π|ダーレン・アロノフスキー
1998年アメリカの映画、ダーレン・アロノフスキーの『π』。
当時、あんまり意味が分からなかったのであらためて見てみた。
世界は数学でできていると信じる男の話。
スーパーコンピューターを操って数字の研究に明け暮れている。
この主役の男の顔がとってもいい。人間的な温かみがおよそ感じられない神経質そうな顔。乱暴にカプセル錠を手のひらにぶちまけて一気に飲み込む様子なんか完璧です。
ハイコントラストのモノクロームの映像とノイジーなテクノミュージックがスタイリッシュな作品だけど、ベースとなっているモチーフは旧約聖書。モーセ五書とスーパーコンピューターの数字が暗合することを見つけたマックスはついに真理の手がかりをつかむ。大昔の書物と現代の最先端技術が符号するというところがダン・ブラウンばりに熱い。
師の制止を振り切って追究を続けたマックスは、ついに一線を超えてしまう。スーパーコンピューターによる数字の研究が神の言葉を読み解くという現代の預言者のストーリー。さて、神は何を言ったのか?
ところで、モノクロで地下鉄というと思い浮かぶのが塚本晋也監督の『鉄男』。眼鏡をかけた気味の悪い女が主人公を追いかけまわすという、序盤の印象を決定づける強烈なシーン。
アロノフスキー監督もやはり影響を受けたんだそうで、主人公が鏡をのぞき込むシーンやカメラを素早くぶらせる手法など『鉄男』っぽさが随所に見られるのも楽しかった。
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