JW343 稲を運んだ功績
【桃太郎編】エピソード13 稲を運んだ功績
第十代天皇、崇神天皇(すじんてんのう)の御世。
吉備(きび:現在の岡山県と広島県東部)では、温羅(うら)が暴れまわっていた。
鎮圧の使命を受けたのは、彦五十狭芹彦(ひこいさせりひこ)(以下、芹彦)と稚武彦(わかたけひこ)(以下、タケ)。
一行は、片岡山(かたおかやま)に石の楯を備えた、新たな陣地を構築した。
二千年後の楯築遺跡(たてつきいせき)である。
イッサ「・・・というわけで、糧秣(りょうまつ)を運んできましたぞ。」
芹彦「遅かったではないか!」
イッサ「いや、途中で、川の流れが急なところがあったけぇ、ちぃと(ちょっと)遠回りしとったんじゃ。」
トメ「そうなんです。流れが急で、遠回りしたところが、瀬口(せぐち)と言われてるんですよ。」
芹彦「いきなり解説か!?」
イッサ「二千年後は、地名が残っとらんのじゃけど、岡山県倉敷市日畑(くらしきし・ひばた)に『瀬口才楽公民館(せぐちさいらく・こうみんかん)』という施設が有るんで、その辺じゃないかと、作者は考えとる。」
芹彦「そ・・・そうか・・・。では、ここに荷揚げしてくれぃ!」
トメ「そうなんです! 荷揚げした、ここが、稲倉(いなくら)と呼ばれるようになるんですよ!」
イッサ「その後、稲倉が転訛(てんか)して、岩倉(いわくら)になったんじゃ。」
芹彦「そ・・・そうか・・・。では『イッサ』のこれまでの功績を讃(たた)え、名を授(さず)けようぞ! その名も『大稲船(おおいなふね)』じゃ! 通称は『オーイナ』じゃ!」
オーイナ「かたじけのうござりまする。」
トメ「そうなんです! こうして『オーイナ』様は、祀(まつ)られることになったんです。その名も、岩倉神社(いわくらじんじゃ)ですよ! 創建は、十六代目の仁徳天皇(にんとくてんのう)の御世です!」
芹彦「そうなるのか!?」
トメ「それだけじゃありませんよ。鎮座地(ちんざち)は、当然、倉敷市の日畑(ひばた)です。」
ジョン「ちょっと待ってくれ。不公平じゃないか?」
犬「ん? ジョン殿? 何が不公平にござる?」
ジョン「俺だって、道案内しただろ? カッコいい名前、俺にも、くれたっていいんじゃないか?」
ジュリアン「えっ? 親父? カッコいい名前が欲しいんか?」
ショーン「父ちゃん? 漢字の名前が、ええってこと?」
ヨーコ「あなた! それ、いいわね!」
タケ「芹彦よ。何か、感じの良い、漢字を使った名を授けてやれ。」
サモリ「感じと漢字で、シャレじゃないですよねぇ?」
たか「父上?! 何を仰っておられるのですか!」
ヤメ父「こんな展開、伝承に無いんじゃけど・・・。」
ヤメ子「・・・というか、ジョン殿は、オリジナル設定のキャラじゃないんか?」
芹彦は、どのような名を授けるのであろうか?
次回につづく
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