【病気】病気と6年付き合ってわかった、病気との向き合い方
病気になると、病気はとても悪いものだ、早く治さなくては、という気持ちになります。
私も約6年前に「社交不安障害」を発症してから、これは異常事態だ、早く治したい、病気を発症する前の状態に戻りたい、という気持ちになり、苦しんできました。
ところが、軽い病気であればすぐに治るものの、重い病気になると、病気を「敵」と捉えて闘おうとするととても苦しいばかりか、かえって長期化してなかなか治らなくなることが多いです。
そこで私のこれまでの経験や、本などで学んできたことをもとに、今病気で苦しんでいる方にも、そうでない方にも、ぜひ知って欲しい考え方を5つ紹介します。
①病気は「闘う」ものではなく、「気づき」「受け入れ」「向き合っていく」もの
日本語ではよく「闘病」という言葉が使われます。
「闘病」という言葉を、実用日本語表現辞典で調べると、次のように書かれています。
「闘病」という言葉には、病気に「抗う」というニュアンスが含まれています。
私もかつて心の病気になった時、病気の存在がとても憎くて、病気に負けたくない、病気の症状が出ないよう押さえつけようと思い、数々のあがり症克服などの本を読んできました。
ところがそのような状態の時、精神的にとても辛かったばかりか、症状はまるで自分の存在をもっと知らしめようとするかのように、どんどんエスカレートしていきました。
しかしある時、梯谷幸司『本当の自分に出会えば、病気は消えていく』という本に出会ってから、病気に対する考え方は180°変わりました。
病気は、心や体の歪みが「ここにある」ということを伝えようとしているのです。
病気を「敵」ではなく、「味方」と捉えると、考え方がガラリと変わり、気持ちがとても楽になります。
体は本来、あなたの味方です。
体にはホメオスタシスと呼ばれる、
外部環境から刺激を受けても、
体の恒常性を保とうとする働きがあります。
そんな体が、あなたの嫌がる痛みや苦痛を発するということは、何か気づいて欲しいことがあるということです。
いわば警報が鳴っているような状態です。
病気が発しているメッセージを受け取り、自分の中の傷の存在を感じ切り、本来自分があるべき状態に向かっていくと、やがて病気は役目を終え、消滅していきます。
正直、重い病気は完治させることが難しいですが、なんとか日常生活が送れるレベルまで寛解させることは可能です。
②「病気」を「肩書き」ではなく「状態」と捉える
病気の診断名を伝えられると、今まで自分が感じていた不調の正体が明らかになり、対処しやすくなります。
一方で、病名というレッテルを貼られることで、自分が普通でないような感覚になります。
病気というのは名詞です。
名詞は自分とイコールで捉えてしまいやすいです。
HSPなどの生まれ持った特性は、残念ながら変えることができないため、上手く付き合っていく必要があります。
しかし、病気というのはあくまで「状態」であり、状況が変わればいくらでも変化する、とても柔軟なものです。
私もかつてはこの病気と一生付き合っていかなくてはいけないのだと思っていました。
しかし、薬や成功体験を積み重ねたおかげで、今では不安が減り、安心して日常生活が送れるようになり、人前で話せるレベルまで寛解しました。
まさかこんなに回復するなんて、当時の自分には想像できなかったでしょう。
病気を「少し落ち込みやすくなっている状態」「少し緊張しやすくなっている状態」など、動詞や形容詞を含む「状態」の言葉に置き換えてみてください。
動詞や形容詞に置き換えることで、
性格のように変えられないものではなく、
行動次第でいくらでも変えられるというイメージを持ちやすくなると思います。
③ありのままの自分を受け入れる
人はよく、自分は「普通」と思い込むことで、安心感を得て、自分の身を守ろうとします。
反対に、自分と同じでない人が多数派になると、自分は「異常」であると思い込んでしまいます。
そのような思い込みが「普通」と「異常」の間に見えない壁を作り、自分も「普通」でありたいと思うあまり、今のありのままの自分を受け入れられないことが多い気がします。
しかし「普通」「異常」というのは、人間が作り出した概念であり、本来そこにはありのままの状態しか存在しません。
ありのままの自分を受け入れることができれば、とても気持ちが楽になります。
私も視線恐怖症が深刻だった頃、
「人に緊張で震えてるところを見られたくない」
という気持ちがとても強かったです。
しかし今では、たとえ人のいる場所で震えの症状が出てしまっても、「まあ、いいか」と思うようにしています。
人は自分が思っているほど、
周りのことを見ていません。
また、自分のありのままの状況を話せば、
「ああ、そうだったんだ、それは大変だね」
と優しい言葉をかけてくれる人がほとんどだと思います。
自分のありのままの状態を受け入れるようになってから、気持ちがとても楽になったばかりではなく、不安が少なくなり、症状が出ることも少なくなりました。
ぜひ「まあ、いいか」を口癖にしてみてください。
④病気になる「前」ではなく、病気になった「後」の自分になることを目指す
私は病気になった時、「病気になる前の自分に戻りたい」とずっと思ってきました。
しかし、樺沢紫苑『ストレスフリー超大全』を読んで、考え方が変わりました。
病気になると、ほとんどの人が、「健康だった、病気になる前の自分に戻りたい」と考えるそうです。
確かに、一度病気になると、症状が出た時のことを何度もフラッシュバックするようになります。
私も症状のことなんて何も知らなかった、病気になる前の自分に戻れたら、どんなに楽だろうと考えました。
しかし、病気になる前の自分に戻ったとして、また同じようなパターンを繰り返し、再び病気になるだけなのです。
病気になることによって、今までの自分の間違った癖に気づき、修正することができます。
また、病気を経験した人にしかわからないこともたくさんあります。
私は本格的に病気になる前、小中学生時代は、自分で言うのも難ですが、いわゆる優等生でした。
今はこれほど人前に立つのが怖いのに、学級委員や、吹奏楽部のパートリーダーなどもやっていました。
だからこそ、あの頃の自分に戻りたいという思いがとても強かったです。
しかし、当時の自分には、「できない人」の気持ちがわかりませんでした。
もしそのまま大人になったら、できない人の気持ちがわからず、人を見下し、自分が誰かを傷つける側になっていたんじゃないかと思います。
病気を経験したことにより、より深く考え、人の気持ちに寄り添えるようになっていたらいいな…と思います。
病気になる「前」ではなく、なった「後」の自分を目指してみてください。
⑤自分の力を信じる
私は病気になった時「なんて自分は無力なんだろう」と思いました。
みんなは普通にできることが、自分にはできない、自分はなんてダメなんだろう、と何度も自分を責めました。
しかし、生物の体には、ホメオスタシスと呼ばれる、外部からストレスを受けても、元に戻ろうとする機能が備わっています。
いわば、押しても元に戻るクッションのようなものです。
病気を治すには、薬に頼ることも大切ですが、
自分の力を信じ、体が本来持っている自然治癒力を引き出すことがとても大切です。
また、人間の体には60兆個の細胞があります。
これは世界の人口の約1万倍です。
昔「1人の人間には、何千何万の神様がついている」という言葉を聞いたことがあります。
私はこれはまさに細胞のことなのではないか、と思いました。
細胞にはきちんと意思があります。
細胞たちはあなたを生かすために、毎日全力で生きています。
ある臨死体験をした人の話によると、意識が朦朧とする中、自分を生かそうとする何千何万もの意思を感じ、自分はひとりで生きているのではない、何かに守られている、と思ったそうです。
しかし私たちは、日頃細胞に意識を向けることはあまりありません。
ぜひたまには細胞に意識を向け、「いつもありがとう」と感謝の気持ちを伝えてみてください。
さらにマッサージや運動などをしてあげると、体はもっと喜びます。
瞑想で自分の呼吸や体に意識を向けてあげるのもとても効果的です。
体を大切にすることを、日本語では「自愛」といいます。
ぜひあなたの体を愛して、大切にしてあげてください。
あなたは決してひとりではなく、チームなのです。
チームの存在を意識すると、きっと相乗効果で自分の力を発揮することができると思います。
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長文になってしまいましたが、ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
あくまで私の数少ない経験を元にしているため、心に響かない部分もあるかもしれませんが、何か少しでもヒントになればとても嬉しいです。
【参考資料】
・「闘病生活(とうびょうせいかつ)」の意味や使い方 わかりやすく解説 Weblio辞書
https://www.weblio.jp/content/%E9%97%98%E7%97%85%E7%94%9F%E6%B4%BB
・梯谷幸司『本当の自分に出会えば、病気は消えていく』
・樺沢紫苑『精神科医が教える ストレスフリー超大全 ―― 人生のあらゆる「悩み・不安・疲れ」をなくすためのリスト』
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