![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/87984245/rectangle_large_type_2_68aeb2fa890ff319a42e14281f532937.png?width=1200)
Photo by
nikimototo
猫と、をんな
先日、谷崎潤一郎の「猫と庄造と二人のをんな」を読んだ。
三島由紀夫の「文章読本」で紹介されていて、いつか読みたいと思っていたら、たまたま美術館のショップで発見し(猫の企画展の宣伝らしい)、即、購入。
主人公(?)の猫は西洋猫で、名前も洋風なのだけれど、旧仮名遣いなので「リリー」が「リヽー」と表記されているのが、和洋折衷な感じで、素敵。
旧仮名遣いの本は読み慣れないけれど、文章の巧みさのためか、するすると読めた。むしろ、旧仮名のやわらかい感じが、猫に合っている気がする。
「をんな」というのも、猫のようなやわらかさとふくらみがあって、タイトルにぴったり。
旧仮名っていいなと思いつつ、短歌を作るときは、難しい。
無理して使ってみても、借りた服を着ているような、しっくりこない感じがする。旧仮名遣いを、息をするかのごとく使ってきた世代のようには、やっぱりいかない。
実際、「猫」の小説の冒頭に出てくる手紙には、ちらほら仮名遣いの誤りがあって、それが手紙の書き手の教育の程度を表しているそうだけれど、私は読んでいて誤りに全く気がつかなかった。
憧れは、憧れとして。
今の仮名遣いで、自分なりの表現を、見つけたい。