プロローグ ~二人の読書家の出会い~
高校生の深山蓮太郎には、いま気になっている女子がいる。朝の通学電車で見かける、他校の女子高生だ。
肩まで伸びる艶やかな黒髪や、泣きぼくろのある涼やかな目元は、クールで大人びた雰囲気を漂わせる。だが、制服に合わせたピンクのカーディガンや手首のシュシュなど、今どきで結構派手な印象もある。男友達しかいない蓮太郎のような人間とは、クラスが同じだったとしてもおそらく関わることのないような存在だ。
だが、そんなことはどうでもいい。
蓮太郎が気になっているのは、彼女がいつも手に