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ニュースに接する中で⑤~「文末表現」に気を付けて読む・「行間を読む」という読解力が必要。   

 同じ内容(出来事、事実)でも、それを発信する側が何を大事に思うか、何を伝えたいかで、「発信内容」が随分と違ってきます。
 
 例えば、何かの試験を受けて、20位に入ったという事実があったとします。
 前回の試験で、10位だった場合、

「順位が下がってしまった」

という見方ができます。しかし、その内容(点数)を見た時、

「前回よりも、得点は50点も伸びている」

という見方もできます。
 
 自分が、順位か得点かどちらを大切に思うか、注目するかで、同じ出来事、事実でも、その発信内容が変わってきます。
 
 これは、自分のことに限らず、報道などでも、同じことがいえます。
 
 

「中立・公正」な報道とは言われますが、やはり、放送する側の意図によって、情報の扱い方が変わります。

 例えば、大きく扱うか小さく扱うか。
 あるいは優先順位や放送の順番でも、情報を受け取る側の印象が変わってきます。
 
 そこで、

情報を受け取る私たちも、思い込みや決めつけ、与えられた情報を事実のすべてと受け止めない「想像力」も必要になってきます。

 その時に大切になる事がいくつかあります。

一つ目が、「事実か、印象か」の見極めです。

 英語などは、「I (  )~」と、初めに「私は~する」と示してから、どこへとか誰と等の情報が付け足されていく構造になっています。
 しかし、日本語の場合は、最後の文末表現まで読まないと、「断定」なのか「推定」なのかもはっきりしません。
 例えば、「私は、動物園に行く」なのか「動物園に行きたい」なのか。
はたまた、「動物園に行くかもしれない」「動物園にいくだろう」なのか。
 うっかり、文末を読み飛ばすと、事実と大きく変わることも出てきます。
 
 このように、ちょっとした言い回しで、「事実か印象か」を判断しないと、誤った思い込み、決めつけを生んでしまいます。

 ➀Aさんが新しい役職に就くのではないかと注目が集まっています。
 ②Aさんは、最近、自分のデスクやロッカーの整理整頓をした。
 
 この場合、➀は「~ではないか」「注目が集まっている」という印象で、はっきりと新しい役職に就くという事実は示されていません。
 ②は、「整理整頓をした」という事実ではあります。ただ、➀と②をくっつけて読んでしまうと、新しい役職に就くために、身の回りの整頓をして、準備しているのではないかと読めます。しかし、可能性は高いかもしれませんが、「まだ分からないよね」「整理整頓は、たまたまかも」と結論を急がない、ゆとりを残しておく必要があります。 

二つ目に、記号の意味や効果を理解しておく必要があります。

 例えば、「雨」について。
 こんな、記号が付くと、意味がどう変わるでしょか。
 
➀雨。
②雨・・・。
③雨!
④雨!!
⑤雨?
  
➀は、「雨」そのもの。
②は、「・・・」に何か、思いが読み取れます。その思いは前後の文脈によって、さまざまですが、ただ「雨。」と言う場合とは、違ってくることだけは確かです。
③は、「!(感嘆符)」がついています。雨への「驚き」あるいは、「心動かされた」内容を読み取る必要があります。
④の「!!」は、「!」がさらに強まった感じです。
⑤は「?(疑問符)」がついているので、「雨、なのかな?」という、疑問、はっきりしない様子が表現されています。
 
 書かれた文章だけを読むと、思い込みが生まれ、ミスリードされてしまいやすいので、文末の「?」!」にまで、注意して読む必要があります。
 
 私は、ミステリー作品が好きでよく読みます。
 宮部みゆきさんは「理由」という作品の中で

『「マスコミ」という機能を通してしまうと、「本当のこと」は何ひとつ伝わらないということ。伝わるのは「本当らしく見えること」ばかりだ。そして、「本当らしく見えること」は、しばしば全くの「空」のなかから取り出される。』

と書いています。
 

出来事の当事者でなければ分からないことはたくさんあります。でも、マスコミ報道があると、「分かったつもり」になってしまい、自分がもっているフレーム、考え方だけで「理解したつもり」になってしまいます。

もっといえば、マスコミの論調に流されてしまいます。ミステリー作品でよくある「ミスリード」と同じで、ひょっとしたら、「世論操作」「印象操作」されているのかもと、いい意味で疑うこと(全て鵜呑みにしない)ことが必要になります。
 
 そのためにも、読解力、特に行間を読んだり、書かれた内容の背景、裏側に何があったのかを想像したりする力が必要になりそうです。
 
 
ここまで読んでいただき、ありがとうございます
皆様の心にのこる一言・学びがあれば幸いです
 
 

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