点で加入するけど、その背後にある保険数理や運用はかなり奥が深い」

私自身、医療保険や自動車保険はなんとなく入っているけど、「どうやって保険料が決まるのか?」とか「保険会社は保険料をどう運用しているのか?」とか、よくわかっていない。

「そうなんです。契約書類も分厚いし、営業の人が ‘これはお得ですよ’ って言うから何となく入るだけで、実は全然理解していないんですよね」と私。

先生は「保険は ‘リスクを大勢で分担する仕組み’ として、戦後の日本を支えてきた歴史があるよ。だからまずは、その歴史から見ていこうか」とホワイトボードを取り出す。


戦後の生命保険普及と日本生命・第一生命・明治安田

先生はサラサラと年表のようなものを書き始めた。

  • 戦後直後~高度成長期

    • 経済復興とともに、生命保険が“家計の安全策”として普及。各社が独自に営業網を拡大し、女性の保険外交員(セールスレディ)が家庭を回る光景が定着。

    • 日本生命や第一生命、明治生命(現明治安田)など大手が市場をリードし、それぞれ数千万人単位の契約者を得るまでに成長。

  • バブル期~1990年代

    • 高金利時代に、保険会社は“定額給付”型商品でも余裕の運用益を得られた。

    • 1990年代バブル崩壊後、一部の生保が経営破綻するなどの事件も起き、不良債権問題の影響で運用が厳しくなる。

  • 2000年代~現在

    • 超低金利時代に突入し、従来の高予定利率商品は保険会社にとって重い負担となる。

    • 各社は新商品の開発や海外展開、インシュアテック(保険×テクノロジー)の取り組みを強化しはじめる。

先生はこうまとめる。「日本生命や第一生命、明治安田なんかは昔からの大手で ‘生保レディ’ の営業力で契約を大量に獲得してきたわけ。ただバブル崩壊後の低金利が厳しく、運用益が減る中でどう改革するかが問われた。

さらに少子高齢化で若年層が減るし、年金不安は高まるし、ヘルステック連携が注目される……まさにいま大転換期にあるんだよ」

保険会社の収益源と長期運用の重要性

「先生、保険会社って ‘保険料’ だけで稼いでるんですか? それとも投資運用もやっているんでしょうか?」

先生は「いい質問だね。保険会社は契約者から集めた保険料を ‘長期運用’ して、その運用益で将来の保険金支払いに備える。たとえば生保は国債や株式、不動産などに投資しているし、日本の生保は国債や社債を中心に‘安全運用’をするイメージが強かった。でも低金利だと国債の利回りが低いから、そこが苦しいわけだ。なので海外債券やオルタナティブ投資(不動産やインフラファンドなど)にシフトする動きもあるね」と解説。

私は驚き。「ああ、私が払う保険料の一部は投資に回されている……つまり銀行と似たように運用してるんですね。でも保険会社には ‘将来の支払い責任’ があるからリスク取りすぎはダメ……と」

先生はニコリ。「Exactly. だから保険会社はしっかりリスク管理しつつ、ある程度の利回りを確保する必要がある。低金利が続くと ‘予定利率’ とのギャップが生じて逆ザヤ(損失)を抱えることもあるし、海外投資で為替リスクもある。運用はかなり大変だよ」


保険業界の改革ポイントと見どころ

AIリスク評価とヘルステック連携

「最近、『インシュアテック』って言葉を耳にするんですけど、具体的にはどんなことをやってるんでしょう?」と私は興味を示す。

先生はウサギ耳を動かしながら、熱心に語る。「AIを使ったリスク評価や保険金支払い手続きの自動化が代表例だね。例えば、病歴やライフスタイル、DNA情報などをAIが分析して ‘最適な保険料率’ を瞬時に算出できるとしたら、保険加入のハードルが下がるし、企業としても正確なリスクプライシングが可能。

さらにヘルステックとの連携で、フィットネスや健康管理アプリと保険契約を結び付ける商品が出てきてる。たとえば ‘歩数や運動量を一定以上保つと保険料が割引になる’ といった仕組み。日本生命や第一生命、明治安田でも実験的に導入しているよ」

私はなるほどと感心。「そんなにパーソナライズできるんですね。じゃあ健康管理アプリを保険会社が見るわけですか? ちょっとプライバシー面が気になりますが……」

「そう、それが課題でもある。個人情報の取り扱いをどうするか。だけど健康増進と保険料ダウンが結び付けば、顧客も得をするし、保険会社も病気や死亡リスクを下げられる。WIN-WINの関係が生まれる可能性は大きいよ」と先生。

仕事の内容がイメージできましたか?

日本生命・第一生命・明治安田の取り組み

私は大手三社の具体例が知りたいと告げる。「先生、日本生命や第一生命、明治安田がそれぞれどんな改革をしてるのか、ざっくり教えてください!」
先生はホワイトボードに簡単に書き出す。

  1. 日本生命

    • 老舗大手で顧客基盤が厚い。多くの営業職員を抱える。

    • 医療保険や個人年金の拡充に力を入れ、健康増進型商品も開発中。

    • AI活用で保険金請求の審査を効率化し、顧客満足度向上を図っている。

  2. 第一生命

    • 株式上場を果たし、海外M&Aを積極化(米国やアジアで保険会社買収)。

    • “健康チェックアプリ” と連動した新商品などを導入し、若い世代の取り込みを強化。

    • デジタルトランスフォーメーションで契約手続きのオンライン化を推進。

  3. 明治安田生命

    • 明治生命と安田生命が合併して誕生。営業職員(MYライフプランアドバイザー)の活動を重視。

    • 地域密着型で、地方自治体やスポーツイベントと連携したPRが特徴。

    • 一部の健康保険組合向けに特別プランを提供し、企業とのタッグを深める。

「こんな感じで、各社とも ‘従来の営業スタイルを維持しつつ、デジタル技術も取り込む’ 方向に進んでる。海外進出も重要で、北米やアジアを中心に現地保険会社を買収して地盤を築いているケースが多いんだ。特に第一生命はアメリカの保険会社を買収して勢力を伸ばしているよ」と先生は付け加える。


“保険レディ” 営業モデルは消えないの?

「そういえば昔から ‘保険レディ’ と呼ばれる訪問営業のイメージが強いですよね。今はネットで申し込みできる保険も増えたのに、対面営業は続くのかな?」と私は疑問を投げかける。

先生は「続くと思うよ。特に高齢者やファミリー層は対面で丁寧な説明を受けたいという需要が根強いし、保険は複雑だから ‘プロに直接聞きたい’ という声が多い。一方で、若いデジタル世代向けにはネット申し込みやオンライン相談を強化する流れだね。だから ‘ハイタッチとハイテクの融合’ がキーワード。保険レディは消えずに、むしろ進化するんじゃないかな」とのこと。

「なるほど。オンライン完結ができる商品もあれば、オフラインで丁寧に提案するスタイルもあって、共存するわけですね」と私は納得。

訪問での良さもあります

インシュアテックと保険金支払いの自動化

「先生、保険金請求って、事故証明とか診断書とかいろいろ書類がめんどうですよね。そこにAIやブロックチェーンが関わると楽になるんでしょうか?」と私は切実な声。

先生は「その可能性があるよ。‘ブロックチェーンで診断情報を共有して、保険会社の審査が自動化’ とか ‘スマホで写真を撮るだけで事故の状況が分析され、支払いがスピーディーに行われる’ といった取り組みが、海外インシュアテック企業で進んでいる。日本でも大手生保・損保が実証実験を始めているよ。

ただ、規制やプライバシーの問題もあるから一気に普及するかは未定。でも確実に ‘保険金支払いの手続きは今より簡単になる’ 方向に進むと思うね」

私は「書類手続きが減るなら嬉しいです。保険って入るのも請求するのも面倒ってイメージが強いから、そこが改善されると魅力アップですよね」

徐々にまとまってきました

全体のメタ認知と私の私見

保険業界は「リスク管理+運用+デジタル化」の三位一体

ここで私は、保険会社の特徴を整理してみる。「銀行や証券と違って、保険会社は ‘大勢から保険料を集め、リスクをプールして運用し、いざというときに給付する’ 仕組みでしたよね。超低金利時代で運用が厳しくなったけど、AIとインシュアテックで保険料率や支払い手続きが効率化すれば、まだまだ成長できる。海外展開で規模を広げている例も多い……。

そこに加えて健康増進型やIoT連動型保険が出てくると、ただの ‘リスク補償’ から ‘健康サポート’ に進化するって感じでしょうか?」

先生は嬉しそうに微笑む。「Exactly. つまり保険業界は ‘保険金を払うだけ’ の時代から ‘予防・健康・データ活用’ を通じて契約者をサポートする段階に入っている。AIリスク評価で個々のライフスタイルに応じた商品を提案し、運用面でも世界中の投資チャンスを追求する。海外では ‘保険+テクノロジー+ヘルスケア’ を一体化している企業もある。そういう方向に、日本生命・第一生命・明治安田も少しずつシフトしてるわけさ」

「私としては、保険が ‘ヘルスケアのパートナー’ になってくれるなら、ちょっと面白いなって思います。だって ‘もっと運動すれば保険料安くなる’ とか ‘早期発見で治療費を保険が支援’ とか、嬉しい仕組みができそうだから」と私は期待の声を上げる。


海外保険会社との比較、M&Aの動向

先生はさらに補足する。「海外の保険市場は中国や東南アジアなどで急成長していて、日本の生保はM&Aで現地企業を買収してる例が増えてる。第一生命が米国のプロテクティブ・ライフを買収したり、明治安田が東南アジアの保険会社に出資したりと、大手生保の海外シェア拡大は続く見通し。国内だけでは人口減で頭打ちだからね。海外保険大手と合併や業務提携する可能性もあるし。

一方、欧米の保険大手はすでにデジタル化やインシュアテック導入が進んでいる。日本企業がどう競争力を発揮するかが課題だろうね」

「そうか……日本生命とかが海外でどこまでブランドを築けるか、興味ありますね。国内市場の先細りが避けられないなら、海外展開がカギを握るんだろうなあ」と私は納得する。

保険のまとめです

私のまとめ:保険は“人生の安全網”、これから大きく変わるかも

ここで私は、今回の学びを自分の言葉で振り返る。「保険って、人生の中で ‘大きなリスクに備える’ 大事な仕組みだし、昔は営業職員が家を訪問するスタイルが主流だった。でも今やデジタル化や健康データ活用が始まり、保険金の支払いプロセスも自動化が進んでいる。さらに海外進出やヘルスケア連動で、どんどんビジネスの幅を広げているなんて、正直びっくり。

日本生命・第一生命・明治安田の三社も、長年培った顧客基盤や営業力を活かしつつ、時代に合わせて変わろうとしている。保険って言うと ‘お堅い’ イメージがあったけど、ちゃんと改革してるんだなあと感心しました」

先生は「そうだね。保険は長期的に見れば、人生100年時代に欠かせない ‘セーフティネット’。そこにテクノロジーやヘルスケアが加われば、保険会社は ‘人生のパートナー’ になり得る。単にお金を払うだけじゃない ‘プラスα’ を提供できるかどうかが勝負だろうね。それが保険業界の未来を左右する」と耳をふわり。

私は「すごく面白かった! 次回は確か ‘クレジットカード・決済の進化’ でしたっけ? JCBやVISA、MasterCardの覇権争いを掘り下げるんですよね。キャッシュレス化が進む中で、また全然違う角度の金融話になりそう」と期待を高める。

「そう、クレジットカードやキャッシュレスは私たちの日常そのもの。金融の仕組みを理解すると、もっと便利に活用できるかもしれない。保険の世界と同じく、意外と深いよ」と先生は微笑んだ。

用語解説で復習です!

用語解説

  1. インシュアテック(InsurTech)
    保険(Insurance)とテクノロジー(Technology)を掛け合わせた造語。AIやIoT、ブロックチェーンなどを使い、保険加入や保険金支払い、リスク評価を革新する動き。

  2. ヘルステック(HealthTech)
    医療・健康分野×テクノロジーの総称。保険会社が健康管理アプリと連動して、加入者の健康データを取り込み、保険料を可変にする取り組みなどが代表例。

  3. 予定利率
    保険会社が保険料を設定する際に前提とする利回り。将来の運用利益を見込み、これを上回ると会社は儲かるが、下回ると逆ザヤ(損失)が発生する。

  4. 逆ザヤ
    バブル期など高金利時代に契約した保険が、低金利時代に入っても支払い利率を維持しなければならず、保険会社の収益を圧迫する現象。

  5. M&A
    企業の合併・買収。保険会社の場合、海外の保険会社を買収して現地市場に参入するケースが多い。第一生命や明治安田などがアメリカやアジアでのM&Aを積極化。

  6. 健康増進型保険
    被保険者が運動や食事管理を行い、健康データを保険会社に提供すると、保険料が下がったり特典がもらえたりする商品。AIやアプリ連携で管理する仕組みが注目されている。

  7. 長期安定運用
    保険会社は契約者に長期間にわたって保証を提供するので、集めた保険料を比較的安全性の高い資産(国債など)で運用する。ただ低金利になると運用が厳しくなる。


次回予告

次回の第7話では、「クレジットカード・決済の進化—JCB・VISA・MasterCardの覇権争い」を取り上げます。
キャッシュレスが加速する中、クレジットカードはもはや当たり前の支払手段。そして近年はVISAやMasterCardなどの国際ブランドだけでなく、スマホ決済やQRコード、BNPL(Buy Now Pay Later)など新たなプレイヤーが乱立。JCBは日本発の国際ブランドとしてどう戦うのか? ポイント経済圏や生体認証決済、ブロックチェーン決済などの未来も見逃せません。

「銀行や保険とは違う ‘決済’ の世界が広がるわけですね。私もキャッシュレス派だから興味津々!」と私は胸を弾ませる。先生は「そうさ。‘お金の流れ’という観点で見ると、決済は欠かせない。次回はさらに日常に近い話だからワクワクするよ」と耳をふわりと動かして微笑む。

それでは、保険業界編はここまで。皆さんもご自身の保険を見直してみると、新しい商品やデジタルサービスの発見があるかもしれません。次回はクレジットカードの世界を覗いてみましょう。お楽しみに!


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