感想
正直言って、報道などで見聞きはしていても「自分には関係ない」と思いこもうとしていたこと。実際に、この物語を通じて、貧困や虐待、人権を無視した言動等々、心がしめつけられるような気持にさせられました。
私自身は、望月さんの作品を読むのは2冊目。
とにかく、どちらの本も密度が濃く、内面に響く、いや、えぐるような鋭い言葉、社会を冷徹に見つめる目からつくられたフレーズに圧倒されました。言葉に重みがあるのは、自分が経験したり、これまでの人生の中で葛藤、苦悶し、慟哭や誰にぶつけていいか分からない憤りなどをずっと心の中で練り上げていたからではないか?とも思えました。
社会的な弱者に対して、
スマホで調べられ、職業安定所などで情報も出ているし、自分がわがままを言わなければ仕事はある、今の貧困や状況は自己責任だ。ただ、甘えているだけだ。
という意見がぶつけられる時があります。
しかし、それは、自分の生活が安定しているから言える言葉だと考えさせられました。この本を読んで。
明日、いや、今日の寝る場所や食事の心配をしないでも生活できる人だから「冷静」に言える言葉です。
本当に暮らしに困ると、先々の事を考えるゆとりがなくなくなります。
切羽詰まると、よりよく行動するための知恵もアイデアも、そして実際の行動力も出てきません。
考える力さえなくなります。
そんな中で、今よりもっといい生活や就職などの情報を落ち着いた心で得られるはずもありません。そんな伝手(つて)も失われていきますし。
この物語うを読むと、自分が今持っている物差しで、自分の経験や自分の恵まれた環境で、相手を理解しようとする危うさ、相手の内面を「知ったつもりになる」欺瞞について、胸に迫ってくる感覚がありました。
以下は、心に残った、考えさせられた言葉の数々です。
皆様の心にのこる一言・学びがあれば幸いです