読書紹介19「慈雨」
感想
少女誘拐事件の解決を含んだミステリーともいえるし、主人公の懺悔録(ざんげろく)とも読めます。
はたまた、家族の葛藤を描いた内容ともいるし、あるいは、夫婦の再生(再スタート)の物語ともとれます。
とにかく、さまざまな要素が絡んだ話でした。
そして、最終的に、どの内容もはっきりした結末は示されていません。
ただ、「雨」のイメージとあいまって、暗い、悲しい、寂しい、切ない感じが常におおっている話でした。
しかし「慈雨」と言うタイトルの通り、その中で温かさや明るさ、希望も感じる終わり方でした。
そこに、読み終わった後も、窓から外を見ながら、何か胸に広がる「これでよかったのかな・・・」という肯定とも否定ともいえない、納得した気持ちがいつまでも広がっていきました。
人間の関する次の言葉も印象に残りました。
「神様」がいるのかどうかは分かりません。
一つ言えることは、自分がしたことは神様以外で、「自分自身」が必ず見ている、知っているということです。
みんな、人には言わないだけで、それぞれに胸にしまってある出来事や感情があります。
誰か一人でも、聞いていくれる人がいたら、受け止めてくれる人がいたら、救われる気持ちもたくさんあるだろうなあと考えさせられました。
皆様の心にのこる一言・学びがあれば幸いです
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