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「楽しい(む)」にまつわるエトセトラ~論語の言葉、天岩戸開き、小林正観さん、オードリー・ヘップバーン・子供に学ぶ  

 小林正観さんの「神様に好かれる話」という本の中に、こんな内容が紹介されていました。
 
 30年ほど会社を経営して、会社を大きくし、社員を増やした方がいました。
 その方のお話です。
 60歳過ぎの時に心臓マヒを起こし、いったん死んだ(心臓が止まった)そうです。
 その中で目が覚めるといきなり林を抜けてお花畑に出ました。
 その時、こんな声が聞こえたそうです
 
「あなたの人生についてのまとめを聞くから、考えておきなさい」
 
 その人は30年間で、人の10倍も、20倍も切磋琢磨して、怠けたり、休んだりしないで、働いてきたので、たくさんの事を考え、神様に褒められると思っていたそうです。
 川べりまで行ったら、このように聞かれました、

「あなたは、人生をどれぐらい楽しんできましたか。」

 この方は絶句して答えられなかったそうです。楽しんだ事がなかったそうです。頑張って、誰もが尊敬するようなすごい業績はあげてきましたが、人生を楽しむという考え方はしてきませんでした。
 それから、向こうの人はこう言ったそうです。
 
「あなたは、人生を勘違いしましたね」
 
 そして、「あなたは勘違いしましたね。もう一度やり直しなさい」という声が聞こえた瞬間に目が覚めた、生き返ったそうです。
 
 このお話は、私にとっても衝撃的でした。
 今まで、たくさん勉強して、怠けず、休まず、能力を磨いて・・・と汲々として生きていたからです。そういう価値観で頭がいっぱいだったからです。
 
 もちろん、この人のお話が「真実」かどうかは分かりません。
 ただ、自分が「楽しむ」と言う価値観をもてるようになると、例えば、不運な出来事、嫌だなと思うこと、困難すらも「乗り越える楽しさ」に変換できるかもしれません。いいことばかりで、何でも思い通りに行く「ゲーム」は、すぐに退屈します。同様に、もし、人生を楽しむのであれば、ちょっとしたどん底、困難、難しい問題も楽しむためのスパイスになるのかもしれません。
 そこで、「楽しむ」ことに関連する話を集めてみました。
 よかったらお付きあいください。


1 「天岩戸隠れ(開き)」が示す価値観

日本神話の重要なエピソードの一つに「天岩戸隠れ(開き)」があります。

 簡単に言うと、岩戸の中に引きこもってしまった天照大御神(アマテラス大御神)を、他の神々が策を講じ、出てきてもらうように説得するお話です。
 神々がいろいろと行いますが、アマテラス大御神なかなか外に出てきません。最後には、アメノウズメという女性神がはだか踊りをし、それを見ていた他の神々たちがおおいにウケて大笑い。その笑い声を聞いたアマテラス大御神は、「なんだろう、楽しそうだな」と気になって、岩戸を少し開け、・・・最終的には外に出てくることになりました。

 様々な解釈がありますが、

「楽しそうなことがあると、つい外に出たくなる」
「楽しさには、人を外に出す力がある」
「楽しいほうに人が集まる」

という意味合いもある気がしました。
 
 実際、引きこもりの子どもがいて、困っていた家庭がありました。
 その子のために病院へ行ったり、カウンセリングを受けたり、いろいろと時間をかけ、苦労もされたそうです。何年、何十年と時間が過ぎても改善することはなく、ため息ばかりついている方がいました。
 しかし、ある時、周りの方からのアドバイスもあって、これからは、「自分の人生を生きよう」と決心。
 子供にも、「あなたもいい大人なんだから、食事ぐらいは用意するけど、あとのことは自分で好きにやっていってね」と伝え、これまで、なかなか自分がやりたいと思ってもできなかったこと、趣味などに時間を使うようになりました。
 
 すると、子供の心配ばかりしていた今までとは違う、楽しい時間を過ごせるようになり自然と笑顔も出るし、声も明るくなります。
 そんな雰囲気の変わった家族の様子に影響を受けたのか、今までずっと引きこもっていた子供も、自分から近くのスーパーでアルバイトをするようになり、職安に通うようになり・・・・と、外に出るように変化したそうです。
 
 もちろん、このお話は個別の事例ですので、すべての事に当てはまることではないと思います。ただ、「楽しい(む)」ことの影響力、天岩戸の話との共通点を面白く思って紹介しました。

2 「論語」にある孔子の言葉

 こんな言葉が語られています。

之を知る者はこれを好む者に如かず。
之を好む者はこれを楽しむ者に如かず。

 私流に訳するとこうなります。
 
物事を知っているだけの人は、それを好んでやっている人にはかなわない。
好んでやっているだけの人は、それをワクワク楽しんでやっている人にはかなわない。

 
 わくわく楽しむためにも、コツがありそうです。
 例えば、仕事や課題などで締め切りに追われたり、「~しなけらばいけない」という周りから無理強いさせられたりすると、「楽しい」気持ちにはなりません。そして、モチベーションも上がらず、あまり身に付いたり、成果が上がったりしません。

 しかし、同じ内容であっても自分から、自分の意思で取り組み始めると、気持ちが前向きになります。そして、身に付きやすいです。
 そして、

楽しんでいる境地では、「努力」が苦にならないので(本人としては努力とすら感じていないことの方が多いですが)、ますます、熱心に取り組めますし、極められます。

 「知る」ことは、ただ、頭の中に入れて「認識している」段階です。
 「好む」ことは、相手(内容)に「関心を寄せている」段階です。
 脳科学的にも、関心を寄せる(意識を向ける)ことで、その内容に関する情報が集まってきやすく(情報を選択して、優先的に頭に入れやすく)なります。
 「楽しむ」ことは、自分が直接かかわること、「一体感を感じる」ことともいえます。自分が丸ごと関わって経験していくことで、学びも最大化しやすくなります。そのおかげで、身に付きやすく、外からの強制、努力しているという思いを脱して、自分から前向きに取り組んでいける状態になります。
 
 「楽しい(む)」というと、「楽をする」というイメージがあるためか、まだまだ否定されやすい土壌があります。
 しかし、パリオリンピックでも

「最後、思い切り楽しみました」
「自分の持っている力をすべて出し切りました」
「楽しんでやろうと思いました~」

とコメントする選手たちの笑顔は清々しく、そして、結果も出ている人が多かった気がします。
 
 楽しんでいるからと言って、練習をいい加減にしたり、「努力」をしなかったりではありません。むしろ、一般人からするととてもマネできないような、練習量を積んでいたりします。ただ、選手たち自身がそれを「当たり前のように」「楽しんで」こなしているからこそ、あのさわやかさ、清々しさが漂っているのかなとも思いました

3 オードリー・ヘップバーンの言葉

 後世はユニセフでの活動に人生をささげた「ローマの休日」「ティファニーで朝食を」などでも有名な大女優のオードリー・ヘップバーンは

「最も大事なことは、人生を楽しむこと、幸せを感じる事、それが全てです」

と言ったそうです。
 前文で書いた小林正観さんのエピソード~あの世へ行くと「あなたは、人生をどれぐらい楽しんできましたか」と問われる~と共通している気がして、おもしろく思いました。

楽しさや幸せは、自分の「主観」に関わってきます。

 同じことでも、楽しさを感じる人もいれば、つまらないと思う人がいます。
 「人生がつまらない」と思うということは、自分自身が「つまらなくしている」とも言い換えられます。

楽しさや幸せを感じる「感性」を磨くことも必要になってきそうです。

4 「今、ここ」を遊ぶ子供に学ぶ

 子供は、「今・ここ」を生きる天才です。
 縄一つあればすぐに縄跳びを始めます。
 ボールがあれば、ドリブルしたり、周りに仲間がいればキャッチボールをしたり。
 正式な人数に関係なく、草野球や草サッカーをしたり。そこでは「透明人間」をつくったりして、ルールを工夫しながら、今の遊びを楽しんでいます。
 遊び道具が無くても、指やら手遊び、中には楽しく歌い始める子だっています。そして、楽しさの中で、あふれんばかりの笑顔を見せます。
 
 子供たちは、何が正しいかと考えるよりも、今できる、楽しいと思えることをどんどんとやっていきます。そして、飽きたらすぐにやめて次の楽しそうなことを始めます。「がんばって」「努力して」遊んでいる子はいません。
 大人になると、それをして、どんないいことがあるのか、時間の無駄じゃないかなど、損得を「頭」で先に考えて、行動できず、気持ちを落としてしまう、負のスパイラルに入りやすい面があります。あるいは、楽しそうに遊んでいる姿を見ると、将来の心配を先取りして、「そんなことより~しなければ」という、今を犠牲にする生き方を優先しがちになります。
 
 もちろん、それが必要な面もありますが、いつでも「正しさ」「MUST」ばかりを優先すると、息苦しくなってきます。

何より、意欲などの気持ちのエネルギーがしぼんでしまいます。

 人にもよりますが、とくに「がんばりすぎる」「ストイックな」「真面目に取り組みすぎる」生き方をしやすい人は、子供達から学ぶ、一緒に遊ぶことをすると新しい発見があるかもしれません。

5 「楽しい(む)」に関わるキーワード。

 楽しい(む)と言った時、どんなことをしているのか、どういう状態になっているのか・・・ということで、関連するキーワードを集めてみました。 

軽い、明るい、緩ます(ゆるす)、腹の底からの笑い、わくわくする、やわらかさ、いやし、おもしろい、行きたくなる、自由、安らぎ、平和、平安・・・

 あまりにストイックで、「かたい」人生の中で、行き詰ってきた時は、

特に「軽い」「わくわく」「ゆるませる」をイメージする、そう感じる方向を選ぶと、人生が上手く回る、流れ出すようです。


 よかったら、試してみてください。
 
ここまで読んでいただき、ありがとうございます
皆様の心にのこる一言・学びがあれば幸いです 

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