金木犀

簡単な重みの欠けた言葉が飛び交う世。人は憂いすら感じられない。そんな寂しい世の性。大学生の私が今、想うことを綴ります。寂しい想いが意味を持つように、誰かの心が温かくなるように。そんな作品を届けます。

金木犀

簡単な重みの欠けた言葉が飛び交う世。人は憂いすら感じられない。そんな寂しい世の性。大学生の私が今、想うことを綴ります。寂しい想いが意味を持つように、誰かの心が温かくなるように。そんな作品を届けます。

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ハリネズミ

「君は優しすぎて怖いよ」 そう人から贈られた言葉のギフト。 誰かの目に私が優しい人であると 映っているのはすごく嬉しくて 優しい人になりたい私にとっては 最高のギフトだ。 でも、その言葉を貰うたび、 自分の心が痛くて辛い。 私はそんな優しくないんだよ。 人に優しくするのは当たり前で 自己を犠牲にするのと表裏一体 心の痛みや哀しさが 今も心の中で生きているから 人の痛みを知っているから 分かるから 人に優しくする。 「ありがとう」と言われる度、 自分が生きているん

    • 言葉の心(うら)

      伝えることは難解である 言葉は時に独り歩きする  唄咏いが生み出した甘美な魔物は 時に人の心を魅了し、翻弄させる  芸術家と受け取り手の間には人の数だけ感性の数があり、感性と感性が爆発を起こす。 美しくて、少し儚い。 時に乱暴で 時に醜い。  言葉に足が生えてちょこまかと人の心を擽る 良くも悪くも言葉には柔らかいフックがあって 引っかかったり 刺さったりする。 人を救うヒーローがダークヒーローと呼ばれてしまうそんな悲惨なことだってある。 伝わらないことのもどかしさ。

      • 愛を知る

        愛情には2つの分かれ道がある これから誰かの日常も尊ぶ程にその人を大切に想う愛情。 それから、異常なまでに相手に縋り付き、自分を愛してくれる人で自分の寂しさを埋めようとする歪んだ哀情。 後者を私達は依存 と呼ぶ。 愛は人という存在を形づくる基盤のひとつだ。 幼少期の豊かで素直な愛情は 人格形成に大きく影響する。 ところで、その愛とは何なのか、 romanceの香りがする恋愛の愛なのか 親が子を子が親を、愛おしく思う無償の愛なのか   愛は 人それぞれで形が変わる。 質量

        • 生きるという儚さ

          夢を見た。 大好きな人達の夢。 今はもう 此処にはいない人達の夢。 やけに 温もりを感じた 5秒前に 会ったみたいに。 そばに居る気がした。 彼女は 4年前に 温かい場所に逝った 冬の寒さが 冷たすぎる頃だった。 白い床、 白い壁、微かに 光が差し込む あの場所で 彼女は 生きていた。 私には分かった。 あの瞬間、この人は もうすぐ旅立つということを。 あの場所で 涙を堪えきれなかった。 たった1回しか、 会うことが出来なかった。 最後の ありがとうく

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        ハリネズミ

          優しさという毒

          「優しい人になりましょうね」 小学校や 中学校で先生が説く 道徳 思えば優しいという言葉に 19年間 誑かされてきた気がする。 小学生1年の時 担任の先生から貰った 優しさ1番 賞。 見返りを求めず 人の事を想う。優しさとはそういうものらしい。 人のことを優先し、 誰かを大切に想い する行動で人は笑顔になる その笑顔が愛おしくて 大好きだった。 でも世の中、そう上手く 優しさだけでは生きていけないと知った。 どれだけ 人を想ってしたことでも  その人が望まなけれ

          優しさという毒

          欠けたもの

          夜永の秋。虫の音に、金木犀の甘い魅惑の香り。 夏は去り、心に少しばかり寂しさを感じる日々。 秋の夜永は、人を孤独にする。 何かが欠けていて、心に空虚さが募る。 幸せなはずなのに満たされない。 満たされるのが怖い。幸せになるのが怖い。 このどうしようもない感傷的な感情が何故か愛おしい。 秋はそんな私の憂いを救ってくれる気さえする。 私の感傷的な心が季節の空気に溶け込み、寂しさも切なさも、空虚さでさえ包み込んでくれる。 何故、秋の夜が私達を孤独にするのか___

          欠けたもの

          楽園なんて無かった。

          暗黒の空から滴りゆく雨粒。 手には溢れんばかりの寂しさ。 生暖かく私に降り注いだ雨に少しの優しさと皮肉を感じる。 大粒の雨が地面に零れ落ち、 潤いすぎた地はぬかるみ、やがて私を深く底へ沈める。 漆黒の雲居から朧気な月が私を見下ろす。 「君は今、幸せかい?」 雲にかき消されそうな眩い光の粒が 同情しているようだった。 「この世界の人間はね、真面目で優しい人ほど、苦しい。 優しい人は誰よりも我慢する、自分の羽をむしって 飛べなくなってもまだ笑顔で自分を繕う。

          楽園なんて無かった。

          それでも私は綴る

          生きにくい世の中だ。 そんなことは、私が幼い頃からずっと感じてきた感情で分かりきっている。 昔から心の中で思った言葉達は、文章にしている。 これが私自身を救っている。 声に出しては誰かに伝えられなくて、誰にも言えないこの想いを無かったかのようにただ息をするのは、苦しい。 でも、文章だけは、私の心を見捨てなかった。 どんなに哀しいことが雨のように私に降り注いでも、その感情を綴ることで意味を見出す。生かしてやる。 この感情は無駄じゃない、きっと私を誰よりも大人にして

          それでも私は綴る

          優しさと深い傷

          『君は今すぐにでも     消えてしまいそうなくらい儚いね。』 そんな言葉を人から貰ったことがある。 自分から何かを掴み取ることが 出来ない 愚かな私は 形あるものがすごく嫌いだった。 形あるものはいとも簡単に 容易く崩れて 原型を留めず、  固く強く結んだ糸は 簡単に綻んでゆく。 人だってそう、物だってそう、 思い出だってそう、生命だってそう。 その儚さを愛さなければ 私はきっと生きて行けない。 『君は本当に優しいね、なにかあげようか。』 そんな言葉は要ら

          優しさと深い傷

          儚き詩

          生命の色が儚く滲んでいた。 あの子は、幸せな一生を歩めたのだろうか。 何の変哲もない日常で 当たり前のように 朝が来て、 今日も私は時計と睨み合いっこなんてしながら 自転車を走らせた。 車が絶え間無く、人の営みの中に生きている事を嫌だと思うほど実感するばかりだ。 ふと、視線を下に落とすと そこには小さな体で精一杯生きた 子猫の姿があった。 見るに堪えない。 彼の表情を見ることは出来なかった。 小さな体を救うことも出来なかった私は ただただ彼の来世が 幸せなもので

          勿忘草

          雨音が私の心に同情した。 太陽は眠りにつき、 月や星も今日は 毛布のような雲にくるまって寝ている ふと足元を見れば 水溜まり が 夜の闇に覆われ、 いつものように 鏡の中の私はいない。 何だか本当に1人な気がして 心が ぎゅっと痛い。 もし、私がこの世界から居なくなったら 誰か覚えてくれているのだろうか 誰かの記憶の中に 私の居場所はあるのだろうか そんなことを想って自分の価値を問う。 私のことは忘れられていても 別に構わない。 でも私はどんな人も 忘れな

          藍すべき花

          藍色の空が泣いているようだった。 太陽に照らされても尚、 彼らの表情に笑顔が宿ることは無かった。 あの空に手を伸ばしてみても 私の心が救われる訳でも無い。 綺麗に零れ落ちたあの涙も いつかは消えて飽和する。 形のあるものは形を失うのに どうして 形の無いものは心に残り続けるのだろう そんな姿もない透明な何かが痛い。 痛くて堪らない。 誰かの心の痛みに 寄り添ってあげたいのに 何も出来ないこと。 誰かの寂しさを 分かったつもりになること。 心底、自分が嫌になる。

          藍すべき花

          趣商店街

          18歳最後の1日 行ったことも無い街へ自転車で飛び出した 太陽の光が痛いくらいだった アスファルトに溜まった水溜まりが 無機質な空を映していた。 宙を舞うあの可愛らしい蝶々のサンバも 生ぬるい 風達も なんだか今日はいつもより愛おしく感じた。 知らない街並み、知らない人達、 何処に向かっているのか この先、何があるのか分からない ただ私は 移りゆく景色に心を動かされた。 恵みの雨が降らないあの田んぼは 枯れて 無常観を感じた。 何も無い山の麓で 独り浮いて

          趣商店街

          半透明の私

          哀しみの色を持った言葉達が 煮え切らない感情で 私の心の中をさまよっている。 何処に向かえばいいのか やり場のない言葉達が 救いを求めて 私を苦しめている。 どうしてだろうか 自分の存在を 半透明だ。 と思う日々が ここ最近、続いている。 確かに私は 人間として存在しているのに 私自身は自分の存在を半分しか 認識していない。 誰かの為に尽くしたり 誰かの笑顔の為に動くことが大好きな私は いつの間にか、 私自身の事を後回しにするようになった。 私が 何かを頑張

          半透明の私

          あたらよ。

          目まぐるしく変動する世の中を 私たちはひたすら 毎日生きている。 会えない人に会えない世の中 届けたい人には届かない言葉 あの人の大好きな笑顔が 私の瞳には届かない。 人がとてつもなく 遠く感じる。 まるでこの世界で1人にされているようで。 ただ戻らない何の変哲もないただの日常を 恋しく、愛おしく 想って 窓辺に浮かぶ月をぼんやりと眺めている。 当たり前は簡単に壊れる。 それはそれはとても冷酷な終わり方をする。エンドロールのように優しくない。 7人の

          あたらよ。

          記憶の断片

          イヤホンを外して 外の空気に触れてみると 少し肌寒い風と共に 光に照らされた 子供達の笑い声が木霊して聞こえた。 忘れていた何かが心の中に 温もりを広げたようだった。 社会の声、誰かの干渉を見向きもしない 堂々たる愛らしい笑い声は 世の中の人間に昔々、あったものだった。 いつからだろう。 周りの声を気にして 何かが壊れるのを恐れて 自ら手を伸ばさなくなったのは。 いつからだろう。 偽りの言葉で自分を正当化しだしたのは。 大人になればなるほど、 協調性が 繊

          記憶の断片