ニュースに接する中で~印象操作に気を付けて・数字のマジック(平均値の落とし穴)~
テストの点数、寿命、株価、物価、年齢・・・よく統計などで、「平均」が使われます。平均は、数の集合やデータの「中間的な値」をさしたものです。
小学校の高学年で、平均値の出し方を学習します。
平均=合計(数字の合計)÷個数(データの個数)
になります。
よって、すべてのデータが反映される値となります。
そして、データ全体としての変化を追いやすいという良さがあります。
例えば、日経平均株価によって、日々の株価全体の変動や全体の特徴を「一目で」、パッと把握できます。
例えば、平均寿命によって、多くの人の寿命の傾向が分かり、自分の位置(平均寿命で考えると、あと〇年ぐらいの寿命・・・)の、目安になります。
この分かりやすさ、全体の傾向、全体の変化が見やすいということもあって、よくニュースで統計資料(平均値)が使われます。
しかし、注意も必要になります。
最近、2023年の2人以上世帯の平均貯蓄額が「1904万円」で5年連続過去最高になったというデータが出されました。
こんなデータを聞く(見る)と、「みんな、お金があるなあ、もっているんだなあ」と思ってしまいますが、しかし、これは「平均」です。
立ち止まって考える必要があります。
例えば、次の4人の年収の平均を出してみます。
Aさん 100万円
Bさん 200万円
Cさん 300万円
Dさん 1400万円
合計が2000万円。個体数が4人。
なので、2000万÷4=500万
平均年収は500万となりますが、この平均を超えている人は1人だけ。
そして、平均以下の人は、個多数のほぼ全員である3人となります。
また、平均値の500万円の所に該当する人はいないという結果になります。
このように、
平均値のあたりに「人が多くいる」と思い込みやすいですが、中身をよく見ないと、本当のところは分かりません。
実際、今回の貯蓄のデータに関しても、100万円以下の人が多数います。そして、この平均額以下の人は67,4%。ほぼ7割の人が占めます。
ただ、平均額以上の人も増えているので、平均すると、貯蓄額が過去最高になったという結果になりましたが、このように、データの中身を見ると、ある意味、貯蓄が少ない人と多い人の2極化が進んでいることが分かります。
また、平均寿命も同じです。
当然ですが、平均寿命より早く亡くなる人もいますし、100歳を超えて生きられる方もいます。
「あと〇年の寿命か」と目安となり、自分の生き方の参考にすることはできますが、特に命に関わることは「明日死ぬかもよ?」の世界です。
本来は、いつ寿命が来ても後悔のないように生きることが大切になります。
平均値が自分にも当てはまるかどうかはわかりません。
同じように、健康や教育に関するデータの活用方法にも注意が必要になります。
とくに、〇%に効果があったという形で、主張の根拠として示されることがあります。
しかし、あくまでそれは「平均」の話です。100人が100人、全員にいい効果があったわけではなく、ある程度の人に効果があったということになります。なので、ひょっとしたら、100人中10人には効果がなかった、逆に副作用があったとして、その10人に自分が入っているかもしれません。
教育の場合も同じです。効果がある「勉強法」「指導法」がデータとして出されるときがあります。でも、それぞれに個性があるので、その人に合った方法は、一人ずつ違います。
例えば、「マンツーマン」で勉強を見てもらうことは、集中でき、すぐに質問ができと効果がありあそうです(実際、平均すると効果はあるのです)が、人によっては、人間関係づくりが苦手で、一人で黙々と取り組んだ方が進むという人だっています。あるいは、マンツーマンでどんな「先生」になるか、例えば、親の方が、勉強が進むという人だっています。
このように、「平均」は、分かりやすさがあるので、よくデータとして示されますが、
中身をよく見ないと、印象だけで誤った方向に行っったり、失敗が生まれたりします。
ひょっとしたら、報道する側も、意図的に(良さのアピール、あるいは、悪くなっていることを大げさに示す)ために、あえて出してきているデータもあるかもしれないので、注意深く見ていくことが必要になると思います。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます
皆様の心にのこる一言・学びがあれば幸いです