口福な土曜日。食べたいものを、食べたいときに、食べる。
土曜日の夕方。
公園から家に帰る途中、どこからともなく焼肉の香りが漂ってきた。
私:(くんくん)
夫:(くんくん)
私・夫:「焼肉が食べたいっっっ!!」「ホルモンが食べたいっっっ!」
私たちは、お財布の紐が硬い方だ。ノリと勢いで外食に行くことは滅多にない。
そのうえ、その日は夕食の準備も終えていた。
休日の夕食は私が作ることが多い。作ったのは、鶏胸肉と野菜の生姜がきいた出汁びたし、ほうれん草と舞茸のお味噌汁。
日中、気温が高かったため、夏を先取りする気持ちで、さっぱりとした和食を気分良く作っていたのだ。
焼肉に行かない理由は揃ってしまっている。
だがしかし、
あの、ジュワーっとお肉が焼ける音、熱々のお肉を頬張る瞬間が頭から離れない。
思い出すだけで、たまらない。ごくりと唾を飲んだ。
夫「どうする?」
私「調子乗ってるかな?」
夫「年間外食予算どれくらい残ってたっけ?」
私「残り16,311円」
夫・私「……。」
夫・私「……。」
夫・私「……。」
私「……何も考えず、素直に気分に従うなら………行きたい……。。」
夫・私「……。」
私たちは自炊が基本。これが自然体。
夫のご飯は美味しいし、土日の夕食は料理が趣味の私担当。
というわけで、外食はなかなかしない。
互いに財布の紐が硬いので尚更だ。
ただ、たまに外食したい気分の日もある。
そんな時はとても悩む。
行くか行かぬか悩み、気持ちよくすんなり外食に踏み切れない。
この状況を少しでも緩和すべく、考案されたのが年間外食予算。
2人で、月1万円、年間12万円。
この制度は2023年5月に開始したため、2024年4月は最終月。
つまり、年間予算が16,000円ちょっと余っていたわけだ。
どう考えても、4/30までに16,000円は使わないのはわかっていたが、それでも2人とも必死で悩んだ。
こんな時、夫は決まって、必死で自分を正当化するための理由を探し出す。
夫「前回いくらかかったっけ?」
夫「クーポンもあるよね!」
私「前回は6000円かかってない。500円クーポンあるよ」
夫・私「……。」
私・夫「……よしっ。行っちゃう?!」
悩みに悩んだ末、ようやく行くとことを決意した。
***
お肉を掴んで網に乗せる。
ジューっと焼ける音、焼けるお肉の香り。
もうそれだけで来てよかったと思った。
ちょうど良い焼き加減になるまで、じっと七輪を見つめ、食べたい気持ちを抑える。
時はきた。今だっ!
ハフハフしながら、さっと口に運ぶ。
噛み締める。
目をとじて、食感と味に集中する。
ほっぺの内側がキューンとなった。これは、私の美味しさバロメータが振り切った合図。
私・夫「…美味しい」
2人ともお肉に夢中。
焼くこと、食べること、味に真剣になると、互いに口数が少なくなる。
時々私は、小さなガッツポーズで美味しさを知らせる。
きっと「何頼む?」「美味しい」「あとどれくらい頼む?」くらいしか会話してない。
しかし、確かに2人とも、幸福とお肉を存分に噛み締めていた。
お腹も心も大満足し、私たちは店を出た。
***
たまには、頭で考えるのをやめて、頭のギアを落として、少し調子に乗って、外食するのも良いものだ。
「これだっ!!これが食べたいんだ!」という強い気持ちは、そうそう現れてくるものじゃない。
いろんな理由や言い訳を並べなくたって、
「食べたいんだ!!!!!」という気持ちだけで、行動しても良いじゃないか。
行く前はあんなにビビっていたのに、お値段なんと3,922円。予算は12,000円以上残っていた。
頼んだのは
ホルモン、マルチョウ、ハツ、ノドガシラ、カクテキ、ライス2、ユッケジャンスープ、水2。
家への帰り道、ドラッグストアにより、私は1人アイスを購入。
やっぱり焼肉の後は、アイスで締めたい!!
***
食べたいものを、食べたいときに、食べるに限る!!!
忘れかけていた、このシンプルな喜びを、焼肉が思い出させてくれた。
口福な土曜日だった。