伝承や因習、古の文化が織り込まれた民俗学ミステリーは、単なるミステリー以上の深みを持ち、多くの読者を魅了してきました。
古くから伝えられた事象やそのエリア独自の歴史的変遷、村独自の文化などを研究する民俗学と推理小説は好相性!ぜひ、この不思議な怖さを感じる民俗学ミステリーのおすすめ小説を手に取ってみてくださいね。
ファンタジーを得意とする清水朔さんの民俗学ミステリー。シリーズ第三作目です。丁寧に描かれる世界観がミステリアスな雰囲気をぎゅっと濃縮しています。一作目が『奇譚蒐集録 弔い少女の鎮魂歌』、二作目が『奇譚蒐集録 北の大地のイコンヌプ』。
『サナキの森』の著者としても有名な彩藤アザミさんのホラーミステリー作品。時系列順に並んだ七つの物語で構成された旧家の一族の年代記のかたちをとっています。帯の「恐ろしくも哀しい、悍ましくも美しい」という綾辻行人さんの言葉の通り、読後の切なさに浸りたくなる作品です。
SFの作品が多い柴田勝家さんの大正時代の描写が美しい怪奇ミステリー。年少浪曲師・湖月と自称「コロシ専門」の探偵・平島がバディが活躍するバディものでもあります。浪曲師の湖月と探偵の平島が繰り広げる独特の掛け合いも見どころのひとつ。
『ぼぎわんが、来る』の著者としても有名な澤村伊智さんのホラーミステリーです。「霊魂六つが冥府へ堕つる」という予言を中心に物語進みます。「初読はミステリ、二度目はホラー」と帯に書かれるように、こういうことかとわかってからも面白い作品です。
呪い、遺産、遺言状、嵐で閉ざされた館、密室、連続殺人と王道ミステリーのテーマがたっぷりと詰め込まれた本作。重苦しいテーマですが、ライトな読み口なので、さらっと読み進められます。
『図書館の魔女』の著者としても有名な高田大介さんの作品です。言語学が専門の高田さんらしい知識を張り巡らした意欲作です。閉鎖された集落に残された因習の謎に鋭く切り込む独特の推理が光ります。
『花の下にて春死なむ』の著者としても有名な北森鴻さんの民俗学ミステリー。本作は『蓮丈那智フィールドファイルシリーズ』の第一作目です。『凶笑面』は2005年木村多江さん主演でテレビドラマ化されています。
2020年漫画化、2021年、2022年伊野尾慧さん、神宮寺勇太さん主演でテレビドラマ化している作品。2025年1月現在、11巻まで刊行されている人気シリーズです。怪異や都市伝説を現実的な視点で解体する過程は興味深く、初心者にも親しみやすい軽快な文体が特徴です。
『法医昆虫学捜査官シリーズ』、『仕立屋探偵桐ヶ谷京介シリーズ』などの著者としても人気の川瀬七緒さんの作品。デザイナーと作家を平行して行っているというユニークな作家です。ほんわりした雰囲気の始まりですが、ラストに向けて徐々にミステリー要素が強くなっていくところが見どころのひとつ。
『アガシラと黒塗りの村』小寺無人
第2回黒猫ミステリー賞受賞作品。小寺無人さんは本作がデビュー作です。難しくなりがちな民俗学の部分についても読みやすく、さくさく読める一冊です。
第26回江戸川乱歩賞受賞作品、1980年「週刊文春ミステリーベスト10」第1位。『逆説の日本史』などの著者としても有名な井沢元彦さんのミステリー作品です。SFの味わいがある歴史ミステリーといった雰囲気です。暗号解読の過程もしっかり楽しめますよ。
2007年「本格ミステリ・ベスト10」第3位。作家の刀城言耶を主人公としたホラーミステリシリーズ「刀城言耶(とうじょうげんや)」第一作目の作品です。おどろおどろしい雰囲気がたっぷり漂う世界観が素晴らしく、ホラー寄りの作品を読みたいときにおすすめの一冊です。
コバルト文庫の『炎の蜃気楼(ミラージュ)』の著者としても有名な桑原水菜さんのライトミステリー。2025年1月現在、19巻まで刊行されている人気シリーズです。遺跡発掘の現場での事件を描き、歴史の謎や遺物が物語を彩ります。軽快なキャラクターとスリリングな展開が魅力です。
百鬼夜行シリーズ第五弾。2015年に漫画化されています。昭和20年代を舞台に、母系制や性風俗といったテーマを含む膨大な知識が盛り込まれた作品。民俗学的知見と深い人間ドラマが魅力です。
『十二国記シリーズ』の著者としても有名な小野不由美さんのミステリー作品。閉鎖的な島で繰り広げられる群像劇。島民の信仰や邪教的要素がストーリーを進める鍵となります。宗教的知識や倫理観の探求は読みごたえがあります。
まとめ|民俗学ミステリーのおすすめ小説15選|不気味な伝承・因習×謎解きに夢中!
民俗学ミステリーは、日本の伝承や因習を背景に持つ、独特な魅力を持つジャンルです。それぞれが異なる文化的背景やミステリーの要素を持ちながらも、人間の本質や社会の暗部を深く描いています。
初心者でも楽しめる軽快な作品から、考えさせられる深いテーマを持つ作品まで幅広く揃えました。ぜひ、これらの作品を通じて、民俗学ミステリーの奥深さと面白さを体験してみてくださいね。