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止まらない食欲〜家畜なんかじゃない【摂食障害のお話】#8


14歳で拒食になって、数ヶ月して過食期に入ったのですが、その頃の私はまだ病気だと知りませんでした。

14歳で初胃カメラ

コントロールできない食欲で
毎日のように、胴回りがはち切れそうになっているというのに、この少女は摂食障害という病を知りません。

ですから、母親に病院に行った方がいいと言われて、行った病院は内科でした。

内科じゃないような気も薄々してたけれど、
どこに行っていいのかよくわかりませんでした。

なぜこの時、母親と一緒に病院へ行かなかったのか謎なんですが、私は1人で通院してるんですね。


あまりに食べ過ぎてしまうことは、
恥ずかしくて詳しくは話せませんでした。
先生には食べすぎてしまってお腹が痛くなると訴えました。
結果、胃カメラの検査をすることになるのですが
当然ながら大した病気は発見されず…。

中2の頃の話です。


この時に、ちゃんと病院へ行って適切な治療を受けることができたら何か違っていたのかもしれないと思う反面、行ったところで、この厄介な病がすんなり治ったとも思い難いです。

のちに大人になって、心療内科や精神科を受診することになります。
田舎から少し都会へ出て、病院に通うけれど
摂食障害について理解している医者に出会ったことはなかったし、効果的な治療というものには出会えなかったのが事実です。


エスカレートする過食

それから高校生になり、さらに症状は悪化していきました。

毎日のように過食の常習犯です。

お弁当は自分で詰めて行くので、ご飯は少しに野菜のおかずを多めにしてカロリーを抑えたお弁当をせっせと作っていました。

友達とドーナツ屋に行っても
決して食べず、いつもコーヒーだけ。


両親は働いていたので、朝は早くに出て行きます。
妹が学校へ出かけたらそこからが勝負。

誰の目も気にせず、文句も言われず
好きなだけ食べられる時間。

さっき食事を済ませたくせに
パンやスナック菓子などを食べてました。

やり過ぎると、苦しくなって
少し横になって…

それで1日終わるのは悲しいし
できるだけ普通にすごしたかったので、
休んだ後には遅刻してでも、必ず学校へは行ってました。


私の中に魔物がいる

でも、その普通に過ごしたいと思う時間は、どんどん少なくなっていきました。
コントロールのできない食欲に支配される時間が増えていきます。

朝だけじゃなく、夕飯の後…。

家族が寝静まる頃にも、奴はやってきます。

私の中に棲んでいる醜い魔物。
こいつは私の意思では止めることができない。

食べては駄目だと頭ではわかっているのに
それとは裏腹に、手当たり次第、貪るように食べてしまいます。

気がついたら食べた残骸で散らかっている、という具合です。

またやってしまったと自己嫌悪…。
それらをバレないように、気付かれないように
片付ける。

時には買い足して元の場所に戻しておいたりしました。


父親の心ない言葉

食べないと叱られ、食べすぎると叱られ馬鹿にされていました。

父親に言われた言葉を今もよく覚えています。

      ✴︎

また食べてるのか
家畜じゃないんだぞ

      ✴︎

なんと心のないセリフでしょう。

以前もこの人について少し触れましたが、
そのデリカシーのない言葉で、人をどれだけ傷けているのか考えることのできない人間。



自分が摂食障害だと気づく

ある日、図書館で摂食障害の本を見つけました。

手に取って開いてみました。
それはまるで私のことのようでした。
ドキドキしました。
借りる勇気はなくて、その場で一気に立ち読みした。

拒食からの止まらない食欲、これは私だけに起きている摩訶不思議な出来事ではなくて、そういう病気なんだということを知ります。


そして、吐くことを覚えたのです。

この先、何十年も続く長い地獄の始まりでした。


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