勿忘草
雨音が私の心に同情した。
太陽は眠りにつき、
月や星も今日は
毛布のような雲にくるまって寝ている
ふと足元を見れば
水溜まり が 夜の闇に覆われ、
いつものように 鏡の中の私はいない。
何だか本当に1人な気がして
心が ぎゅっと痛い。
もし、私がこの世界から居なくなったら
誰か覚えてくれているのだろうか
誰かの記憶の中に
私の居場所はあるのだろうか
そんなことを想って自分の価値を問う。
私のことは忘れられていても
別に構わない。
でも私はどんな人も
忘れないようにするから
貴方にとって大切な人たちを
忘れないで欲しい。
あの時 嫌いになった あの子も
大好きでたまらなかったあの人も
月へ旅立った 愛する存在も
花畑で 絵画を描く彼女も
忘れたくない。
ずっと忘れない。
あの有名な昔話 は
いつだって主人公が居て
その人に着眼点を置く。
でもその背景に 色んな人と出会って
私達が知らない物語が 山ほどある。
私達が知らない人達が山ほど居る。
時代に忘れられていても
誰かにとって大切だった存在は
その人の心の中に生きている 。
誰かの心の中に
愛おしい誰かが居る。
大切にするから、 君の事忘れないから
貴方も誰かのことを忘れないで。
私はよく過去を思い出す。
それは今に何かが足りないからで。
自分の歩んだ軌跡を見ては
後悔をする。
あの時 誰かの手を離さなければ
あの時 もっと人との繋がりを
大切にしていれば…
幾ら過去を想っても戻る術は無い。
ではせめて、大切にしたい。
想い出だけでも
私はきっと生きていける。
全ての人が 大切な存在を
いつまでも忘れないように。
たとえ、大切だった人達の記憶に
私が居なくても 。
貴方達が、いつまでも温かい気持ちで
他の誰かを想っていたら
私はそれだけで充分だ。
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