時間で色が変わるトロトロ系七不思議温泉と超絶オシャンな旅館メシ。奥那須大丸温泉へ。【おひとり様女子旅記録】
今回の温泉旅は
那須方面の濃いガツンとした温泉に
狙いを定めたのですが
週末の1人を受け入れるお宿が極端に少なかったのです。
考えればこれが本来の温泉街の姿なのですよね。
那須で温泉といえば
北温泉とか鹿の湯、湯本の温泉がメインどころですが、
トロトロしているという実感ができる湯につかれる温泉があるのは大丸温泉あたり…という話を聞きまして。
冬のカサっカサのお肌に潤いを注入すべく
張り切って行ってまいりました。
宿泊したのは
那須の中でも一番高いところにあり
標高1300メートルの高台に位置している湯宿。
「奥那須大丸温泉 旅館ニューおおたか」さん。
懐かしのCMで流れていたような
「♪ホテルニュー○○○♫」系かと
ついつい身構えてしまうお宿のネーミングですが
部屋数は8室と小規模、ご家族で営まれているお宿です。
ペーパードライバーな私。
公共交通機関利用の旅になるわけですが
私のおひとり様温泉旅の条件は
「新幹線・有料特急は使わない、ローカル線の移動」。(高速バスは使います)
馬鹿みたいに時間はかかりますが
枕木ひとつひとつ踏み締める鈍行電車のスピードで
ゆっくりゆっくり
忙しない日常から
自然と向き合い、自分自身と向き合う時間に
入っていく事を大切にしたいからです。
那須塩原駅もしくは黒磯駅からは
お宿に予約しておくと路線バスが500円で往復できます。
(普通に乗ると3000円以上します。)
那須塩原駅からバスに揺られて1時間と少し。
雪がチラつく大丸温泉バス停のすぐそばに
お宿はありました。
外観は少し古めな湯宿かな?と思いつつ
玄関をくぐると
さりげなく置いてある調度品や置物が
この上なく素敵。
センスの良い女将さんがいらっしゃるのね、と入ってすぐに思いました。
部屋からは関東平野が一望できます。
雲の多い日の宿泊でしたが
雲の海から昇る朝日はとても美しかったです。
温泉は
ごく薄い青緑色に白濁したお湯で
柔らかな、ほんのりとした、
でもしっかりした土と硫黄の香り。
(温泉の香りについて語彙が少なすぎて
我ながらいつも歯痒さを覚えます…)
泉質は意外にも単純温泉。
単純温泉ですが
こちらの温泉は天然の保湿成分と言われる
泉質名には表れないメタケイ酸が豊富なのだそうです。
立派な「美肌の湯」です。
予約の時に、冬季は露天風呂をクローズしています、と
伝えられていたのですが
露天風呂を開けていただいていたのは
嬉しい驚きでした。
露天風呂はお湯の投入量がかなり少なく、
温度もぬるめです。
鮮度でいえばイマイチなのかな…という印象です。
その点、内湯の鮮度は抜群に良かったです。
露天風呂は4方向
囲われていて展望はほとんどありません。
多少の隙間はありますが…。
ということは。
ホームページで謳っている
「茶臼岳望む源泉掛け流し温泉の露天風呂!
四季折々の美しい景色を眺めながらの温泉浴を!」は
男湯ですね。
お料理にはビックリ。
土地の野菜中心になると伺っており
素朴な旅館料理を想像していたのですが
女将さんのセンス抜群の食事と食器の数々。
フレンチと和の融合ともおぼしき品々に感激。
夜も朝も、それはそれはお洒落で
女将さんのセンスの良さを食からも感じました。
夕食後の内湯はグレー系の濁り湯。
時間で色が変わるトロトロの七不思議温泉と聞いていましたが
入ってびっくり。
ぬるすぎる!…どなたかが大量に加水した模様。
館内あちこちに設置されている書棚には
気になる本がたくさんありました。
小説、エッセイから句集から写真集、古典から漫画まで…
蔵書が読み放題なのがたまりませんでした。
連泊してダラダラ過ごしたい…!
そういえば玄関先の木箱には
「アルケミスト」がありました。
私の人生を変えた本です。
一泊じゃ足りない。
雪明りをたよりに読書に浸りたいお宿です。
帰りも来た道を延々と…
こうやって、新しい気持ちで
慣れ親しんだ自分へ帰っていくのです。