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超克の一路~森先生の運命に対する考え方、魂のシナリオ、黄金の鍵
月1回、地域の読書会に参加しています。
現在は「修身教授録」という、森信三先生が講義された内容がまとめられた本を読んでいます。戦前の大阪天王寺師範学校(現 大阪教育大学)の「修身科」の講義をされた記録がまとめられて、本になったものです。
教育関係者をはじめ、特に経営者によく読まれているようです。それは、
「生き方の原理原則」や「仕事に関わる身の処し方」等が書かれているからです。簡単に言うと「人間学の要諦」がまとめられていて、「リーダー」に必要な素養を学べるからです。
教育哲学者であった森先生自身は、何度も死ぬような目にもあっていますし、億単位の借金を抱え、自殺を考えてあちこちを放浪した時もあるそうです。また、75歳の時に、子供に先立たれ、その後、尼崎で独居自炊の生活もしてみえます。
読書からだけではなく、森先生自身が、ご自身の苦労の人生の中で得た真理をいろいろな場面でも教えてくださっています。
そんな、教えの一旦を紹介します。よかったら、お付き合いください。
今回のテーマは、「超克の一路について」です。
1 運命に対する考え方 2つ
「超克の一路」は、「幻の講話」の第4巻、14講に記されています。
「運命の網に対してどう向き合うか」。
この時、2つの道があると森先生は言います。
一つ目は、「運命として与えられたものは、いかんともしがたいと諦める」
二つ目が、「なぜ、神がその運命を与えたか、主意に沿うにはどうしたらいいかと考えて生きる」
そして、このどちらの道を選択するかで、人間は決まってくる、とも言います。
その結論としては、2つ目(後者)の道を選びなさい、と言っています。
「神は、我々に考える力と知恵と自由意思を与えた・・・、ということは知恵をもって自分の意思で、乗り越えていきなさいよ」ということなのです。
以前、森先生の思想の一つ「最善観」についてまとめました。
簡単に言うと、最善観とは「自分が経験することのすべては、すべて必然であり、最善である。だから、たとえ、辛い、苦しい事でも、その時に起こったベストのことであり、天意と心得べし。」ということです。
特に、
逆境などは、人情としては経験したくない事ですが、ある意味、制約や障害があるからこそ、真剣になれるし、かえって人の潜在的エネルギーを発揮して突破していくことにもつながります。
2 小林正観さんの「魂のシナリオ」との関連
旅行作家であり、心理学博士、教育学博士、社会学博士でもあった小林正観さんは、ご自身の経験や数多くの人の人生相談、事実を積み重ねての検証から、どうやら「人生のシナリオは決まっているらしい」「魂が存在するらしい」という考えに行きついたそうです。
そして、魂に関してこんなことを言っています。
人それぞれの困難をくぐり抜けて生きています。
人には各々の修羅場が人生の中で用意されています。
ちなみに「修羅場」の数は、輪廻転生の数に比例しているらしい。魂が何度も生まれ変わりを繰り返してきて、だいぶレベルが上がってきた、そういう人ほど、「修羅場」の数も増えているという構造になっているようです。
・・・
病気、事故、離婚、倒産・・・・。そのような困難を体験したら、人は以前より、「やさしさ」を身につけるかもしれません。
修羅場をくぐり抜けてきた人たちは、以前よりも「魅力ある人」と思われるようになっていくのかもしれません。
私はただの凡人なので、魂があるのか分かりませんし、別の世界が見えているわけでもありません。
ただ、正観さんの言葉と森先生の言葉から、お金をいかに稼ぐか、出世するか、~するのがいい人生・・・という「この世の価値基準」に合わせる生き方ではなくて、失敗や成功、優劣を超えた「私にしかできない経験」が大切なのではないかと思えました。
そして、それは、一般的には、「逆境」「困難」「辛苦」と言われるような出来事として、経験するみたいです。
そこで、諦めず、自分にとっての意味を考え受け止めていくと、次につながっていくのではないかと思いました。
「私にとって必要な事だった」
「あの経験のおかげで、今の私がある」
3 「黄金の鍵」とは
森先生は、「最善観」「超克の一路」という話の中で、特に困難~いわゆるマイナスな出来事、経験をどう受け止めるといいかについて、話されています。
そして、次のようにも語っています。
真に生きがいのある人生の生き方は、常に自己に与えられているマイナス面をプラス面に転換し反転させて生きるということです。
そして、そんな生き方を指して、「黄金の鍵」と言っています。
また、その鍵に関連して
最初から神がそんなに苦労しなくてもいいからと言って、プラスの面だけ与えるということでしたら、世の中は大した面白みもない。全力をあげて取り組むことによって全く思いもかけなかった新しいプラスの局面が来るのですよ。
とも言っています。
私は、まだまだ、そこまで「悟る」ことはできませんが、それでも、こんな見方、考え方を知っているだけでも、自分の経験、特に「マイナス」と思えることに対して、少しは距離を取りながら、次に生かすというプラスの思いをもちながら受け止めていけるかなあと思っています。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます
皆様の心にのこる一言・学びがあれば幸いです