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#78 算数障害の謎解き「数概念の理解に迫る」

算数障害には、次の4つの領域があると言われています。
①数処理(数字・数詞・具体物の対応)
②数概念(基数性と序数性)
③計算(暗算・筆算)
④推論(文章題)
算数障害といえば、この4つのうちのどれかの理解に著しい困難を示します。
詳しく知りたい方はこちらを↓

前回は、数処理についてお話しました。

今回は、②数概念です。

数概念は数処理のように1対1対応の関係ではなく、数における性質を理解することと言えます。
その性質として、基数性と序数性があります。

基数性とは?
簡単にいったら、「もの」の数え方です。
基数性が理解できたら、たし算やひき算もできるようになります。

ただ算数にはやっかいな問題があって、この「もの」は、連続量と分離量に分かれています。分離量というのがわかりにくいのです。
簡単に言うと、連続量とは、おだんご1個、2個と数えれれるもの。
分離量とは、コップの中にある水のこと。個体になっておらず数えることができないもののことです。

序数性とは?
ものの順番です。
〇〇●〇〇〇〇〇
●は左から何番目か?、
わかれば序数性は理解しているといえます。

一般的には基数性を理解した後に序数性を理解していきます。
算数の教科書もこのような流れをもって指導しています。

例えば、
〇〇〇〇〇〇〇
〇〇〇〇〇〇  〇
2種類のおだんごがあります。
上のおだんごと下のおだんごどっちが多い?
もし下を選んでしまったら、基数性がまだ理解できていません。
つまり、量感覚が養われていないといえます。

どうしてつまづくのか?

このような子は、機械的な手続きによる計算などはできても、数をまとまりとしてみたり、分けたりするといったことに課題があります。
数直線などの読み取りなども苦手です。
基数性を理解できるということは、数が量を表していることを理解することです。これが理解できないと、計算はできても、文章題などでつまづきます。
ほかにも数の相対的な見方が育っていないため、AはBの2倍といったような割合の学習でつまづきます。

3年生くらいまでは、それほど課題あったとしてもごまかしがききますが、4年生頃から課題が明らかになる傾向があります。

ではどうしたらよいのか?
低学年のうちから、自分で文章題(お話づくり)をつくることができるようにするのです。
具体的には、おだんごをつかったお話づくりをします。
1年生なら、
画用紙に1~10までのすきな数だけおだんごかかせます。
かいたあと、
「おだんごはいくつあるでしょう?」
と隣の子に問います。
「7こ」
「正解!」
といったように対話をしながら、おだんごのお話をしていくのです。

1年生も2学期以降であれば、
たし算やひき算のお話もつくれるようになります。

このように自分で具体的な場面を作らせることを通して、基数性の理解を深めていくのです。

以上、数概念についてでした。
次回は暗算、筆算についてです。
お楽しみに!




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