写真と民俗【山形県 冥婚ムカサリ絵馬】
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どうもメダカです
初めましての方は初めまして
2019年9月から写真で始めて4年目になります。
今回は冥婚ムカサリ絵馬の文化を探して山形県に行って来ました。
ムカサリ絵馬
ムカサリ絵馬って何?
ムカサリ絵馬って知っていますか?
山形にある民間信仰で、一言で言えば【冥婚】と呼ばれるものです。
冥婚と聞くと不気味なイメージがあると思いますが、そのイメージは完全に間違いです。
いわゆるオカルトチックな話では一切ありません。
ムカサリ絵馬の起源は江戸時代末期までさかのぼり、戦争に行って結婚することなく若くして亡くなった子供の為に、
「せめてあの世では結婚させてやりたい」という親心から始まったもので、子供の似顔絵と架空の妻を絵馬に描きにそれを寺に奉納する一種の供養です。
決して実在の女性がいけにえに捧げられて、死者と無理やり結婚させるとかホラーじみた行為ではありません。
あくまで親から子供への愛情によって行われる供養であり、実際のムカサリ絵馬も不気味なモノではなく実に優しい絵柄の物ばかりです。
※絵馬は戒名などの個人情報が含まれており、現代でも続く供養で新しいモノもあり基本的に撮影禁止です。
この写真は展示用に飾られた昭和初期のもので90年前の物ですが、戒名などの個人情報は消しています。
若松観音
ムカサリ絵馬の奉納先として最も有名なのが若松観音となります。
山形県天童市の山奥にある寺で車で行くことも可能ですが、徒歩で登る古道もあります。
(僕はもちろん車で行きました)
ご住職から直接話を聞くことが出来ましたが今でも全国からたくさんの奉納があるらしく、
現在では男女関係なく奉納があり、特に様々な理由で生まれる事の出来なかった水子供養の為に奉納されることが多いそうです。
新しいムカサリ絵馬は祈願所に飾られており、中は原則撮影禁止です。
今でも全国から多くの奉納希望があり、ムカサリ絵馬の絵師さんに頼むと一年待ちの状態らしいですよ。
ちなみに自分で絵を描いて奉納することも可能です。
ムカサリとは山形の方言で広い意味で婚姻を指す言葉で「ムカサリが来る」は「嫁が来る」の意味で「ムカサリがある」と言えば「結婚する」という意味を指します。
やっぱやめた
他にも山形には多くのムカサリ絵馬が奉納されている寺があります。
(その多くが観音寺である事にも注目)
しかし若松観音のご住職から現代も続く供養方法だと聞き、
いろいろい回って写真を撮るのも亡くなれた方やご遺族にも失礼な気がしたので、
みだりに探る物ではないと感じ今回の取材はここでやめました。
事前に読んだ資料では先日書いた遠野物語に出て来る、おしら様もムカサリ絵馬と関わりがあるのですが、
長くなるので興味がある方はご自身で調べてみてください。
(記事の最後に参考資料を載せておきます)
ムカサリ絵馬が不吉な物ではなく、親から若くして亡くなった子へ供養である事が伝わればそれでいいかなと思います。
2日間取材のスケジュールを取っていたのですが、最初の若松観音で終わってしまったので、
ここからは時間を持て余した僕が美しすぎる山形の観光スポットを紹介していきます。
空気神社
世にも珍しい空気の神社
言われてみると空気の神様って天照にも匹敵する重要な神様ですよね。
(本物の神社ではなくAsahi自然観とういアウトドア施設のモニュメントです)
参拝中に礼をしたら、ステンレス台に自分の顔が映り一瞬、自分の内面が鏡に映り込んだ気がしました。
蔵王温泉 大露天風呂
ここは必ず行ってください
圧倒的に素晴らしい温泉です。
駐車場に着いた瞬間に漂う硫黄の香り、風呂場に入って驚くのはその温泉の色。
見事な乳白色の水色でいままで見た事ない色の温泉でした。
ここは一生に一回は行っておくべき名湯です。
ちなみに冬はスキー場になってしまい営業していません。
加茂水族館
山形一のインスタ映えスポットと言っていいでしょう。
とにかくクラゲです。圧倒的にクラゲです。
幻想の森
樹齢1000年を超える杉の木を見る事が出来ます。
しかしガチで山奥です、車で行くのも大変なオフロードな道を進んでいくとたどり着けますが、
対向車が来ると積むレベルの細い砂利道を進んでいくので、車が汚れるのが嫌な人にはお勧めしません。
面白い形の杉を見るのが好きな人だけ行ってください。
徒歩じゃ100%無理です
丸池様
ここもインスタ映えスポットですね。
光の加減で色の変わる神秘的な池です。
立石寺・山寺
「閑さや 岩にしみ入る 蝉の声」と松尾芭蕉が一句読んだことで有名な山寺。
ここはいろいろ紹介したいので別途一本書きました。
まとめ
いかがだったでしょうか?
冥婚の取材をするつもりがただの旅行になってしまいましたが山形めちゃくちゃ綺麗でしょ?
気になった場所があればぜひ教えてください。
絵馬に関しては現代も続く民間信仰という意味では非常に貴重なモノを見る事が出来ました。
手が空いてる時なら寺の方から、直接お話を聞く事も出来ると思います。
(忙しい時に邪魔にならないようしましょう)
歴史は書物で調べる事が出来ます。
だけど現地に行って肌で感じる事が重要です。
現地に行って伝承や信仰を直接見るたびに本では発見出来なかった事に気が付かされます。
特に【なぜ?ここで独自の民間信仰が生まれたのか】
現地に行きその場の雰囲気を感じるとその【なぜ?】の疑問の答えが見えて来る事が多くあります。
書物にも、もちろん書いてありますが、
現地に行って、実際感じた時の答えの解像度は本で読んだ時のそれとは比べものになりません。
現地に行って自分の目でしか見る事の出来ない新たな発見を探してみましょう。
どんな博識な学者にも伝えられない事が必ずあります。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
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参考文献