読書紹介26 「ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人」
感想
ストーリーや謎解き内容は、これまでの作品に比べると分かりやすく、大どんでん返しもなく淡々と終わった感じでした。
しかし、コロナ禍の世相や様々な変化を物語の中にちりばめ、物語の展開のカギとしているところは、流石だなあと思いました。
現在は、コロナ禍の初期の頃を思えば、かなり落ち着いてきましたが、当時は、緊急事態宣言、不要不急の外出をやめる、三密を避ける、在宅勤務等、生活だけではなく、仕事の在り方にも大きな変化、影響がありました。
このような変化を物語中に入れ込みながらミステリーに仕上げていく・・・物書きのプロって、こういうことなんだと読みながら感心してばかりいました。
今回は、「マスカレード」シリーズの「新田浩介」や「ガリレオ」シリーズの「湯川学」のような、新しいキャラクターの登場を予感させる話でもありました。
それは手品師の「神尾武史」です。
話の中で、マジシャンテクニックが随所に披露されていました。
一方の手で注目を集めつつ、もう一方の手で別の行動を起こす(例えば、スマホをポケットから抜き取るなど。抜き取られた人は、気付いていない・・・)
万人に共通することをもとにした話題を振っておいて、相手にしゃべらせることで、実は知らなかった事実を、本人の口から話させるテクニック等々。
続編も出るのかなあ・・・今後が楽しみです。
皆様の心にのこる一言・学びがあれば幸いです