入江智之

仏教、映画、音楽、ゲーム好きの理学療法士です。 瞑想を楽しんで実践しています。

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社会的プレッシャーが気力を奪う『中高年ひきこもり』

知人の親族にも中高年でひきこもりの人がいたのだけど、報道などを見るとどうやらこれは個人の問題で片付けられないようだ。 いわゆる「8050問題」だ。80歳代の親が50歳代の子供の面倒をみているという。 なんでひきこもりになるのか知りたくなって斉藤環『中高年ひきこもり』を読んでみた。 本書によると中高年のひきこもりは61万人いるのだそうだ。 でも、実際は100万人以上と斉藤氏は予想している。どえらい人数だ。 正直、中高年でひきこもりの人にはあまり良い印象はなかった。 いずれこの

    • 幸福には優先順位がある『精神科医が見つけた 3つの幸福』

      樺沢紫苑『精神科医が見つけた 3つの幸福』という本がなかなか面白かった。文中には少々根拠があいまいな記述が散見されつつも、あくまで「実用書」と断ってあるので、細かいエビデンスより実践にベクトルを向けた本である。 人間が感じる幸福を脳内物質で整理したところが画期的だ。さらに幸福には優先順位があるという。 その順番は、 1)セロトニン的幸福(心身が健康である幸福) 2)オキシトシン的幸福(人間関係がうまくいっている幸福) 3)ドーパミン的幸福(仕事の成功やお金の幸福) つまり

      • ギバーの人生はきっと楽しい『GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代』

        『GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代』がなかなか面白かった。 著者は組織心理学者のアダム・グラント。 人間を3つのタイプに分類し、それぞれがビジネスの分野でどのくらい成功しているかを分析するという内容。 3つの分類というのは、  1)テイカー(自分の利益を優先するタイプ)  2)ギバー(相手の利益を優先するタイプ)  3)マッチャー(中間。もらったらお返しするタイプ) この中で成績が一番良かったのは、なんとギバー。 んで、一番悪かったのもギバー。 なん

        • 彼女は果たしてペテン師だったのか?『イヴの総て』

          1950年アメリカ。主演はベティ・デイヴィス。 ※ネタバレありの感想です。ご注意ください。 演劇界の大女優マーゴの舞台を毎日見に来ていたイヴは、ある日マーゴの友人の作家夫人の目に留まる。イヴは不幸な境遇だがマーゴの演劇の熱心なファンという。イヴを気に入ったマーゴは付き人としてそばに置くようになる。というのが序盤の展開。 この後、イヴは次第に自分自身が舞台に立とうと画策し、とうとう主演舞台と賞まで獲得するというのがおおまかなストーリー。 イヴを演じたのはアン・バクスター。『

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        • Unity学習
          1本
        • 気づきの種
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        記事

          疾走する稲妻とロックと鉄仮面『ELECTRIC DRAGON 80000V』

          2001年、石井聰亙監督。主演は浅野忠信、永瀬正敏という当時ノリにノッてたお二方。すごそうな予感はするよね。 浅野忠信演じる竜眼寺盛尊と永瀬演じる雷電仏蔵がバトルする映画。名前がすでにかっこいい。 盛尊は革ジャン、雷電は半分仏像の鉄仮面。衣装もかっこいい。 流れる音楽もロックでかっこいいし、それぞれの登場シーンに挿入されるタイポグラフィもめちゃくちゃかっこいい。 とにかく映像と音楽がかっこいい映画だ。 プロモーションビデオとかいう評判もあるけれど、いいじゃないのPVで。か

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          だらしないのはおしゃれなのか?『ストレンジャー・ザン・パラダイス』

          若いころ一度見て、結構良かったと思っていた『ストレンジャー・ザン・パラダイス』。ジム・ジャームッシュ監督。1984年。 主人公のいとこのエヴァはとっても不愛想で、少し猫背で歯に衣着せぬ物言いをする。くわえタバコで掃除機をかけたりして意外にきれい好きだったりする。何気ない日常をただ撮っているシーンもエヴァがいるだけで完璧に絵になる。存在自体がロックなんだよね。 ただ、逆に言ってしまうとエヴァのしぐさがこの映画の見どころになっちゃってる。エヴァのプロモーションビデオで、あとはお

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          話はよく分からないが漆黒のガンマンがかっこいい『エルトポ』

          1970年メキシコ映画。アレハンドロ・ホドロフスキーが監督した異色のウエスタン。 晴天の砂漠。 真っ黒い衣装に身を包んだ細身のガンマンが馬に乗っている。 この映像がとにかくかっこいい。 そして現れるのは血の海と化した村。家畜も人間も惨殺されている。血の赤が鮮やかで美しい。 ならず者たちを倒したエルトポはそこで拾った女と再び旅に出る。 それから、エルトポは最強になるために4人の凄腕ガンマンを倒すという話になるのだが、なんでそんなことになったのかは説明されない。唐突にそんな話に

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          π|ダーレン・アロノフスキー

          1998年アメリカの映画、ダーレン・アロノフスキーの『π』。 当時、あんまり意味が分からなかったのであらためて見てみた。 世界は数学でできていると信じる男の話。 スーパーコンピューターを操って数字の研究に明け暮れている。 この主役の男の顔がとってもいい。人間的な温かみがおよそ感じられない神経質そうな顔。乱暴にカプセル錠を手のひらにぶちまけて一気に飲み込む様子なんか完璧です。 ハイコントラストのモノクロームの映像とノイジーなテクノミュージックがスタイリッシュな作品だけど、ベ

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