霧の中から
毎日短歌をつくりたいと思うけれど、なかなか難しい。
全然できないときと、いっぺんにたくさんできるときがある。
歌ができないときは歌集を読むとよいと、昔何かで読んだ。
全くなにもないところからつくりだすのは難しいけれど、名歌に導かれて、自分の中から歌が引き出される。
最近気がついたのは、ラジオ深夜便「ほむほむのふむふむ」を聴くと歌が生まれる、ということ。
聴いているうちに、ラジオの内容と関係のない歌が、なぜかいろいろと浮かんでくる。
すぐ忘れるので、あわててメモをする。
テレビのNHK短歌も好きだけれど、番組の途中で歌をつくることはない。
今日のお着物キレイとか、スタジオの調度品がかわいいとか(ネコがバイオリンやチェロを弾いている置物が気になる)、いろいろ目移りしてしまうからか。
「ほむほむ」では、基本的に一対一のやりとりが静かに続き、こちらの心も落ち着いていく。
たいてい目を閉じて聴いていて、そのうちふうっと、朦朧となる。
そんなときに、歌が生まれる。
歌って、こんなふうに、霧の中から生まれてくるのかもしれない。
くろぐろとうねるかわらの一枚にまがたまみたいに白猫ねむる
(2023.1.21日経歌壇 穂村弘選)
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