小江戸川越蔵造りの町並みと電線地中化
埼玉県川越市に小江戸川越蔵造りの町並みがあります。
これは江戸時代に出来た蔵を商店街として利用したものです。
電信柱が1本も無い。
実は蔵造りの町並みは
電線地中化の最先端のモデル地区なのですね。
電信柱があると、蔵造りの町並みが持つ「江戸情緒」が損なわれます。
時代劇映画でも電信柱は加工して消してましたね。
この蔵造りの町並みと電信柱が無い光景が小江戸川越と呼ばれると言っても過言ではありません。
私が建設コンサルタントに在職中は、東京都も電信柱が邪魔になるということで、電線地中化に乗り出しました。
「電線共同溝」という構造物を地下に埋設する工事です。
では何故最初から地中化しなかったかというと、電信柱は簡単に安く施工でき、当時は地中化するという考えも無かったのですね。
「電線共同溝」を設置するには地上施工より何十倍もの経費がかかります。
それは国民の税金で賄う訳なので、国民の理解を得られるのは困難なことですね。
電信柱がない歩道は車椅子が通行しやすいという利点があるので、障がい者に優しい設備なのですが、金がかかり過ぎるということで、その後は減少傾向にあったと思います。
東京都の電線地中化について、現在、都市防災機能の強化、安全で快適な歩行空間の確保、良好な都市景観の創出を図るため、電線共同溝等の整備により、電線を地中化し無電柱化を進めて入るとのことです。
如何に早くから電線の地中化に乗り出した、小江戸川越蔵造りの町並みの先見性が素晴らしいかということが解りますね。
ちなみに、「電線共同溝」は
電線が昔のメタルケーブルでは無理で、近年の光ケーブルになってから可能となった構造物です。
メタルケーブルは昔の設備で
直径7cm程度のケーブルにコイル芯を100本程度しか収容出来ませんでした。
電話交換手が活躍した時代ですね。
一方、光ケーブルは、直径3〜4cmのケーブルにグラスファイバー極細芯を1000〜2000本収容できます。
すなわち、1本のケーブルで2000家屋の電話を供給出来ます。
私は土木屋なのでここまでしか解りかねますが、どうやら「多重通信」というのが存在する様で、さらに多くの通信量が確保出来るようです。
光ケーブルは革新的な技術改革をもたらしました。
そして我々古い技術者は淘汰されていく、
それが時代の流れなのですね。