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ニュースでは分からない! オーバーツーリズムについて

紅葉シーズンが終わりを迎えても、国内外から観光客が押し寄せている京都。11月、そんな京都の飲食店に掲示された一枚の貼り紙が、SNSで大きな話題となった。

英語と中国語で「満席です」と記された下に、日本語で「この日本語が読める方はご入店くださいませ」と書かれたこの貼り紙。「令和版・一見さんお断り」や「京都人らしい嫌味」とからかう声が上がる一方、観光客対応に追われる飲食店で働く人からは理解を示す声も聞かれた。

京都「この日本語が読める方はご入店ください」飲食店の貼り紙が物議…使用言語による“差別”は法的に許容される?

 私は、この貼り紙をする心情に共感します。私は観光地の蕎麦屋で仕事をしていたので、外国人観光客が増えれば増えるほど治安が悪化すると、データより実感として知っていました。
 外国人を否定するつもりはありませんが、文化や価値観などの相違によって、治安が悪化してしまうのは事実です。
 今日はそのことについて、データも踏まえて解説していきたいと思います。

 昨今、日本各地でオーバーツーリズムに悩まされています。これは日本語で「観光公害」と言い、国際的な社会問題となっています。
 ワイドショーでは、この問題における日本のことばかりが取り上げられていますが、ヨーロッパ辺りでもオーバーツーリズムが問題になっています。

「私たちは観光客に侵略されている。もはや手に負えない状況だ」。5万人を超えた7月の抗議デモに参加したスペイン・マヨルカ島パルマ在住のカミラ・グスマン(32)は、物価が上がりすぎて「もうここでは生きていけない」と話した。

「外に出たくもない」欧州の観光公害はもう限界オーバーツーリズムに地元民ブチ切れ

 外国人観光客向けの商売が観光地で盛んに行われる影響で、現地住民が買いにくい価格にまで高騰する。この現象は、日本でも起きています。
 有名なのは、2024年の流行語にも選ばれた「インバウン丼」です。

歴史的な円安水準が続く日本は、インバウンド(訪日客)からみれば「バーゲンセール」(40代の男性米国人)の状態だ。中でも飲食店のメニューは、購買力が高まる訪日客に合わせた価格設定が相次ぎ、日本人にはとても手が出せない水準に。

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 物価だけでなく、地価も高騰します。
 日本人でもそうですが、海外旅行に行けるのはお金に余裕のある人。「せっかく来たのだから」と、高価なものでも購入してくれます。
 消費財だけでなく、土地や建物も、外国人が購入しています。

 例えば、東京には億ションが建ち並んでいますが、中国の富裕層が別荘として買っている場合も多いです。

日本の不動産は欧米のように非居住者の取得制限がないので、日本に来なくても買えてしまいます。また、最近は円安の影響もあって、一説には上海のマンション1室を売れば、東京でビル1棟買えるとか。

投機目的の購入だけでなく、 最初は賃貸に出しておいて仕事を引退して時間ができたら、東京の別荘にしたい。こんなお客様もいらっしゃいました。
(中略)
日本の不動産購入のセミナーが、中国で開かれたりもするようです。

「外国人が買いすぎた東京」で更に価格上がる地域

 日本にたくさんお金を落としてくれることは、良いことのように思えます。しかし、地域住民を苦しめている事例も忘れてはいけません。
 宿泊客が増加した分、需要の高まりに応じて宿泊料金は上がります。
 出稼ぎに来た人は賃貸に住みますが、そういった外国人が増えると家賃も上がります。そうすると、元々そこで暮らす人の家計を苦しめることとなり、場合によっては追い出されます。
 日本人が追い出され、外国人が住んでいる。おかしいと思いませんか?

 昨今、「民泊」が日本でも解禁され、外国人観光客向けに部屋を貸す人が増えました。その影響で、近所に住む一般人にまで、迷惑が及ぶようになったのです。

大きな問題となったのが、一般の住宅に旅行者を宿泊させる「民泊」でした。

近隣住民 吉田瞳さん
「場所が分からないんでしょうね、民泊の場所が。夜の11時、12時近くに突然ピンポンって鳴って、夜中で知らない人が何人も家の前にいるので怖くて開けなかった」

ルールを守らない一部の観光客が市民生活を脅かし、京都市が厳しく民泊を規制する事態になりました。

どうする“集まりすぎる”客 観光地とオーバーツーリズム

 民泊のみならず、日本に住みたいという外国人の需要もあります。そういった様々な原因により、家賃が上がっています。所によっては倍額になり、地域住民が引っ越さなければならない自体に陥っているのです。
 本来は日本人が住んでいた場所が、外国人に取られている現状。これは、日本の存続に関わるのではないでしょうか?

最近、東京では観光客の増加でビジネスホテルの宿泊費が1~2万円と高止まりしているのが問題になっているが、バルセロナ市の状況はさらに深刻だ。観光客向けに収益性の高い民泊や短期レンタルが増えたことで、 「市民向けの賃貸住宅」 が減り、深刻な住宅不足が起きている。観光客向け物件の増加で住宅市場がゆがみ、すでに市民生活に大きな影響を及ぼしている。過去10年で市内は

・賃貸価格:68%増
・住宅購入費:38%増 となった。

特に若い世代への負担が大きく、国家統計局(INE)のデータでは、住宅総数約81万戸のうち約8万戸が空き家になっている一方で、適正価格の賃貸住宅は年々アクセスが難しくなっている。

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 なぜ、このような自体になってしまったのか?
 それは、円安だからです。

外国人旅行客が増えたのは、円安のためだ。

来日外国人旅行客数は、2007年から12年までは年間800万人台だったが、2013年に急増して1000万人を超え、2019年には3188万人となった。

これは、日本の観光地の価値が急に高まったためではない。外国人にとって日本での旅行や買い物が安くなったために起きたのだ。それは、2013年に大規模金融緩和が導入されて、円安が進んだから生じた。

超円安で激増する観光公害の悪夢~外国人観光客の洪水に押しつぶされ日本人の生活はどうなってしまうのか

 日本は、外国人観光客からすれば、どこもかしこも常に半額セール。各国の富裕層がなだれ込み、別荘を買ったり、移住までする人もいます。
 そんな外人は、過去最多を記録。

日本政府観光局(JNTO)によると、2024年8月の訪日外国人旅行者数(推計値)は2019年比16.4%増の293万3000人だった。3月以降、300万人超の推移が続いていたが、8月は300万人には及ばなかった。しかし、7カ月連続で過去最高を記録。2023年比では36.0%増(2023年8月の実数は215万7190人)だった。

地域別では、中国が74万5800人(2019年比25.5%減)で最多。次いで、韓国が61万2100人(98.3%増)、台湾が56万4300人(同34.3%増)、香港が24万6600人(同29.6%増)、米国が17万4000人(同47.7%増)と続いた。

【図解】訪日外国人数、2024年8月は293万人、7カ月連続で過去最多に -日本政府観光局(速報)

 観光地周辺にいる住民の許容範囲を超え、実害が出ています。
 有名なのが、京都の「舞妓パパラッチ」です。
 外国人観光客からすれば、舞妓さんは日本を象徴する人物で、観光に来たからにはカメラに収めたい存在。舞妓さんに許可を撮っているならまだしも、盗撮されることが多々あるそう。
 撮られるのを拒んで逃げたら追いかけられ、人によっては裾や帯を掴んで強引な手段に出る人もいます。
 舞妓さんが着ている着物は何百万もします。外人に着物を掴まれて破られたり傷つけられたら、数百万の被害が出る。しかし、走って逃げられたら、着物姿じゃ追いかけられない。
 この着物代は、誰が負担するんでしょうか?

日が落ちる頃、舞妓さんたちはそれぞれ呼ばれたお座敷へと向かう。よく見てみると舞妓さんや芸妓さんの名札がかけられた屋形の前に、カメラやスマホを持った外国人観光客が人だかりをつくっている。どうやらここから舞妓さんが「出動」することがわかって待ち受けているらしい。

また通りを見ていると、10センチ以上もの高さになるおこぼ(下駄の一種)を履いた舞妓さんが駆け抜けるように歩いていくのを(忙しい彼女たちはとにかく歩くのが速い)、24時間テレビのマラソン中継さながらに並走しながら動画を撮影している観光客も1人や2人ではない。

そしてタクシーが止まるたびに、今度こそは舞妓さんが乗り降りするのではないかと期待した観光客が集まってきてタクシーを囲み、バシャバシャとシャッターを切る。

花街とはそもそもどのような場所であったかを知っている人間からすると、あぜんとするような光景である。こんなふうに舞妓さんを執拗に追いかける観光客たちの様子を見た誰かがこう言ったらしい。

「まるでパパラッチじゃないか」

京都市民が嘆く「舞妓パパラッチ」の悪行三昧
観光客は舞妓にとって「危険な存在」でもある

 日本の治安を悪化させているだけでなく、景観を汚しているのです。
 有名なのが、「富士山ローソン」です。ローソン付近に座り込んだり、ゴミを散らかして街を汚す様子は、ワイドショーでも取り上げられて有名になりました。

 「金持ちの外人がいっぱいお金落としてくれるなら良いね」だけで済ましてはいけない問題になっているのです。

記者
「赤信号ですが平気で渡っています」
「道路に寝そべって食事をとっています。そしてコンビニエンスストアの駐車場の縁石にも、ずらーっと人が座り込んで食事をとっています」

“富士山ローソン” マナー違反・迷惑行為で 黒幕→茶幕→今度は“新柵”設置へ 山梨・富士河口湖町

 この問題に、どう対処すればいいか。対策の1つとして考えられるのは、「デモなどの抗議活動」をする。
 これは、日本同様オーバーツーリズムに苦悩する、ヨーロッパが取った手段です。

デモ参加者は6日、「観光客は帰れ」と叫びながら市内の主要観光スポットをデモ行進。観光客に水鉄砲を向けたり、「バルセロナは売り物じゃない」と書かれた横断幕を掲げたりする参加者もいた。

今回のデモには数千人が参加した。スペインではカナリア諸島やマヨルカ島でも、生活費の上昇や生活の質の低下を嘆く地元住民が同様の抗議デモを展開していた。

観光客に水鉄砲も バルセロナ住民、オーバーツーリズムに抗議デモ

 もしくは、外国人でも高価に思うほど値段を釣り上げ、日本人だけ安価に設定する。

 他にも「マナーの啓蒙」などありますが、奈良に集まる外国人を見ると、意味があるとは思えません。

 なので、入国税などで日本に入る人を制限をするなどの、強制力ある対策が求められています。
 今のままでは、治安の悪い移民大国になりかねません。
 そのような事態を防ぐ為、オーバーツーリズムについて詳しく学びたい方は、こちらの本がオススメです。

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