傑作。リングや呪怨を超えるホラー作品。映画も神だけど、小説ももちろん怖かったー😱
ほん怖を彷彿とさせる、短い恐怖の連続なんだけど、それは作者がほん怖のファンだかららしい。また、リングのようなホラーとミステリーの融合もあり、呪怨のような感染する怪異もある。しかも、呪怨の方は作中にも出てくるので、ちゃんとしたオマージュになってる。
怖さを際立たせているのは、主人公が心霊現象に懐疑的である点と、実在の小説家や事件が出てくる事で、現実味を帯びている点。フェイクドキュメンタリーとして最高。
もっと残穢のいい所がある。
「お祓いをしたのでこの祟りは解決です」が無い。もちろん、物語の中で神や仏にすがる人は出てくる。しかも、作者が宗教を勉強しているおかげで、ちゃんと具体的に事細かな描写がある。なので「なるほど、こういう理屈で事態は解決かな?」と思いきや、「それでも穢れは残る」という事で、次の祟りへと繋がっていく。
救いが無い。怖すぎる。
残穢の中には、いくつもの怖い話が出てくる。これは、どこかで聞いた事あるような怪談でありながら、それを全部時系列順に繋げ、壮大なひとつの怪異として成立している。
この構成に説得力を持たせている、重要な設定がある。
作中ではハッキリとは書かれていないものの、この残穢という話自体が、聞いたら祟られる怪談だ。
物語の終盤、主人公は体調不良を感じながらも、医学で説明がつくから怪異ではないと解釈する。しかし、読み手としては「いやいやそれ怪異だよ! みんな祟られちゃったよ!」となる。
主人公が一貫して懐疑主義なのが良い。ホラーというと、登場人物達は大体幽霊といった類の存在を受け入れている印象がある。だからオカルトな出来事があっても、まるでそれが普通の事かのように描写される。だから、現実味が無い。
それに対して今作は、主人公は幽霊を信じていないので、淡々と怪談を描写する。自分の身に降り掛かっている事すら、怪異と思っていない。しかし、読者はホラー好きだし、小説には恐怖を求めているから、「あなたの体調不良は触穢によるものだよ!」と言いたくなる。
読者が勝手に恐怖を想像してしまう表現が、とても素敵だなと思った。面白い。
この小説を読んだ者は呪われる。とてもよく出来た話だ。