採用面接で愛読書を訊くことは、不適切なのか? #ニュースからの学び
① 採用面接で、愛読書を訊いてもいいと思う!
私は、愛読書が何かを、企業が知りたいならば、訊いてもいいことだと思います。
そして、なぜ訊いてもいいと、私が考えているのかを、最高裁判所の判例を用いて、簡単に説明していきます。
以下に、記事の内容を一部引用します。
リンクも貼っておりますので、参照してください。
② 私企業は設立・経営の段階で、個人の思想が絡んでいる!
私が気になったのは、次の文言です。
企業側にも、人材を選ぶ自由があるはず。
私企業である場合、特に、個人の意思により設立、経営されているはずで、そこに企業側の思想や心情があっても、個人の自由とされるべきなのでは?
愛読書を通して、企業の思想や、心情、理念に沿っているかどうか確認することに、何の問題があるのでしょうか…。
これが、もし、公企業(公務員)の採用試験であれば、違法性、違憲性を感じます。
国家によって、個人の、『思想・良心の自由』や『信教の自由』が、不採用という形を伴って制限されるわけですから。
公務員の採用試験において、わざわざ、質問する内容ではないかな…と感じます。
③ なぜ、愛読書に関する質問をしてもよいのか?根拠となる判例は、『三菱樹脂事件』!
企業による、思想・良心の自由にもとづく採用拒否に関する判例として、『三菱樹脂事件』が挙げられます。
原告(Aさん)が、学生運動に参加していたにもかかわらず、採用試験において虚偽の回答をしおり、これらを理由に、会社が、Aさんの本採用を拒否して解雇しました。
Aさんの主訴は… 採用試験において、候補者の思想を調査し、その思想を理由に本採用を拒否することは、憲法に保障された「思想・良心の自由」を侵害している!
Aさんの主訴は、今回、私が取り上げた『採用面接で、愛読書を訊くことは不適切か?』というニュースと、本質的に似ていませんか?
この『三菱樹脂事件』の裁判の結果は、Aさんの敗訴になっています。
敗訴の理由は、憲法は『国家 対 私人(個人)』に、適用されるものであり、『私人(Aさん) 対 私人(企業)』に適用はしない。というもので、判決理由が、少し話題とズレてしまうのが悲しいのですが…、
※憲法は、そもそも、国家権力を制限し、国民を守るものです。いち企業は、国家権力ではありませんから。
しかし、最高裁判所は、労働法にもとづいた見解も発表してくれています。
1 企業が特定の思想を理由として、採用を拒否しても、違法性はない。
2 企業が採用時に、応募者の思想や信条を調査したり、申告したりさせても、法律上、問題ない。
この判例によると、『愛読書の質問に違法性はない!』と言えると思うのですが、いかがでしょう。
1970年代の判例のため、やや古く、時代に合わせなければならない部分もあるのかもしれませんが…。
それにしても、いったい、何の法律を持って、愛読書の質問を禁止とするのか気になります。
④ 人に投げかける言葉、ひとつ、ひとつを、見つめ直すことは大切なこと!
今回、採用面接で愛読書を訊くことは、不適切な質問なのか?という話題を取り上げました。
私は、質問してもいい派です。
しかし、今回の話題のように、人に投げかける言葉をひとつ、ひとつ、吟味して、精査して、「本当にいいの?」と問い直す作業は、すごく価値があると思っています。
こんなこと気にしていたら、「好きに喋ることができなくなる!」とおっしゃる方もおられるかもしれません。
でも、私は、よくよく考えた上でも、好きに喋ることはできると思うし、この話題のおかげで、こうやって好きに喋る(書く)ことができています。
ひとつ、ひとつを問い直して。
そして、白黒ハッキリつけることを急がず。
誰が良い悪いを決めつけず。
グレーを大切にできる社会は、意外とゆとりある社会かもしれません。
読んでくださった方、ありがとうございました!
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